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2021視聴アニメ感想~冬クール~

お久しぶりです。体調が思うように上向かず、更新が遅れてしまいました。これから1ヵ月ほどは年内に投稿しようと思っていた記事を完成させていく作業に入ると思います。

第一弾として、2021年内に視聴した作品を、全て批評していく記事を出します。冬、春、夏、秋、計4回にわけて行われますが、評価は全体で統一されています。また、既にTwitterの方に掲載しているランキングと順位は変わらないので、先に結果だけ知りたい人はそちらをご覧ください。

※断念しました。現在投稿されているのは冬クールのみです。

では行きましょう。2021冬アニメからあいうえお順で、最初の作品はアイ★チュウです。(全部読んでいただけるのが一番なのですが、19作もあるので、まず好きな作品からチェックして、その後に他の作品も読んでいただければと思います。)


1.アイ★チュウ

7.2/10点

・ソシャゲアニメとしては及第点の、各ユニットの絆を描くストーリー

・最終話に総力を尽くしたライブ作画

・人数が多すぎる作品の宿命だが、やや薄味。

さて、先頭のアイ★チュウが7.2点という評価になりました。高いでしょうか、低いでしょうか。自分としては真っ当な評価に落ち着いたと思っています。

この作品を見るにあたって注目したいのは、シリーズ構成の成田良美さんですね。この方は『アイカツスターズ‼』や『抱かれたい男1位に脅されています。』でも脚本を書いている方で、明快なエピソードを展開するタイプなので、安心して見ることが出来ました。

それで内容は…キャラの名前は…覚えられん!しかし、各ユニットやキャラクターの持つ悩みに親身に寄り添い、必ず前向きな答えを出すあたりに、制作陣の込めた想いを感じましたね。全部を覚えているわけではないのですが、印象的なエピソードが多かったです。

引っかかった部分は、三期生の4グループに加えて、先輩グループも物語の核に絡んでくるところでしょうか。明らかに尺が足りないですよね。登場人物は(男の娘ユニットからクマ校長まで)皆ユニークだっただけに、深堀り出来ないのは勿体ないなと。

しかし、ライブシーンの使いまわしや溶けそうな作画からギリギリの制作であったことは想像に容易く、又、アプリの宣伝がメインであることも加味すれば、仕方ない部分かなと。その辺りは、最終回にワンコーラス丸々使った作画ライブを見せてくれたのでOKだと思います。

少し癖の強い男性アイドルたちの彩る、アイ★チュウ。派手な形でのアニメ化ではなかったものの、キャラクターを愛し、作品に想いを込める人たちの作った、温もりを感じる一作でした。

2.EX-ARM エクスアーム

5.5/10点

・アニメとしては0点

・奥深さを感じるストーリー

・豪華声優陣

・エクスアームスマイル

はい、2021最低評価の作品です。アニメとしては0点なので、エクスアームスマイルのおまけで2点にしようか悩んだのですが、最終的に他の要素も全て評価することにしました。イジメみたいになるのはよくないですからね。

この作品については批評が必要なのかというレベルですが、まず視聴者(私)の度肝を抜いたのは3Dアクションの質の低さでした。これがもうひでぇのなんの。カクカク動くし、戦闘はスローモーションだし、とんでもねぇ作品が始まったなと。同時に「最後まで見届けなくては」と思ったのも強く覚えています。

協賛のロイヤルリムジンや声優陣の方々の尽力もあり、最後まで走り切ったエクスアームですが、ストーリーは興味深く、(まともな映像なら)SFとして評価できたのかなという部分もあります。色々と残念な作品ながら、しっかりと爪痕を残していきましたね。

サムネイル画像(通称:エクスアームスマイル)引用元:©古味慎也・HiRock/集英社・「EX-ARM」製作委員会 

3.ウマ娘 プリティダービー Season2 

9.4/10点

・史実に合わせた夢を描く物語

・泥臭く走り抜いた逃げ馬・ツインターボとのクロスオーバー

・終盤はやや予定調和感

元のファン層を完全に離れ、一般の視聴者にまで届いた『ウマ娘』第二期。制作スタジオをPAWORKSからstudio櫂に移し、その影響が心配されたものの、蓋を開けてみれば万全の状態でスタートを切る形となりました。

アプリの意外性で周知された部分はあったものの、2期の主人公がテイオーとマックイーンであったことも、世間から好意的に受け止められる要因になったと思います。そういう意味で、やはり彼ら(彼女ら)はアイドルホースなんだなぁという感じがしました。

内容面は1期から引き継いだスポ根と気の抜けたギャグをベースにしつつ、所々で二人に降りかかるシビアな現実もさらりと描き、ライバルとして、支え合う仲間として、二つの顔を持つテイオーとマックイーンの関係性を構築できていたと思います。

嬉しかったのが、二人が現実に走っていた頃より10年も後輩であり、実績も遠く及ばないツインターボが、テイオーの心に刺さる走りをしたこと。2話のネイチャたちといい、テイオー、マックイーンと”それ以外の馬たち”にも視線が伸びていた辺りに、この作品の競馬愛を感じましたね。

史実を元にした作品なので、終盤はテイオーのメンタルを超強化せざるを得ず、多少の予定調和感はありましたが、ラストの有馬記念はこの作品の最終話として間違いないものだったと思います。

あと、ライスの話忘れてましたね…もう少し評価を高くしてもよかったかも。何はともあれ、13話でテイオー、マック、ライス、ブルボン、ターボの物語を描いたウマ娘。(あれば)今後のアニメでも、それ以外のメディアでも、現実を戦い終えた馬たちの”これから”を描いていってほしいですね。

4.裏世界ピクニック

6.9/10点

・裏世界探索を通じて繋がる二人の絆

・怪異ものとしてはやや単調

・小桜さんカワイイ

佐藤卓哉監督の送るオカルト百合アニメ、なかなか渋い内容となっていました。裏世界は現実と地続きにあるような感覚で、いつの間にか入り込んでいたり、そうかと思えばスッと抜け出せてしまったり。

裏世界に異様な存在がウヨウヨいるだけでなく、現実に生きる空魚と鳥子も結構ぶっ飛んだ人間であり、”まとも”であるはずの小桜さんが結果として災難に合うという、反転したパワーバランスになっているのは中々機転の利いた仕組みだと思いました。タフでなきゃ裏世界は生き抜けないからよ…!

内容としてはまあ、在日米軍の人を置き去りにしたり、猫と格闘したり、小桜さんを待ちぼうけにしたりと、ともかくはっちゃけていた印象ですが、同じく心にぽっかり穴の空いた二人が、奇妙な体験をしつつ、接近していく様は、説得力のあるものでした。

それだけに、オカルト要素がふんわりしていたのは惜しかったかなぁ。理解不能なものと戦うわけだから、理解できるものであってはいけないのかもしれないけど、心に訴えかけるものが無かったかなと。例えば恐怖、若しくは後味の悪さなど、記憶に残るような演出はほしかったですね。

5.SK∞ エスケーエイト

9.0/10点

・ボンズの美麗作画が最大限発揮された街並みやバトルシーン

・”スケボーは楽しい”という原点を経て、勝負論への展開も見事

・悪役である愛抱夢がケジメを付けなかった部分はマイナス

2020年秋の『体操ザムライ』から新設されたテレ朝ANiMAZiNG!!!枠より、遅い時間帯ながら反響を見せ、新作アニメも決定したSK∞が9点台に乗りました。

放送当初は「良作なのに話題になってない!」と思っていたので、どこから広まったんだろうと不思議に感じましたが、5話のあたりで既に火がついていた印象です。恐らく自分の知らないネットワークが存在するのでしょうね。(体操ザムライも良作です。みんなみてね)

SK∞は監督に内海紘子さん、シリーズ構成に大河内一楼さんと実力のあるメンバーが揃っており、制作会社のボンズも『ジョゼと虎と魚たち』で光るものを見せていたので、順当に行けば良作になるだろうと思っていました。実際、全てが上手く噛み合って出来た作品になったと思います。

1話/2話で”最高に楽しいスケボー”を描き、ランガがSK∞の世界に入ってくる説得力を持たせたうえで、中盤以降は寧ろレキの持つ”楽しさ”を揺さぶり続けた点は面白いなと。勝負には負ける、特別な存在には置いていかれる、それでいて何故スケボーを続けるのか?

その問いに答えることで、序盤に描いた(漫然とした)救いとしてのスケボーを脱却し、真実ここにある、レキだけのスケボーを見せつけた11話、『キング VS ザコ』は、極めてカタルシスの強い展開でした。

同時に、2話までの人を惹きつけるようなスケボーもやっぱり嘘ではなくて。ランガや視聴者はその土台を使って物語を受け取れるようになっている。でも、それだけではレキの物語を説明するのに十分な強さを持たせられないから、中盤は芯にある部分を揺さぶり続ける。スケボーの魅力とレキの存在をきっちりと分けて描く、冷静な作品だったなと思います。

逆に、ここまで書いてきたような説得力を、大人組(おっさんズ)には持たせられなかったかなと。彼らは最初から間違い続ける存在で、だーれも”今”の愛抱夢を見てないし、愛抱夢も”家”の苦しみに溺れて、闇に浸りきっているし。外(若者)の存在に壁を破ってもらわないと前進できない。そういう描写をされてしまった感じが否めません。

それでもチェリーとジョーは若者たちの保護者として彼らを守っていたし、愛抱夢は権力の中枢で孤独に戦っていたし。そういう意味で、間違いながらも若者を育て、次世代に託す、本当に”大人”としての役割を果たしていた人たちでもあったな、と。嫌いになれるようなキャラではなかったですね。

一応、9点台で高い評価になっているので、愛抱夢が特にケジメをつけることなく許されたことをマイナス評価にしていますが、自分の中では「こういう結末もアリかな」という感じです。欲を言えばやりすぎた分の制裁はきっちり受けてほしかった。それくらいですかね。

6.怪病医ラムネ

7.9/10点

・人道主義を貫くラムネ先生の心意気

・ファンタジーながら真剣味のある医療ドラマ

・OPから作中の描写まで全体的にトンチキ

ノリノリのOPから始まる怪病医ラムネ、相当のツッコミどころも残しつつ、医療にかける情熱もしっかりと描いていたのでこの評価になりました。

10年古い作画と導入を見たときは「ダメかな…」と思ったものの、怪病に関わる登場人物たちはみな真剣に病と向き合っていたし、単に薬を渡して終わりではなく、ラムネ先生自身が患者を治すべくあれこれと手を打っている点に好感が持てましたね。

そのあたりはオカルト専門医である彼の専売特許であり、真の解決には全体の環境改善が必要だという点を踏まえ、場合によっては危険に立ち向かっていく根性の強さ、その危うさを両面から見据えていた部分があり、ラムネ自身の成長期としても捉えられる作品だったと思います。

作品として譲れない部分は本当に情熱的で良かったのですが、この作品はどうしても作画力や全体の雰囲気に劣る部分があり、そこはマイナス。でも、かなり好きな作品でした。原作のエピソードが十分であれば、次も見たいなと感じますね。

7.怪物事変

7.0点/10点

・全体的に纏まった、原作漫画の販促アニメ

・魅力は丁寧に描けているが、迫力不足

・紺ちゃんが非情に萌え

怪物事変は一言で「原作売りたいんだろうな」という感じの作品でした。アニメとして展開が遅い分、漫画にある(であろう)良さは十分出ており、この作品を見た人がそのまま原作を読んでも違和感なく入れるだろうという、優しい作りになっていましたね。

ただ、アニメが好きな自分としては中々に評価し辛いタイプの作品であり、画面の密度や情報量が意図的に下げられているので、もう少し拘りを見せてくれてもよかったかなという感じです。

登場人物が幼く純真な子たちであり、その点でぶつかり合いに駆け引きがない、曇りがないという部分は見やすかったですね。カバネたちのことも好きになれたと思います。

あとは見出しに書いた通り紺ちゃんがよかったですね。ああいう可愛くて可哀そうなキャラは何人いてもいい。探偵事務所に入って幸せそうにしてると ころをもっと見れたら更に良かっただろうなという感じがします。

8.ゲキドル

9.9/10点

・トンデモ設定ながら下地のしっかりしたSF

・主人公と関連しつつ、直接は交差しない物語

・気合に満ち溢れた演劇要素

年間最高評価の作品です。正直なところ全部が良かった。荒廃した世界観も、ロマンを求めて彷徨う大人たちも、情熱を滾らせて演劇に打ち込む主人公たちも、自分を魅了させてくれました。

ゲキドルの世界には「同時都市消失」(池袋LOST)の残した虚脱感が纏わりついていて、その中で新世界を目論む大人たちの陰謀と、今、この瞬間に発せられる情熱によって重みを克服しようとする子どもたちの熱量がうねり合い、奇妙なすれ違いを生みながら進んでいく様子が非情に面白かったです。

自分はSFがよく分からないので、ゲイザーとかイノヴェイターとかは何を言っているか理解出来なかったものの、そこは『終わりよければ全て良し』。全体として楽しませてもらえたと思います。

0.1点のみ引いたのは、この作品が完結する物語ではなかったこと。12話を見ればわかる通り、世界はいったんリセットされているので、せりあたちの物語は今後も続いていきます。その点で更に進展する余地があるとみて、9.9点という形にさせてもらいました。(完結編だった『劇場版少女☆歌劇 レヴュースタァライト』には10点をつけています)

その勢いで舞台を観に行けばよかったのですが、時世もあり見に行けず。非常に後悔しています。長く続いてきたシリーズということなので、またどこかで再会できたらいいな、と思っています。

9.五等分の花嫁∬

8.2/10点

・大幅に進化した作画

・1期に続き魅力的な5人のヒロインたち

・見やすい正統派ラブコメ

結構高めの評価にしました、五等分の花嫁2期です。1期が酷すぎた反動もあるかもしれない。でも、自分はかなり好きでしたね。

まず、作品を大量に見ている手前、声優アンチということもないし、特定のキャラクターを嫌いになることもほぼないので、5姉妹揃って人気声優のこの作品は自分に合っているのかもしれません。

それから、2期で五月を好きになったことも大きかった。1期の時はよく食べる以外に特徴がなかったものの、今期は風太郎と4人の姉を見守る存在として、いいキーパーソンになっていたと思います。

全員同じ顔と言いつつ、5人は完全にキャラクターが違うし、正ヒロイン争いをする人数としては多めなので、場合によっては魅力を食い合う可能性もあるのですが、2期ではいい緊張感が保てていたかなと。2期が纏まりのある展開だったので、ここから崩れることはない気がします。

マイナスポイントは、見出しに書いた通り「正統派」な部分。読んで字のごとく”正統”なわけで、皆に受ける内容は詰め込まれているものの、自分だけに刺さる要素は多くなかったなと。シナリオなどに悪い部分はなかったので、それだけですね。

10.SHOW BY ROCK!!STARS!!

8.5/10点

・3クールかけたSB69シリーズの集大成

・クロスオーバー要素も○

・男子パートを見ていない分、高めに評価

SB69☆はオールスターアニメとして作られたのですが、自分は『SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!』の男子パートが全く合わなかったので、彼らの出演する部分は全て飛ばしました。他作品と比較して評価部分が少なくなってしまうので、点数を高めに調整しています。

1話から容赦なくMashumairesh!!を牢屋に放り込み、それ以降もプラズマジカとの交流を穏やかに描きつつも、時には修行のため山道を登らせたりと、キレのある脚本が目立ちました。

片方がレジェンドとして扱われるわけでもなく、両者ともに対等な形で描かれていたので、ましゅまいしか見ていない自分でも見やすかったですね。どうしても先の作品が聖典として描かれがちな部分を、双方向に築いていく友情として描いたあたりに巧さがあったと思います。

逆にMashumairesh!!のメンバーは楽屋の差し入れを盗み食いしたり、それを隠すために躍起になったりと少々お子様気味で、成長を描いてほしかった部分もありました。それ以外は難しい点をクリアしていた作品でしたね。

SHOW BY ROCK!!シリーズが更にアニメ化されるかは分かりませんが、まだまだコンテンツは続いていくでしょうから、どこかで縁があったらいいなと思っています。

11.装甲娘戦機

6.2/10点

・絶望的な戦局の中で、遊び心も忘れないゆとりある構成

・遊びすぎ

・旅アニメとして、各キャラクターの未練に寄り添った部分は好感

装甲娘戦機、”もっと評価されるべき2021年アニメ”1位にランクインしたにもかかわらず、この順位となりました。下にリンクを張りましたが、この記事には私のフォロワーさんも参加されていて、自身のTOP1.2を張る作品(ゲキドル/BLUE REFLECTION)が3位以内に入っているなど、相当正確な内容になっています。コアなアニメファンの世界を知りたい人は、是非一読してみてください。

で、低評価の理由なのですが、幾ら何でも遊びすぎだろう、というのが自分の見解です。重たくシリアスな雰囲気を作ったかと思えば、次のエピソードでは頭を抱えるようなギャグが待ち受けていて、ジェットコースターに乗っているかのような作品でした。

それについていけるかどうか、というのも、作品の評価を分けた部分なのでしょうね。自分には旅アニメの素養がなく、修学旅行に参加できなかった各キャラクターたちの想いを汲み取ることが出来なかったあたりにも差が出たと思います。

最終的には夢オチ(?)という形になりましたが、AIであるネイトと共に過ごした5人の日々は間違いなく”楽しかった”ものであろう、と伝わってくる部分もあり、命懸けでありながら、しかし確かな絆を結ぶ、不思議な作品だったと思います。

次に装甲娘戦機のような作品に巡り合った時、底抜けに「面白かった!」と言えるような自分でありたいですね。

12.たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語

8.5/10点

・小気味よくテンポのいいギャグ

・全体で統一された温かい雰囲気

・日常アニメのように気軽に見れる作品

Twitterの方でこの作品を入れるのを忘れていました。評価はSB69☆の一つ上がちょうどいいかな、と思います。展開は一纏まりになっているものの、単調になりすぎることもなく、楽しませてもらいました。

この作品の特徴として、なろうの異世界ものとしては珍しく、穏やかでシリアスな展開にならない部分があると思います。なろう+ギャグでもメインの登場人物が人殺してたり、村一つ焼いたりという暗さのある中で、ラスダンには後ろめたい設定がほぼなかったな、と。

前提の世界観もうまく、実際に主人公は故郷だと最弱の少年なので、謙遜が嫌味にならないのも良かったですね。自分はRPG系をポケモンしかやったことがないのですが、チャンピオンロードで出会うトレーナーが最初の草むらにいたら多分ソフト放り投げるので、頷けるものがありました。

ベルト姫を筆頭に女性キャラは可愛く、野郎共も愛着の湧く登場人物ばかりで、かなり好きになれたと思います。2期が来たら絶対に見たい作品ですね。

※なろう+ギャグで例示させていただいた作品

13.Dr.STONE(第2期)

8.0/10点

・1期から引き続き科学チートで石化世界に革命を起こす

・メンバーも揃い順調で賑やかな村開発

・戦争パートは二項対立的で広がりに欠けた

正直に言うとあまり覚えてません。Dr.STONEは聞き流しているだけでも十分面白いので、理解にかける労力をあまり使わなかったせいかと思います。

で、今回はキービジュアルに書いてあるようにSTONE WARS(戦争)の話であり、生存戦略、開発、対外交渉の全てが戦争に向けたものとなりました。その点で、1期にあったような奇想天外さや発想の自由度は下がってしまったように感じます。

2期では新しい仲間も登場しましたが、1期のメンバーが成長著しく、科学王国を作り上げるに相応しい度胸や機転を見せていて、そこは嬉しい部分でしたね。

戦争面では、20秒作戦はちょっと無理があるように感じたものの、休戦協定での終結は収まりがよく、最後の千空と司の会話も胸にズシンとくるものがありました。

日本列島での戦いを集結させた千空は、いよいよアメリカへ。3期は既に放送が決定しています。楽しみですね。

14.のんのんびより のんすとっぷ

9.6/10点

・のんのんびよりに相応しい、美しい背景と情緒溢れるエンドマーク

・新キャラの篠田あかねを接点に、村と街が溶け合う

・既存メンバーもそれぞれ成長する、優しい空間を見事に表現

年間4位の作品です。正直、この作品ほど”育った”な…と思ったアニメもありません。1期から超実力派であったのは間違いないのですが、2期と上手く折り合いがつかず、劇場版で(個人的に)息を吹き返し、3期で完璧に終わる。

自分史の中でのんのんびよりに匹敵するほどエモーションに溢れた関わり方をするコンテンツは、もう今後出ないといっても過言ではないでしょう。そういわしめるくらい、3期は欠点のない作品でした。

まず話題に上げたいのが9話。作品全体からキャラクターの成長を見守る視点があるのんのんびよりですが、こまちゃんだけはギャグ要員として使われる場面が多く、どうしても取り残されているような感覚がありました。

しかし、9話では散々ドタバタやったあとで母を頼り、少しだけ出来なかったことが出来るようになる。このような描写は、記憶する限り劇場版まで見られなかったんじゃないかなと思います。

若干7歳にしてしおりちゃんの御守りを務め、適切な言葉遣いに苦労するれんちょんの才を見れば、取るに足らないような成長なのかもしれません。それでも、確かに彼女たちの住む”田舎”の空気は平等に流れていて、それぞれがそれぞれにあったペースで、成長する機会が与えられている。その点を明確に示したのが凄く良かったなと思います。

エピソード的には前後しますが、そのような視点は村の人間だけに与えられる特権ではなく、その場にいる人たちと関わり、村に踏み込めば、外部の人にも与えられるのだと示した8話も、またよかった。このエピソードは自分の2021ベスト回TOP10に入っているので、詳しいことは別の機会に取り上げようと思います。

それから3話…10話…11話…良かった回を挙げると枚挙に暇がありませんが、全体的に文句のつけようがないエピソードが続いたなと。1期の放送当時から追ってて10話で感動しなかった人いないんじゃないかな…もう、あらゆる部分が良かったですね。

物語の終結を明らかにすることで、最高のエンドマークを打ったのんのんびより。きららでも難しい日常系の”完結”に、今ではすっかり異世界転生にその場を譲った感のある非きらら日常系が辿り着いた事実こそが、この作品の価値を証明するものなのではないかなと思います。

まだちょっとだけ続くようなのですが、初放送から7年間、ずっと楽しませてもらいました。この作品に出合えて本当に良かったと思っています。ありがとうございました。

15.バック・アロウ

9.4/10点

・後半に向かって尻上がりに面白くなる作品

・一人に一つの信念を与えつつ、固定の価値観からは距離を取るバランス感覚

・前半はややインパクトに欠ける

”鬼滅”のLiSAが『炎』のあとに主題歌を務めたバック・アロウ、面白くなったのは藍井エイルにOPの座を譲った2クール目からでしたが、全体通して楽しませてもらいました。

この作品は信念が強いほど戦いにも有利というシンプルなルールを取っているのですが、その設定に引きずられることがなく、ある信念で一つの問題を解決したと思ったら、その価値観の見落としている視点から次の騒動が巻き起こるという、バランスの取れた世界観になっていたと思います。

ムガ・ブライハイト・リンガリンドなど興味深い設定も多く、掘り下げればもっと面白くなりそうな作品だったので、壁の外へ出て乱れた世界(システム)の秩序を安定化させる手段を探すという、やや投げっぱなしのエンドになったのは残念でしたが、1クール目からの期待値を大きく超える活躍を見せてくれました。

全体通じて芯の強いキャラが多かった印象ですが、やはりゼツ凱帝が際立って濃いキャラだったなと思います。彼の散る21話『誰が私を止められるのか』はベストエピソードTOP10に選ぼうかと思ったくらい。こういう前半を追っていたのが報われる作品があると、とてもいい気分になれますね。

16.ホリミヤ

8.7/10点

・青春群像劇のお手本のような作品

・12話で一気に完結まで突き進む思い切った尺の使い方

・キャラクターデザインが個性的

ありそうでない正統派青春作品のホリミヤ、1クールで全て出し切ったこともあり高い評価となりました。

中々自分の中に青春群像劇という経験値がなく、探り探りの視聴になりましたが、言うまでもなく面白い作品だったと思います。どこまで文字に起こせるかわからないのですが、中身についても触れていきましょう。

ホリミヤの特徴としては、やはりベースに思春期というところがあり、どんなキャラクターにも、他人に見せていない(一部の人しか知らない)一面があると示されて、特有の悩み/救いを与えられるという公平な視線が合ったと思います。

堀さんと宮村の出会い、それから二人が堀家で作っていく空気もそうだし、吉川ちゃんが石川のことを好きなこと、石川がそれを知らず堀さんのことを好きなこと、終盤には河野さんも石川に好意を持ち、しかし告白の回答を聞かないまま身を引き、彼女の魅力を知る仙石は「桜を選ばないなんて、そんな男は退学者のバカだ」と思うこと…全体が数珠つなぎのように繋がっていく作品だったなと思います。

こういう視点はメインキャラクターだけでなく脇役にまで伸びていて、妹に対する愛情を見せた井浦、堀さんにビビりながらも何やかんや許されている谷原など、多面的に人間を捉えることが徹底できていましたね。

その中でも光ったのが綾崎レミの存在で、最初の登場は非常に感じが悪く、自分本位でワガママな子という印象を受けるのですが、実際には生徒会に差す温かい光であり、他のキャラクター(由紀ちゃん)とも本質的なやり取りが出来る人物で、中盤から終盤にかけてガラっと印象が変わる。そういうところがこの作品の優れた部分だったと思います。

あと、キャラクターが可愛かった。線が細いので、男性キャラクターも可愛い感じに纏まっていたし、目に優しいアニメだったなと。原作の良いところを一気に突っ走るという10倍界王拳のような手段を使っているので、面白さを感じ取りやすい部分はあったとしても、いい作品だったなと思います。

17.無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

9.0/10点

・『異世界転生の始祖』の名に恥じない、綿密に練られた世界観と物語

・天才であり未熟者でもあるルーデウスへ向けられる、各キャラクターの確かな愛情

・杉田智和

冬クールと秋クールに放送されるという、統一した評価が容易でないスケジュールで世に送り出された無職転生、原作の再現モノとしては珍しく、かなり高い評価となりました。

原作の流れを丁寧に追っていく作品は、『怪物事変』でも書いたように1話当たりの情報量が低下しやすく、アニメ好きとしては退屈に感じることも多々あるのですが、無職転生は画面を余すところなく使って、シーン一つ一つに深い意味を持たせていたので、自分でも興味を失わずに見ることが出来たなと思います。

それが出来るのは当然それだけの人気があるということだし、実際に無職から神童へと生まれ変わり、ルーデウス・グレイラットとして第二の人生を歩みだす男は、打算や慢心で失敗もしつつ、何とか甘いだけではない異世界を生き抜いていくという、難しくて見応えのある人生を送っているなと感じました。

シルフィやロキシー、エリスとヒロインも少し懐かしさを感じるキャラクターで皆可愛く、魅力的だったと思います。『異世界転生』のベースも殆ど抑えており、教科書として使えるような一作でした。

23話で一端の幕引きにはなりましたが、まだまだ続きが見たい作品です。2期の放送があったら絶対に見逃せないですね。

18.ゆるキャン△ SEASON2

9.4/10点

・2期も自分たちの魅力を見失わない、穏やかで落ち着いたキャンプ生活

・日常の中にあるささやかな喜びを、余すところなく表現する構成力

・それぞれの楽しみを独立して描きつつ、集まっても尚楽しいキャンプの奥深さ

今夏に劇場版公開を控えたゆるキャン△ SEASON2、年度10位に堂々ランクインしました。この作品は1期(放送当時)だと『三ツ星カラーズ』の方が先に刺さって、合う合わない云々と言っていたのですが、2期は文句なしのクリティカルヒットになったと思います。

この作品の一番の長所は、自分たちの”強み”を知っていることだと感じます。監督の京極義昭氏が手掛ける印象的な風景もそうだし、時に孤独を楽しむ中でも、集まれば温かい雰囲気になる田中仁氏の脚本もそうで。パフォーマンスが安定していて、作品の魅力を存分に出せる下地が揃っているのは、大きいと思いますね。

そんな安心感があるので、実は中盤の展開をよく覚えていなかったり。ただ、これはつまらないという意味ではなく、本当にリラックスして作品を受け取ることが出来たということなので、やはり凄いなと。それでいて、4話の『バイトのお金で何を買う?』はベストエピソードTOP10に選出されているので、本当に隙のない、なんでも描ける作品になっていました。

一人で楽しい、皆で楽しい、多様性と寛容に包まれて一人一人が成長していくゆるキャン△という物語。多くの人たちに支持され、勢いそのままに劇場版へ。今から夏が楽しみです。

19.Levius

8.8/10点

・物語の殆どがジムと闘技場で展開される、思い切った構成

・レビウス陣営に宿る健やかな精神と、対極的なDr.クラウンの狂気

・3Dバトルアクションとして、非常に完成度の高い戦闘モーション

2019年にNetflixオリジナルアニメとして配信されたLevius。1年と少しの時を経て、2021年冬に地上波でも放送されることになりました。「ネトフリアニメは外れ」の声を乗り越えて高評価を挙げた、もっと多くの人に知ってほしいと思う作品です。

Leviusは19世紀を舞台に”機関拳闘”という、機械を使ったボクシングで戦う少年の物語を描いた作品なのですが、主人公のレビウスは物静かで殆ど喋らず、試合と訓練/作戦会議で8割の時間を使う、思い切った構成になっています。

しかし、戦災で両親を失った(母は植物状態)レビウスの闘志は確かに感じられるし、彼を支えるザックの親心や、途中から陣営に加わるナタリアとの血の通った交流により、この作品が単に冷徹な戦闘マシーンの話でないことを強く感じ取れます。寧ろ、少女を道具のように使うDr.クラウンとの対比で、”家族”というものが強調されていることも分かります。

戦闘も熱く、亡きチャンピオンの想いを受け継ぐヒューゴ・ストラタス、ラフプレーに及んででも機関拳闘にしがみつくマルコム・イーデンなど、魅力的なキャラが多く、レビウスも戦いの中で成長していきます。

3Dで描かれる戦闘モーションも良質そのもので、この作品のために原作者の中田春彌氏もミーティングに参加してくれたのだとか。特に機械の両腕から吹き上がるスチームは作中でも迫力を放っており、試合の緊張感が伝わってくるようになっています。

その上でDr.クラウンに魔改造された少女は絶望的に強く、次回はどうなるのか、と毎週楽しみに待っているほどでした。これほどの良作が埋もれてしまうのはもったいないので、もっと広まってくれたらな、と思います。


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