ブラサバERはこの先生きのこれるのか

ブラサバERとは

ブラサバERというゲームを遊んでいる。

正式名称は「ブラックサバイバル: 永遠回帰(Eternal Return: Black Survival)」

2020年10月14日からアーリーアクセスとしてSteamで公開されている、MOBA風デザインのバトルロワイヤルだ。

全体的な作風として、随時追加されていく禁止エリアに首輪の爆発、武器や飲食物は素材を集めて作成したりと、2017年のPUBG以降によくある作風ではなく、元祖バトロワに近いデザインとなっている。

というのも原作として2015年からリリースされている「ブラックサバイバル」というスマホ向けアプリが存在し、そちらにアクション要素を肉付けしたのがブラサバERなので、間接的にそうなったというのが自然だろう。

※現在も原作はサービスが継続しており、PCでもプレイが可能。

MOBA+バトロワという中々珍しいジャンルの上にソロモードがあるので、個人的には期待しているのだが、現在は過疎化が進んでいる。

ユーザー推移から見る過疎化の原因

Steamで公開されているゲームなので、こちらでユーザーの推移が確認出来る。

2020年の12月時点ではアベレージで2万、ピークで5.2万を記録するが、それから大幅な減少が続き、4月時点でアベレージで6800人、ピークで1.5万と1/3程度まで落ち込んでいる。

開発のロードマップも併せて参照すると、過疎化が始まったタイミングはレノックス、ロッジ、ルク、キャッシーあたりが追加された時期と判明する。

これらのキャラの多くは、当時の実装時にあまりにも強かった。

当時の一般対戦では18人のゲームで半数近くが新規キャラクターを使用していて、大抵の試合でそれらのキャラクターが勝利する。

一応運営からの配慮として、追加直後はレートの変動しない一般対戦でのみ使用可能で、統計データからバランス調整をした後にランク戦でも使用可能にするというフローが導入されている。

しかし多くの新規プレイヤーやライトユーザーは、先ずランクマッチではなくカジュアルな一般対戦を中心にプレイするという事を考える必要がある。

このような環境でプレイした人は、ランクマッチへのステップに進む前に離脱すると考えるのが自然だろう。

また1ヶ月に2キャラ程度が追加されるという意欲的な開発が、結果的には高頻度のバランス崩壊に繋がったのも痛手である。

この「新キャラ強すぎ」というユーザーの声は運営方針に反映されたのか、現在では弱めの性能で実装して様子見をするスタイルに変更されている。

現在も続く問題点

※ここから先は特に筆者の独断と偏見が多くなります。

大前提として繰り返すが、ブラサバERはアーリーアクセスのゲームなので、大きな問題点があるのは当然である。

Steamページにはアーリーアクセスである理由と正式サービスの目処が詳細に記載されていて非常に素晴らしい。

ただ某宇宙忍者のゲームが批判されたように、アーリーアクセス詐欺とも言える作品は非常に多い

これに関してブラサバERに全く責はないのだが、アーリーアクセスの持つ免罪符としての効力は低下しているのが現状だと思う。

ここまで前置きをした上で、ブラサバERの持つ大きな問題点として、2つピックアップしたいと思う。

1.新規ユーザーが初勝利するまでの壁

この問題点には大きく2つの問題が内包されていて、ゲーム自体のとっつきやすさと、適切なマッチングである。

ブラサバERは正直とっつきにくいゲームである。

チュートリアルは存在しており、随時リメイクもされているが、正直そこで学べる理解度では勝利する事は出来ないだろう。

解決策としては、DAK.GGのようなサイトや、Twitchなどの配信サイトで優れたプレイヤーの行動を学ぶ事が挙げられる。

DAK.GGで自分の使用するキャラクターの上位プレイヤーを調べて、Twitchの配信者から探す事が可能だ。

リアルタイムで配信していなくても、Twitchでは自動的に過去の配信がビデオとして記録されているので、実際にプレイしている様子を見て学ぶ事が出来る。

また公式Discordで質問してみるのも良いだろう。

discord.gg/WRkZ5jN

他にもYouTubeなどで解説動画を見ると言った様々な手法があるが、残念ながら"調べる"という行為は、一般的なプレイヤーにはあまり浸透していない。

現状ブラサバERには他のMOBA、具体的なタイトルで言えばLOLなどの経験者が多いため、最初からある程度の知識があるが、新規には非常に高い壁であると言える。

運営としては、ゲーム内にルートガイドのシステムを導入するなど、ゲーム内で完結するように対策は進めているようだ。

ただこれらの壁は、適切なマッチングシステムが機能する事でも緩和される。

極端な話、どれだけ難しいゲームであっても、同じような強さのプレイヤー同士での対戦が成立すれば楽しめるという考え方だ。

そのためには、継続的な新規プレイヤーの流入と、成長して層を厚くして貰う為の定着率が重要なのだ。

現状ブラサバERの運営としては、基本的なUIなどを中心に改善して、なるべく初心者にも解りやすくなるように尽力している傾向が伺える。

新規ユーザー獲得の為の下準備といえる段階であり、これは筆者も同様に思う。

準備が出来ていない段階でのプレイヤー数の増加は、不適切な経験と口コミに繋がり、将来的な損失に繋がる危険がある為だ。

既にこのゲームに興味を持っている、またはプレイしている層にとっては、もどかしく感じるかも知れないが。

2.体感と納得感

これがブラサバERが抱えている最大の問題点であると筆者は考える。

公式からは統計や、バランス調整に関しての見解や方針が発表されている。

ここで重要なのは、勝率のみで調整されている訳ではないという事だ。

酷い偏見を出してしまうが、正直プレイヤーの多くは正しいゲームデザインなどに興味はなく、体感上で楽しいと思えるかどうかが全てだと思う。

そして対人ゲームにおける楽しい瞬間とは、勝利したタイミングだ。

しかし計算上では、キャラクターの勝率が低くても、平均順位やキルが高ければ高評価となり、むしろ弱体化される恐れまである。

またゲームの特性上、プレイヤーに非が無くとも勝利の目が消える事は多々ある。

例えばどこか遠くの戦闘で大量キルを獲得して育った化物が、自分よりも高い機動力で追っかけてきて不可避の死を遂げたり、生き残っても二位決定戦の試合になる事もある。

このある意味では理不尽とも言える要素は、自分が恩恵に与る事もあるのだが、プレイヤーが納得する事にはあまり期待出来ない、何故なら人間にはネガティブな情報の方が記憶に強く残るという性質がある。

またランクシステムで遊んでいないプレイヤーの視点では、キルや平均ランクではなく、勝率が全てとも言えるので、その場合においてはバランス調整そのものが正しくない行われていないと捉える事も出来る。

これらのプレイヤーの主観に対して、現状解決する術がない。

そもそもバトルロワイヤルという仕組みが、最後の生き残り以外を敗北とみなすルールであり、流行りのジャンルである割には随分と酷な構造なのだ。

細かな誤魔化しとしては、例えばリザルト画面を三段階に分けて、一位の完全勝利、ポイントプラスの勝利、ポイントマイナスの敗北に分けるなど、イメージの側面から緩和する事は可能だと思う。

ブラサバERの持つ数値と体感のズレ、また納得感をどう調整出来るかが、この先生きのこれるのかの分かれ目になるのではないだろうか。

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