見出し画像

家本政明さんにビルトインされている「高速回転マシーン」

先日は、家本政明さんに武蔵野大学にお越しいただき、僕の担当科目「アントレプレナーシップ」の授業で講演をしていただきました。

僕は仕事柄、業界を超えて多種多様な職種の人にお会いしています。現役Jリーガーもいれば、哲学者や小説家もいる。あ、狂言師も大の仲良しです。
しかし、その中でも特に異色だと思うのが、今回ご紹介する家本さんの「プロ審判員」という職業です。
あんまりいないですよね、審判を生業にしている人って。
しかも、「日本一嫌われた審判」なんて言葉を代名詞にしてしまう人なんて、審判業界の中でもいないはず(笑)

そんな超レアキャラこそが、家本政明さんです。
Jリーグのファンの方だったら、「ああ、家本か〜」と思う人もいるかも知れません。
それくらい有名で目立つ存在の方です。

僕との縁は確か9年くらい前。
グロービスのクラスに、なぜか受講生として来られたのです。
その当時から既に有名な存在だったので、クラスの中のサッカーファンもどよめいていました。

しかし、不思議ですよね。
なんで審判員がビジネススクールなんかに来るの?来る意味あるの?と。

かなり専門性の高い仕事ですから、企業の戦略事例とかを考えても、レフェリングとの接続性は見出しにくいはずです。
来てくれるのは嬉しいんだけど、どれだけ意味あることを持ち帰ってくれるのか、僕も少々不安でした。

しかし、そんな不安なんて全く余計だということがすぐに理解できました。

家本さんは、学習領域がものすごく広い人なのです。
普通の人の学習領域は、近接エリアに限定されます。
たとえば、普通の消費財のマーケターが、生産材のマーケティング事例を聞いても「あれは業界が全く違う」と言って、学習対象外認定をしてしまう。
自分たちの業界を特別視する人ほど、起きがちなことです。
そして、「あれも違う、これも違う…」と言って、どんどんそのエリアを狭めていってしまう。結局、わかりやすい近接エリアだけしか学習対象に残らないのです。

しかし、当然その逆のタイプもいます。
それは、どれだけ遠い世界の話であっても、自分の世界にとっての意味に変換できる力がある人です。
たとえば先ほどの消費財マーケターで言えば、マーケティングの世界を離れて、ビジネスも飛び越えて、現代アートの世界から学びを得てしまう…とか。たとえばそんな話です。

言わずもがな、家本さんはそういう能力を持った人です。
たとえば海外のスタートアップで経営者がこういう意思決定の失敗をした、というような事例の議論であっても、彼は自分のレフェリングの学びとして腹の中にしまい込むことができるのです。

では彼は何を頭の中で考えているのでしょう。
これは彼と幾度となく対話している中で感じた僕の仮説です。

ここから先は

673字

スタンダードプラン

¥1,000 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?