25枚目「 落とし所 」
何かにつけて雨は降り
肌にしつこくまとわりつく湿気に
苛立ちと諦めをおぼえるこの頃
束の間の落ち着きはどこへやら
低気圧のせいか頭は響き
心做しか身体も重い
日々がどんよりと過ぎていく中
引越しをする
何故こんな時期にと自分でも思うが
いくつか理由があって
まず大きな理由として
今の住まいにはあまりいい思い出がない
病んで通院してたこと
流行病で職を失ったこと
相手の気持ちを断ったこと
何も出来なかった日々のこと
穴は空かなかったが見つめた天井
陽の射さない暗く陰鬱とした部屋
8畳一間に嫌な残り香が漂うように
部屋の中に滞留している
部屋としては申し分なく
特に不自由なく使えているものの
私にとって嫌な物事が
滞留して圧迫してきていて苦しい
それに伴ってか、ふたつめの理由として
私の中も整理したいと考えている
私のしたいことや好きな物事
かなり私的な部分を再構築したい
これまでにも綴ったとは思うが
私には好きだと言えるものが無い
(19枚目「 愛で圧死 」で綴っていた)
もちろん好みはあるので
あれやこれやと選ぶことはできるものの
好きなのかと問われると
いや、、、???となってしまう
その度に私には愛がないのか
愛することが出来ないのか、と
かなり悲しくなってしまう
私は何も、誰も愛せないのではないかと
自問自答を繰り返しては
また天井に穴を空けんとしてしまう
私は何をしたいんだろうか
私は何か好きなんだろうか
私に愛はあるのか
私は愛せているのか
私が愛していいのか
ますます拗れてくる
もともと拗らせてしまって
救いようが無くなってる節はあるが
いつか私に何かがみつかった時
私は私自身を愛せるだろうか
愛せないなら
ずっとひとりでいる方が楽かもしれない
そんなことを日々考えながら
荷物をどんどん詰めていく
これは要らない
これも要らない
冗談のように可燃ごみが増えていく
気づけば私は何も持っていないのかと思った
手からこぼれ落ちた小さなおもちゃは
箱の中に落ちたのかごみ袋に落ちたのか分からない
私の手には何も残らないのかもしれない
そう思うと少し怖い
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