甲斐バンド45th Anniversary Tour 「HEROES 2019」in NHK Hall
■甲斐バンドのドラマーは
「松藤さんがずっとドラムを叩いてる！」
ステージが終わった瞬間、そう思った。
自ら歌った『メガロポリス・ノクターン』を含め、ドラムを叩いていなかったのは、全22曲中4曲だけだった（と思う）。
2008年の活動再開以降、ドラムを叩くのは、冒頭の数曲とアンコールの数曲だけ、
「ドラムを叩かず、ネットで叩かれる」
と甲斐さんにネタにされていていたけど、今回はそんなことは言わせない、白熱のプレイだった。ツインドラムのもう一人、佐藤強一は
「松藤さんのドラムは成長期」
と言っていた。確かに、昨年のライブハウスツアー「Circus & Circus 2019」時に比べると安定感が全然違っていた。あの時は、スティックを飛ばしたりしていて、ハラハラしながら見ていたが、今回は、安心して見ていられた(笑) 甲斐バンドのドラマーは松藤英男だ、というところを見せてくれたと思います。
やっぱりこうでなくちゃ、甲斐バンドは、と思ってしまった。大森さんがいない上に、松藤さんがドラムでないとなると、「The Kai Band」としてどうなんだろうな、と思っていた、口には出さなかったけど。
やっぱり松藤さんがドラムに入って、ボーカル・ギター・ドラム、の編成になると、本来のバンドらしくなってくる。そうなると、昔と違ってサポートメンバーが固定されているから、バンドとしてのグルーヴ感が固まってくるような気がしている。
大森さんのみならず、佐藤英二がいないのは残念だし、痛いと思うけど、これならもうしばらく甲斐バンドを楽しめそうだと終えてきた。
■セットリスト
僕が甲斐バンドのライブに足を運び始めたのは、1981年のことだ。そこから1986年の解散まで、主なライブには足を運んできた。
当時すでに、初期の曲は演なくなっていた。誘惑・マイジェネレーション以降の曲が大半を占めていた。
そんなライブを楽しみながら心のどこかで「初期の名曲もライブで聴きたい」との思いを抱いてきた。だから、BIG GIGでの『東京の一夜』に驚喜したのだ。
活動再開後は、初期の曲を取り上げるようになってきた。35周年の時の『この夜にさようなら』、ROCKSツアーの『ダニーボーイに耳をふさいで』、ROCKS2の『そばかすの天使』や『吟遊詩人の唄』は涙しながら聴いていた。
「やっとライブで聴けた」
と思ったからだ。
しかしそれは「ライブで聴いたことがなかったから」聴きたかったのであって、本当に好きなのはマイジェネレーション以降、もっと絞れば『虜』『GOLD』『ラブマイナスゼロ』のニューヨークMIX三部作だ。このへんの曲を（定番曲を除くと）やらないセットリストに、内心いらだっていた部分があった。
ライブに参戦してしまえばどんなセットリストでも楽しめる。どの曲にもその曲なりの思い入れがあるからだ。でも終わってから「あの曲は？」と思うことが増えてきていた。
ライブハウスツアー「Circus & Circus 2019」では、初期の曲が中心になるのは予想ができていた。箱の大きさから考えればそうなるはずだ。だとしたら、ホールツアー「Heros2019」ではマイジェネレーション以降の曲を中心にして欲しい、と思っていた。
結果、ほぼそうなってはいた。本当はもっとニューヨークMIX三部作を中心にして欲しい。理想は、両国国技館の時のセットリストなのだ。
でも、今回のオープニング『キラーストリート』から『野獣』、『ダイナマイトが150屯』を挟んで『ナイト・ウェイブ』『シーズン』という流れは、「やっときた」と心の中でガッツポーズをしていた。
＊今回のセットリストはこのアルバムのまんま。
セットリストがわかってライブに行く、それはそれで楽しめるのだけど、3回続くと飽きてきた(笑) そろそろまた「何が出るかな」と会場で思わせてもらえるようなライブを楽しみたい。
1. キラー・ストリート
2. 野獣 (reprise)
3. ダイナマイトが150屯
4. らせん階段
5. ナイト・ウェイブ
6. シーズン
7. 裏切りの街角
8. そばかすの天使
9. 観覧車’82
10. メガロポリス・ノクターン
11. 安奈
12. ティーンエイジ・ラスト
13. 三つ数えろ
14. 氷のくちびる
15. ポップコーンをほおばって
16. 翼あるもの
17. HERO(ヒーローになる時、それは今)
Encore1
18. 嵐の季節
19. きんぽうげ
20. 漂泊者(アウトロー)
Encore2
21. 破れたハートを売り物に
22. 熱狂(ステージ)
ということで、7月12日、横浜赤レンガ倉庫では、どんなセットリストを見せてくれるのだろうか。不安と期待とを胸に、7月に向けてわくわくしている。
■100万$ナイト in 横浜赤レンガ倉庫
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？