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再エネ用の蓄電池網の魅力

再エネ用蓄電池は、魅力的なストーリー


少し前に、気になるニュース記事をみた。

住友商事が、再エネ活用に向けて、蓄電池網を2000億円で整備する計画とのニュースである。
住友商事は、すでに千歳で蓄電工場(バッテリー・ステーション)を運営している。
このビジネスを2000億円かけて前に進める計画らしい。


再生可能エネルギーの主力は太陽光発電である。
当然、発電量はお日様次第だ。

天気が良ければ、ガンガン発電するが、雲がかかれば発電量はガクンと減る。雨が降ればさらに減る。
当然、夜には発電できない。

再生可能エネルギーは、めちゃくちゃ不安定だ。

だから、蓄電工場(バッテリー・ステーション)をつくって、でっかいバッテリーで蓄電しようというわけ。

昼に安く電気を買って、夜に高く電気を売れば、差額が儲かる!

蓄電用の電池には、電気自動車の中古のバッテリーを流用する。
電気自動車のバッテリーは、8年もすれば寿命になる。
電気自動車で使われた、廃棄される予定のバッテリーを使えば、安く蓄電池を入手できる寸法である。

蓄電の需要は右肩上がり!
そして、蓄電池の入手コストも、中古だから安価!

こりゃもう、成功間違いなし!

この事業は、3方ヨシである。
①消費者である電気会社は、不安定な再生可能エネルギーを有効利用できてうれしい。
②売り手である事業者は、安価な蓄電池を使って蓄電工場(バッテリー・ステーション)を建設することで、儲かってうれしい。
③再生可能エネルギーの利用拡大によって、二酸化炭素の排出も減って地球にもやさしい。

完璧な計画!


甘い罠

魅力的なストーリーには、甘い罠がつきものである。

再エネ活用向け蓄電池網のワナは、安全性だ。
リチウムイオン電池って、危ないのである。

小さな家電用の電池でも、けっこう大爆発している。
これが、より容量の大きな電気自動車用の電池だったら、大変なことになる。

当然、電気自動車用のリチウムイオン電池には、安全を考慮して、いろいろと対策がなされているだろう。

でも、電気自動車って実際に発火してるんだよな。


これは、中国メーカーだから仕方ないというなかれ!

再エネ用の蓄電工場(バッテリー・ステーション)にはバリバリ関係あるのだ。

蓄電工場(バッテリー・ステーション)には、中古のバッテリーを大量に設置する。
当然のことながら、中国製のEVの電池が入り込むだろう。

一つの電池が燃えたら、隣の電池も燃えるから、大惨事になる。

だから、中国製のEVの電池が入り込まないように、厳しくチェックする必要がある。

さらに、電気自動車は、事故る。
自動車だから、当然、衝突事故とかを起こす。
そんな質の悪い電池は、蓄電工場(バッテリー・ステーション)に使いたくない。
事故車の中古電池です!とみんなが正直に申告してくれれば、絶対に利用などしないだろう。

・・・中古車業界って、そんな正直に申告しますかね?

もし仮に、事故車の中古電池が蓄電設備に紛れ込んで、発火したらどうなるか?
隣の電池も燃えるから、大惨事になる。


ここがボトルネック!

蓄電用の電池には、電気自動車の中古のバッテリーを流用する。
電気自動車で使われた、廃棄される予定のバッテリーを使えば、安く蓄電池を入手できる寸法である。

この電気自動車用の中古バッテリーの品質が問題になるだろう。
蓄電工場(バッテリー・ステーション)に使うには、中古バッテリーの品質を、厳しくチェックする必要がある。

なんなら、新品の電池を買ってきた方が安くなるんじゃね?
というくらいには、厳しくチェックする必要があるのだ。

チェック項目はこんなところか・・・
・海外製(中国など)はダメ
・事故車は、ダメ
・経年劣化が激しいものは、ダメ
・ちょっとでも、怪しいところがあったら、ダメ

廃棄される予定のバッテリーを使えば、安く蓄電池を入手できる。

この点が、間違いである。

品質の良い電池しか使えないから、安く蓄電池を入手できないのだ。


無視できない 巻き込まれ&風評被害 リスク

そうはいっても、事業者は大手商社である。
安価な電池を大量購入することはできないかもしれないが、品質がちゃんとした中古の蓄電池を調達して、安全に蓄電工場(バッテリー・ステーション)を運営するだろう。

日本では・・・・

そうなんだよな。

当然ながら、
・不安定な再生可能エネルギーの発電量が増える。
・電気自動車が増えて、中古の電気自動車用蓄電池が余る。
この環境は、中国や韓国も同じである。

なので、中国や韓国でも、蓄電工場(バッテリー・ステーション)がたくさん建設されるだろう。

中国の蓄電工場(バッテリー・ステーション)の蓄電池は、やっぱり中国製なわけで・・・・

さらに、管理とかも日本ほどしっかりやってない可能性もあるわけでして・・・

中国や韓国で、大規模な蓄電工場(バッテリー・ステーション)の爆発事故が起きたとすれば、、、

そうなれば、日本の蓄電工場も巻き込まれる。

安全を確認するために、国から厳しいチェックが入るだろう。
(工場の周りの住民からは、クレームや抗議や不安の声が・・・)

国のチェックに対応するための技術者や事務員の人件費が、右肩上がりにかかってくる。
検査中は当然、蓄電工場は止める必要がでるわけで、その間の再エネは行き場を失うわけである。

蓄電工場(バッテリー・ステーション)は、人件費を無駄食いしまくる、金食い虫(お荷物)になりかねない。

結論

再エネ用の蓄電池網は、事業リスクが大きい。
たいして普及しないだろう。
(普及しまくったら、ヤバい)


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