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オンライン指導対局体験記

甲斐日向将棋教室さんで山本博志四段のオンライン指導対局が開催されるということで、さっそく受講してきた。コロナ禍で次々始まったオンライン指導対局だが、結局どうなの? 普通の指導対局と違うところはあるの? と気になっているかたも多いと思うので、流れや普通の指導対局との違い、気をつける点についていくつか書いていきたい。
なお、私もオンライン指導対局は今回の山本四段と、高橋和先生に多面指し平手でボコられた回(つらい)(どうして……)しか経験がないため、これから回数を重ねるなかでまた異なる所感が生まれるかもしれない。そのときは適宜追記していくつもりだ。

ちなみに前提として、わたしは

・山本四段の指導対局は何回も受けているが、オンラインは初めて
・81道場やZOOMの操作にはある程度慣れている
・ZOOMはiPad、81道場はノートPC(Windows)の二台使用

という条件で受けている。


①オンライン指導対局の流れ

甲斐日向将棋教室オンラインでは、

受講者が申し込み時に申請した81のIDで、非レート対局で指定された時間、希望手合いを設定した対局室を作成→
定刻に(事前に知らされている)棋士のアカウントからチャットがくるので、確認後、挑戦を押し、対局開始→
終局後は棋士からチャットでZOOMミーティングルームのアドレスが届く。移動して感想戦、アドバイス

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(81の設定はこんな感じ。難しくはない)

という流れだった。
おそらくどこのオンライン指導対局でも、ZOOMや81道場(または24)の操作はある程度自分で行う必要があるので、不慣れもしくは経験のないひとは練習して慣れておくべきだ。(甲斐日向将棋教室では申し込み時に「自分でZOOMの操作をする」ことに関して承諾のチェックがあった。)


②通常の(対面)指導対局との違い

・手を戻せない(デメリット)
 感想戦モードで対局室を作れば一応手は戻せるのだが、通常対局では下手が大ポカをしても一手戻して、ということができない。
 また、81道場の仕様として、反則(二歩、王手無視等)は着手できてしまい、その上で即反則負けになる。残り時間によってはそのまま終わってしまうことも考えられるので、注意すべきだ。

・対局中に上手に質問しづらい(デメリットと思うかどうかは人による)
 今回は対局中は通話なし、感想戦のみZOOMという形式だったので、対局中に上手とコミュニケーションを取るツールがチャットのみだった。
 人によっては、指しかたがわからなかったり、いくつかの指し手の候補から絞りきれないとき、上手に質問しながら指すこともあるだろう。山本四段は対局開始時、チャットで「対局中でも何かあれば質問してください」と言ってくださったが(ハイパー優しい)、対局時間中にチャット欄にタイプして質問することを考えると、あまり細かいことは質問できないかもしれない。
 マンツーマンで対局中も通話を繋ぐタイプのレッスンであれば、この点はほとんど無視できるだろう。

・時間がシビア
 今回は15分60秒で指したが、途中で秒読みに入り最終盤がドリフの盆回しと化してしまった。お情けをいただいてギリギリ勝たせてもらった。恩赦恩赦!
 これもまたデメリットと捉えるかどうかは人によるところで、「だらだら長考してしまう」というかたにはむしろ訓練になるかもしれない。わたしはある程度時間制限があったほうが(秒読みで乱れてしまうことを加味しても)トータルで集中できるタイプなので、勉強にはなると思った。

・下手が待っている時間が少ない(メリット)
 多面指し指導対局の序盤には、下手には「上手が回ってくる」のを待つ時間が発生することがある。定跡範囲内で次の指し手はほぼ決まっているが、上手が指していないので指せない……という時間だ。
 オンライン指導対局では、そもそも同時に指導する人数を絞られていることもあるが、棋士が下手の盤の間をうろうろ移動する必要がないのでそういった「待ち」があまり発生しない。

・盤面に集中できる
 対面の指導対局より、明らかに盤面だけに集中できる。周囲の環境を自分でカスタマイズできるし、他人の声も聞こえない。ウォーズ、81、24、クエスト等でネット対局慣れしているひとならなおのことだ。そういう「実戦の場」に環境が近くなるので、フィードバックも得やすいかもしれない。
 これは上に書いた「待ちが発生しない」こととも繋がっていて、待っているうちに気持ちが切れるようなこともない。

・棋譜の取得が楽
 棋譜のDLは2クリックで完了だ。感想戦も、一瞬で盤面を戻せるので非常にやりやすい。

甲斐日向将棋教室は二面指し60分5,000円という設定。申し込むときは二面としては破格だけど、時間が少し短いかなと思っていた(対面指導対局は感想戦込み7~90 分が多いため)。だが上記の点を考えると通常の指導対局よりかなり密度は濃いので、時間の短さはあまり感じられないと思う。


③気をつけるべきこと

・スマホ一台だと大変かも
 81道場にはスマホ版アプリもあるが、若干安定性に欠けたり、サーバーを選べなかったりするので、できるだけPCからログインすることをお勧めしたい。 
 スマホ一台だけでもできないことはないと思うが、感想戦ではZOOMで通話しながら81の盤面を見て操作することになるので、この動作がもたつかずにできるようにしておきたい。

・手合いは形式に合わせて
 ②で書いたように、オンライン指導対局では基本的に手を戻しづらい。普段の指導対局で、例えば6枚落ちはアドバイスなしで厳しめでやっているけど、4枚落ちでは手を戻されることもよくあるなんて場合は6枚落ちで様子を見たほうがいいかもしれない。

・入室パスワード
 81でそのまま対局室を作ると、他人も観戦することができる。気になる場合は入室パスワードを設定しなければならないが、1111など単純なものだと普通に割って入ってくるひとがいるので(別の対局中の実話。その上で感想戦に割り入られたのでびっくりした)見られたくないひとはある程度複雑に設定すること。心配であれば、申し込み時に備考欄等に「入室パスワードをかけたいんですが大丈夫ですか?」と訊いてみよう。

・環境やアプリのチェックは事前に済ませておこう
 既に書いたが、基本的にどのオンライン指導対局も自分である程度の操作ができることが受講の前提なので、81道場やZOOMに触ったことのないひとは事前に少し慣れておく必要がある。

・ZOOM感想戦、やや気恥ずかしい
 通常の指導対局の場合、感想戦の最中に目が合ったり、相手の顔を見ることは実は少ない。下手は特に、基本的に盤上を見て話をしているからだ。ZOOMの場合、強制的に相手の顔を真正面から見る/見られることになるため、コミュ障は高確率で死ぬ。81とZOOMを同じ端末で開き、インカメラでZOOMをしている場合は完全に逃げ場がない。笑
 どうしても気になる場合は申し込むときにビデオ共有なしでもいいか質問しておこう。


④オンライン指導対局、結局どうなの?

結論から言えば、めちゃくちゃ楽しかった。
ここ最近、うまく歯車が噛み合わなくて全然勝てない……という暗黒期にn回目の突入を果たし、しかもそんなときに限って教室も大会も中止に延期で、すっかり荒みに荒みきっていたのだが、根がチョロいおたくなので推しの指導対局で元気になった。詰将棋おいしい。この記事を書いてる最中に次の指導対局予定もついたので、そこを目標に鍛えていくつもりだ。

あとひとつ。信頼できる筋から聞いた話だが、いいヘッドフォンでZOOM感想戦やると捗るらしい。特にいい声の……おっと、今日はこのくらいにしておこう。この記事がオンライン指導対局の受講を迷っているかたの参考になれば幸いだ。それでは。




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