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自治体DX推進計画の各ステップでの困り事(と私の回答)

7月、8月と自治体DX推進計画を手順書を使って皆さん作れるかな?と思って15ぐらいの自治体さんにヒアリングして回っていました(もともと、多くの自治体が手順書が出てきてから本気出す!と気合入れていたので確認に)。そこで、色々と分かってきたことがあるので、共有しようと思います。

特に、今回は手順書のステップ0、ステップ1、ステップ2に焦点を当ててお話ししましょう。標準化のところの話はそれだけでかなり大変なことになってしまうので・・・。

手順書のステップ0

<ステップ0のよくある質問>
・幹部職員(管理職)がブレーキになってしまう。幹部職員のマインドチェンジをどうやったらいいか?
・サービスデザインの真似られる事例はないですか?
・1時間ぐらいでDXの基礎的な共通理解できませんか?

ステップ0

<背景>
・外から人を連れてきて、さっさとシステムを導入させればいい的な首長も多い。これだと、導入だけで終わって人が残らず、また同じ繰り返し。
・幹部職員には、なぜ、自分のところが最初にやる必要があるのか。他の後追いでいいのではないかと考える方も多い。
・今までのように、ちょっと詳しい先生が話してくれればいいと思っている。DXは、自らの変革でもあるので、ちょっと聞けば言いわけではない。
・計画立てる部門は、デジタル部門だが、人材育成は人事部門のため両者が噛み合っていない。

<私からの答え>
・サービスデザインなんだから、事例真似るんじゃなくて、ちゃんと観察からしなかったらあかんやろうが。
・幹部職員のマインドチェンジしたかったら、本人たちの常識を打ち崩すしかない、それをやったとしても20-30%は反対派(変えたくない派)。それを変えるには、手法はあるけど、まずはそこにぶち当たるまで教えない。
・1時間で、共通理解させられるなら、私は催眠術士なので、継続してやらにゃむりだわな。そもそも、実践でDXとかプロジェクトで経験してない人に教わっても血肉にならないから業務改革のプロジェクトマネージャー経験ある人に聞くといいよ。
・首長が人を育てる気がなくて、ツール導入事業だと思ってるなら、DXという名で導入しようとする人がいるか&手短な成果が欲しいとかになってるからやばいよ。早く目を覚まさせよう。

手順書のステップ1

<ステップ1のよくある質問>
・先生・・・ビジョンってどうやって立てたらいいですか?
・目先の課題しか集められません、どうしたらいいですか?
・17業務の更改だけで手一杯で、他に何していいのかわかりません。
・全体構成の優先順位はどうしていったらいいでしょうか・・。

ステップ1

<背景>
・各役割で、何をすべきか、ビジョンがない。ツール導入事業となってしまっていて、「なんのためにやるのか」が抜けている。
・ツールの使い方や、業務効率化(システム導入)では今までと何もかわらない。目先のわかりやすいところだけを手を打とうとしていないか。3年後10年後に課題となるところを先に手を打っていくことはしていないのでは。
・地域のうれしいが何か、職員のうれしいが何か、わからず課題を集めて業者に投げて進めようとしている。これでは、単に職員のやることは、やってこなかったツケの課題を探すだけで、解決方法を考えることも、なぜこうなったのかを反省することもない。

<背景その2 これ、急いでやらかした案件では?>
・あちゃー、デジタルうんぬんとか、DXうんぬんって部局名つけちゃったから原課から、それってあんたのところの仕事でしょ?と、旧電算室の時代よろしく、縦割り復活。RPAとか目先の仕事押し付けられて動けない。
・そもそも、ICT部門は、ツール導入部門なので、ビジョンやあるべき姿から計画立てるの慣れてない。そのうえ、他部門との調整苦手な人多い・・・。
・今やってるのは、デジタル部門に、武器っぽいものをベンダーが持ってきて、これ使える部門ありますかーっていうスタイル。各部門が業務をデザインし直して、こういう業務にしたいのだけれど手伝ってくれる?という支援でありプロジェクトを共にいくスタイルになってない。

<私からの答え>
・これからの、デジタル&DX部門は横軸さしていく調整部門である。それやらんとあかんわな。
 民間だって、経営計画→ICT計画→個別計画の順に立てて、予算もICT部門が先に各部門の来年度やりたいものを聞いて回って、予算案を作ってから(今時ICT絡まない事業は少ないから、先にICTが予算確保しないと仕事にならん)、個別部門の予算化である。
・課題積み上げていってもビジョンにはならないし、派手な施策を組み合わせてもビジョンにはならない。かといって、発散だけやってとんでも未来を作ってもしょうがない。ここは地道にビジョン策定のプロセスを踏むしかない(可視化含めて、地域情報化アドバイザーで何件もやらされてますよ・・・、こういう説明しちゃうから巻き込まれるのはしょうがないのだけれども)
・そもそも、自治体内の改善ばっかり書かれた計画なんて、住民が見て楽しいと思うの?地域全体がどうなっていくのか一緒に考える時なのですよ。
・優先順位の決め方から決めなきゃだめですわな、そこの認識が違うなら、一緒にプロジェクトが進むことはないですよ。
・RPAなんて今考えるのは辞めてしまえ。17業務で帳票とか画面変わるのだから、その分野では意味ないし、その周辺でもクラウドになったら画面は容赦なく変わるよ(ふるさと納税の効率化とかで、たくさんの自治体が泣いている)。この先、本当に変わらないモノ同士のRPA以外は今はいったん止めなさい。そもそも、データ連携にしていくのが筋だから、そういう部分を見つけつつ(ってのが本質のビジョンであろう)やりなさい。
・AI-OCRもいったん止めなさい、スキャン→文字起こし→「人間がアナログでチェック」これはDXじゃないだろう。デジタルファーストに考え直しなさい。今の業務の置き換えばっかり考えちゃだめ。その時間を、全体のことを考えるところに使う!

手順書のステップ2

<ステップ2のよくある質問>
・職員の人材育成ってどうすればいいですか?RPAやAIやデータサイエンスの勉強をして貰えばいいですか?
・いつも頼んでいる業者に外部人材としてDXの依頼をかければいいですか?
・先に組織から作ってしまいました。どうしたらよいでしょうか。

ステップ2

<背景>
・みんなDXDXいうから、飛び付いちゃって組織作っちゃった。
・人事部門が気がついて、長期的な人材育成計画としてDXに取り組んでいるところはわずか。デジタル部門だけで研修を企画すると、単年度・単発モノの研修となってしまい、定着まで結びつきにくい。
 → 短期的研修と、人材育成研修キャリアパスを含めた業務の中の人材育成ができていない。
・首長や議会の任期が影響し、目先で成果を出しやすいもものに寄ってしまい、地域の未来を考えて手を打つことを取りこぼしがち。
・ちゃんと話せるアドバイザーや、中立的な外部人材は、地方に行けば行くほどいない。そうすると、どうしてもお抱えのベンダーさんに依頼するしかなくなる。
・DXの研修カリキュラムや、人材のキャリアパス、タレントマネジメントなんてほぼ誰もわかっちゃいない。

<私からの答え>
・いつも頼んでいる業者にできるのはデジタル化。DXができているならもっと昔から提案してこなければ嘘である。地域を考えることや業務のスペシャリストは自治体職員なので、この力をいかせていない。
・データサイエンティストのことを考えればわかるが、育てよう!ってのやったはいいけど、活用できてない。なぜなら、使い所やキャリアパスがちゃんとなってないから。ただ育てるだけじゃ意味がないから、人事部門としっかりやらんとだめよ。
・いつもの看板だけすげ替えたのだったらもうダメなので、DX推進計画の人材育成部分や外部人材のところで、もう一回人材計画を盛り込めるように考え直しなさい。
・単発研修を単発予算でやり続けても、今の流行りをモグラ叩きのようにやるだけだから、継続性がない。だから、人材育成ができないわけで、デジタルの計画だけど、人事部門としっかり相談してね。
・各部門との緊密な連携って、今までできてないのだから、今こそプロジェクトワークの仕方をデジタル部門から覚えなよ。君たちは、今後は、PMOとしての役割(調整と計画進行)もあるのだから。
・各部局は、DXゆうても、今までのIoTとかビッグデータとか、オープンデータなんかとあんまり違いは分かってない。何が根本で違うのか、小さなチームでもいいから成功体験とチームで経験したことを、庁内のリーダーとなって展開してかなければ、ずっと、デジタル部局が全てのことを面倒みることになるよ。ということも含めた人材育成です(キリッ

今までの内容を、ざっくりまとめた資料はこれ

各ステップに向けた解決への挑戦

下図の各ステップの下のアローに書かれているようなことをやってみていてそれなりの効果はあるのだが、全体をブラッシュアップしながら試してみているところです。一気に解決まで繋がるような魔法はないので、地道に少しずつ固めていくしかないのでしょう。

・管理職向けマインドチェンジ研修
・DX概論研修/サービスデザイン実習
・うれしさから始まるビジョンの策定研修
・計画策定とタウンミーティング
・自治体変革PJ-DX研修
・効果測定と変化と共にするチェンジマネージメント

令和の行政サービスを作り出すDXことはじめ

そんなところで、今回の共有は終わり!
個別に聞きたいことがあれば、連絡してね。


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