28枚目「 日々を送るために 」

秋が見えたと思えば
その背中を見送るような寂しさを覚える

やり場のない想いを胸に
心には寂しさを詰めて
来ない連絡気にしても携帯は鳴らない

独りになりたくなくて
今日もどこかへ足を運ぶ

朝でも夜でも目的地はなく
ただ、人の気配のある方へ

夜は静かに寂しさを押し付けてくる
今はそれは受け取れない、と私はいう

夜から逃げるように急いで
いつものお店へ行く

息が切れ、気もそぞろなのに平常心を装って
お店の扉を開けては歪んだ笑みを貼り付ける

友人が迎えてくれるのはとてもいい
詰めていた荷物が勝手に降りた気がする

朝までここにいさせてほしい
注文よりも先に頼んだ

友人が入れ替わり立ち替わり
夜を出入りする

明日もこの夜が来て逃げなきゃと思うとゾッとする
また誰かの生活に隠れなきゃいけない

もう赦して、楽にしてくれ
そう思っているけれど

向き合わなきゃいけない日が来る
多分ある、はず

それまで夜から逃げ果すことができるだろうか
いつか夜の寂しさを受け取れるだろうか

気丈に振る舞う為にも
もう少し友人に頼らせてもらおう

会いたくないと思われても
観られたくないと思われても
忘れられ、無かったことにされても

自動で来る日々を送るため
毎晩重い荷物で夜逃げする

明日も、そのまた明日も
いつまでも、どこまでも

その日が来るまで何度でも

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