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2021年の思い出 本

どれも素晴らしい本でした

 なぜかカレンダーが2月になっている・・・
 2021年のまとめをまさか2月に書くハメになるとは。

 去年はコロナのこともあり、本を読む時間を取ることができるようになり、仕事始めてこんなに読んだことはないというくらいでした。いうて月に2〜3冊ですが。音楽も映画もそうですが、同じ本を好きな人に出会えることってほとんどなく、勧めたり勧められるのもよっぽど相手の好みをわかっていない限り難しい。

 というわけで、こちらから勝手に読んだ本をどんどん提示していって、「あ、それ読んだ、面白かったよね〜」みたいなことが起きたらいいなという感じで、読み終わった本の感想などをtweetするようになりました(未だ反応はない・・・)。今回のリストも「好みが近そうだな」という方が反応してくれればいいなという感じ。

 読書は本を読んで感想を書いて、その本がどういう影響を自分にもたらしてくれたかを考えたら、もうそれで目的は達していると思うので、他人との共感・意見交換はおまけみたいなものです。

AIと人間

 で2021年の個人的な最大のトピックは「AIのあり方からアプローチする人間という存在」でした。それについて読んだ本は

・カズオ・イシグロ クララとお日さま
・イアン・マキューアン 恋するアダム
・マーカス・デュ・ソートイ レンブラントの身震い

 カズオ・イシグロは前作を出したときのインタビューを見て、「あーそんなことを考えて書いてるのか」と思って以来好きになりました。今回のお話もサラッと軽く読めて、油断すると「クララ可哀想だな、人間って勝手」くらいの感想で終わってしまいそうです。

 でも再生医療や遺伝子治療によりリプログラミングが可能になった人類と、Deep Learningを手に入れたAI、その違いがどんどん曖昧になってきてはいないか?というテーマをさりげなく提示してくるあたり、本当に巧みだなと思います。

「読んでいるときに読者を惹きつけていくことよりは、読み終わってからもずっと何か心に残るような小説を書こうとしている」らしいんですよね、彼は。このクララとお日さまも童話を読んでいる感じなんですが、読み終わってみるといろんなテーマが頭に残ってついつい考えてしまいます。彼は決してこうあるべきだという答えは小説の中で示したりはせず、考えさせてくれるのです。

 ちょうど僕自身もAIの学習能力がさらに進歩して、人間と全く変わらなくなる日は割と近いのでは?と考え始めていたので、とても刺激になりました。今世界の中で一番話を聞いてみたい人ですね、カズオ・イシグロ。

 レンブラントの身震いは、現役の数学者によるAI開発のレポート。AIと人間が近くなってきているというけれど、AIに芸術を創造することはできるのか?結論はあまりはっきりとは書いてないですが、だいぶ見えてきているなと感じました。そもそも芸術とはなんなのか?面白かったのは絵か音楽だったか、AIに創作させたものを評論家に提示したら、これまでの常識を破りすぎるものはとっぴなものとして評価されないが、程よく新要素を取り入れておくと評価が高くなったというところ。

 自分がよくわからないからもありますが、芸術ってものすごくあやふやな基準で評価されていて、芸術家の背景・製作された環境・時代などの事情に左右される怪しげなものという感想なんですよね。人間の頭の中だって無限ではないし、所詮は神経回路のつながりでできているわけですから、AIがその仕組みを忠実に取り込めばいつか人間と同じ考え方・行動するものができ、創作も可能になりそうだと僕は感じました。

 イアン・マキューアンの恋するアダムはもう少しAIが今生活の中に登場したら、人はどのように振る舞うだろうかということが、イギリス人らしい皮肉を噛ませながら表現されているように感じました。ほぼ今のじだいにAIが登場できるように、本来の歴史が少し道を逸れてしまった異なっているところが、細かくていい感じ。3冊の中では一番楽しんで読めるかもしれない。

幸福

 幸せとは何か?というのも、最近の僕のトレンドで、直接そんな言及はないものの、エリザベス・ストラウトとかイーディス・パールマンの短編小説は日々の何気ない生活の中のふっと心が温まる瞬間を切り取って見せてくれます。わかっていてもこんなことしちゃうよな、という人間らしさ、異国の話ではあるのですが、とても共感できるものが多いです。

 リチャード・パワーズの「幸せの遺伝子」は、より直接的にアプローチしていて面白い。幸せを感じる能力というのは僕もあるなと感じているし、それが遺伝子かどうかは難しいところだけれど、テクニックとしてありそうに思う。割と多くの古典で人生の目的は自分を知ることである、というようなことが書かれていることがあるような気がするんですが、自分を幸せにするために自分を知るというのはかなり人生の本質なんじゃないかと僕も思うようになりました。正しいかは別として。

まとめ

 歳をとって集中力がどんどん散漫になっていくのを感じ、本もいつか読めなくなってしまうのではと思っていましたが、できるだけ時間を割いて習慣にすることで、まだまだ読めるもんだなと思いました。読むスピードだったり、読み続けられる時間も伸びていったりしているので、これまでは単に怠けていただけだった。

 人生の残り時間から考えて、読める本の数はもうだいぶ見えてきてしまっているけれど、自分自身の探求のヒントを得るためにも意識的に読書は続けていきたいと思う。

 読んだ後の感想はだいたい読書メーターというWebサービスでDucklett21として載せてあります。近い興味を感じた方は是非感想を交換しましょう。

https://bookmeter.com/home

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