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焦りながら何かをやると、やっていることを嫌いになる、の法則

子育てをしていた時に、よく焦っていたことがある。
それは、「X歳までに〜を習得しないとヤバい」という雑誌やSNSでまことしやかに語られるメッセージだ。

たとえば、語学習得だとか音楽的センスだとか、もしくは運動能力や読書習慣なども語られていたような気がする。
何事も幼少期からやっていた方がいい…らしい。

その情報に触れて、僕たちは目の前にいる子どもを見る。
時間は不可逆的だ。
この瞬間にも、この子の重要な時間は流れていく。
そして、お隣のあの子も、友達のあの子もやり始めたらしい。
ヤバい。ゆっくりしていられない。
…と焦って、あれもこれもやらせようとしてしまう。
そんなことはないだろうか?

そして、その焦りは決して子どもの時だけで終わるものではない。
大人になっても、20代前半にこれができてないとヤバい、とか。
20代後半はここまでの力がないとマズい、とか。
転職は35歳までにしないと無理、とか。
このように誰が言ったかわからないような言説に振り回されて、僕らは焦り続けている。

しかし、ちょっとあたりを見渡してみれば、そんなことは嘘っぱちだということはすぐに気づく。
実際には嘘っぱちではなく、エビデンスがあるのかもしれないが、しかし我々は人間だ。
そんなひとくくりで語られるものではなく、例外なんてその辺にゴロゴロ転がっている。

たとえば、EMCの学部長である我らが伊藤羊一さんなんて、ブレイクしたのは40代過ぎてからだし、50を過ぎて人生の春を謳歌している。
今や多くのビジネスをぶん回している我らが曽田雄志が、Jリーグを引退してビジネスの現場に降り立ったのは30代に突入してからのことだったりもする。

さらに言えば、あまり表立って語られることはないが、人生のあまりに早すぎる段階でスポットライトに当たってしまって、結果的に道を外してしまった人も少なからずいるだろう。

そう、誰が何か言っても、焦ることはないのだ。

先日、元バレーボールの日本代表の益子直美さんと対談する機会があった。

益子さんとは3年ぶりくらいの対談

その際に、益子さんは『監督が怒ってはいけない大会がやってきた』の共著者である北川ご夫妻のエピソードを語ってくれた。

北川ご夫妻は小学生のバレーボールを指導しているのだが、北川ご夫妻は常に親御さんたちに

「うちの子たちはみんな遅咲きと思ってほしい」

と言っているとのことだった。
実際に小学生の段階で焦ってスキルを伸ばしていても、中学生になった段階で伸び悩んでしまう子が多いのだ。

理由は簡単。

大人から焦らされることでバレーボールが嫌いになってしまうからだ。
それよりも、バレーボールを好きになることを優先した指導をする。
そうすれば、やがて自ずと伸びていく、という話だった。

(そのエピソードは13分くらいから)

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