12枚目 「 靄の中をゆく 」

やはり、眠るのが下手くそな日がある


ずっと頭の中にいる痛みの虫が新年会でも始めているのだろうか
君たちはこんな頭の中にひきこもらなくていいよ

深いため息は歯磨き粉のにおい

耳から甲高い音が漏れているのかと
勘違いするくらいには騒いでいる


私は悩みがないとは思っていたが
この大騒ぎには、ほとほと参っている


しかしながら、近頃それ以外にも
悩みまではいかなくとも困ったことがあり
頭の中に靄のがかかるようになってしまった

その靄の原因は明白ではあるが明言はしない
もう少しこの靄のかかった頭の中という状態を楽しみたいから

ただ、その靄の発生源がどこだかわからない
気持ちから出ているのか思考から出ているのか

それさえわかれば
大きく吸って吐き出してしまえるのに


それは、重く、甘ったるく、少し冷たい
頭のどこかしこにまとわりついて
気づいた時にはどこかへ消えてしまう

消えたら消えたで痛みの虫が騒いでいるが
靄が出ている時は静かにしてくれる

痛みの虫とはもう長い付き合いだがわかってくれている
さすがは私の頭の中に住まうことだけはある

君たちも一緒に発生源を探してくれればいいのだが


そういう訳にもいかず
私は頭の中で、痛みの虫たちの横で発生源を探す

おおかた場所の見当はついてきた
おそらく複数箇所にある気もする


眠れない夜には
相変わらずホットケーキを焼いてはいるが
少し失敗してしまうことが増えた

靄の中、探しものをしながら焼くといけないね

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