見出し画像

8/27-28

今回はきんいろモザイクと劇場版レヴュースタァライトの二本。あと90分以内の投稿が至上命題なので日常的なことを呟く暇は……多分ない(スタァライトの内容は昨日書いた)

※間に合いませんでした\(^o^)/


1.きんいろモザイク Thank you! 感想

さて、きんいろモザイクについて……この作品は私が初めて見たきらら&日常アニメで思い入れの深い作品。今回も配給の気合いの入れ方にぶつくさ言いつつ(恐らく)関東で最大のスクリーンを用意していた新百合ヶ丘に行ってきました。

百合の聖地(?)な百合ヶ丘に行くのは実のところ初めてで、慣れないイオンシネマのシステムに戸惑いつつ購入。8年間続いたきんいろモザイクとの不思議な関係に決着をつけるため、映画館に乗り込みました。

アニメ・劇場版1作目・劇場版と追い続け、間違いなく好きであるにも関わらず、グッズや単行本の類を全く持っていないこの作品。2013→2014といえば今に伝わる日常アニメの金字塔が多く排出された時期で、きんモザ、のんのん、みでし、ごちうさと多くの秀作がせめぎ合う状態でした。

そんな中できんモザは「好きだけど、追えない」という形になり、その慣性でここまでやってきてしまったところはあります。

それでも無理なスケジュール(直後に大阪へ移動)を組んでまで劇場版1作目を見ようとして危うく深夜バスに乗り遅れたり、2019年の犬フェス2でRhodanthe*目当てに会場へ駆けつけたり、やっぱり思いは確かなものだったと思います。

特に犬フェス2は一番聴きたかった『さつきいろハルジオン』がピンポイント(しかもフル)で流れたので、感無量。あれは嬉しかった。

前置きが長くなりましたが、ここから劇場版の感想に入りましょう。率直に言えば……最後まで、いつものきんいろモザイクだった!

底抜けに明るく、誰かが落ち込んでもすぐに他の子が引き上げたり、自分で解決したりして立ち止まることなく、金髪ガールズライフを送る少女たちの物語は、鮮やかな背景に彩られて卒業まで突き進んでくれました。

但し、ちょっと情報量が多すぎて自分も纏まっていないんですが……イギリスに戻ったアリス、留学中のシノが回想する形で修学旅行のエピソードからスタート。

始まってすぐに『きんいろローダンセ』が流れ、ここで何となくきんいろモザイクのテンポ感、作風を思い出せるようになってる。かかり終わった後は奈良に詳しすぎるアリスだったり、京都でもイギリスのことしか考えてないシノだったり、何とか恋バナに持ち込もうとするもののガサツ3人衆+ちびっ子に阻まれるあややだったりと存分にわちゃわちゃするエピソードがたっぷり詰め込まれ、この時点でお腹いっぱいになるくらいの多幸感が押し寄せて来る。

「いつものきんモザ」を意識した今回、本当に何気ない日常こそが宝物なんだと、特別な修学旅行で描く再序盤は、この作品が日常アニメの礎を築いた理由、8年間大切にしてきたコンセプトを感じることが出来てとても良かった。始まるまで楽しめるか心配だったけど、この時点でもう前のめりになってるもんな……やっぱり凄いアニメだ。

修学旅行が終わった後は各々が進路を決めて、”この先”に進むエピソードに入っていく。正直あまりにも遅く、時間がかかりすぎた卒業なのだけど、終わらない(繰り返す/絶え間なく続く)ことが重要な日常アニメを描く中で、その役割を全うした上で終えられるタイミングが正に今なのかなぁと、何となく納得感もあったり。

一人ずつ進路選びについて……まずはあややと陽子。仲良し腐れ縁な二人はやっぱり同じ大学へ進もうとしているけれど、一緒に進学できるのか心配で気が気でない。そんな状態のあややといつも通りな陽子は奇妙にすれ違って、告白と勘違いするようなドラマを繰り広げることで、やっと分かり合える。

それでも、好きだからこそ抱え込んでしまうあやや、それを全く不愉快に思っていない陽子のイケメン(陽子のせいだけどね!)が最後まで貫かれていて、大学に進んでもずっとこんなやり取りが続いていくんだろうなと安心できる一幕でした。真面目なあややがチャイム忘れるくらい意識を持っていかれるわけだからね……やっぱ、あややはガチ。

続いてカレン。アリスと一緒に居たいけど、まだ日本にもいたい。そんなせめぎ合いの中にいるカレンは、アリスに励まされて日本の大学を受けることに。今回カレンの悩みには一貫してアリスが寄り添っていて、やはりカレンにとってのヒーローは彼女なのだなとわかる内容になっていました。

私はカレンが橋から落ちてしまう回がとても好きなので、こういう形を最後まで保ってくれたのは嬉しかった。アリスが想いを伝えた瞬間にカレンの影が光に変わるのとかね……小さくてか弱そうに見えても、明るいカレンにとっての光はアリスなんだよね。最高。

アリスとシノはお互いがこれからも一緒にいたいことを確認して、卒業後にイギリスへ。想いを伝えようとして英語が出てしまうアリスと、それを一生懸命読み解いて、短くて心の籠った言葉で返すシノがいじらしく、可愛かった。

この二人も、やっぱり1期、2期、劇場版(1作目)で見せた関係を踏襲しているんですよね。特別なことは何一つやっていないのに不思議と楽しめてしまう。本当に凄い。

さて、全員の進路が明確になったあとは年も明けて受験モードへ。ここで全てを持って行った久世橋先生と烏丸先生があまりにもズルい。久世橋先生は大ボケすぎるし、烏丸先生は奇行の極致すぎる。でも、それもそれでいつも通りなのかもしれません。

修学旅行で金髪バカっぷりを遺憾なく発揮していた穂乃花ちゃんも、受験には一緒に参加。死にそうな顔を存分に見せてくれました。初詣のシーンでは猪熊兄妹も登場。陽子が合格の舞に吸い込まれて現実から目を逸らす美月ちゃん、それをジト目で見守る空也くんも可愛い。

他に語っておかないといけないキャラクターといえば、お姉ちゃん(勇姉)かな。今回も妹二人を見守る姉としての役割を全うしていたのだけど、修学旅行のお土産(空気)を無慈悲に叩き割ったり、喜怒哀楽が良く出ていて可愛かった。好きなキャラなので、結構出番があってよかったです。

そして受験→合格発表へ。実はこの部分、きららキャラットを読んで内容を知っていたのですが、カレンの合格しか確認してこないアリスが鬼畜すぎて思わずニヤリ。既読とか未読とか、全く関係なく楽しめました。

卒業式は直前に穂乃花ちゃんが玉乗り&ド緊張でらしさ発揮。アリスは泣いて、シノは笑って。二人の道はまだまだ続いていきそうです。

最後に日本での生活を惜しむ二人が、予定より早く着いた夏休み中の日本組3人を迎えて終わり。形が変わっても繋がっていて、一緒に居ればいつものように。きんいろモザイクが彩ってきた日常はこれからも、いつまでも。そんな予感をさせるラストでした。

ここまで書いてきましたが、以上になります。最後まで強みを見失わず支持されてきた描き方を貫き、少女たちの幸福な日常を描いてきたきんいろモザイク。『Thank you!』を題する劇場版はこれまでの締めくくりとして、最高の仕上がりになっていたと思います。

文中では触れなかったEDを聴いているとなんだか打ちひしがれそうな、いっそ清々しいような気分になったし、最後の威風堂々はシノのイギリスイメージ並みに安直で笑ってしまいましたが、4コマ発の作品として、4分割のフォトグラフが画面を仲良く埋める思い出ボムは、正真正銘のエンドマークとして相応しいものだったと思います。

背景は綺麗に、それでいて情報量は最小限に。あくまで少女たちの物語を主眼に描き続けたきんいろモザイクも、遂に終わりを迎えました。他にもきらら作品が続々と最終回を終えていて寂しい気分ですが、逆に言えば作者さんたちが新作を始められるチャンスでもあるのだと思います。きんモザは大学生編で続いてるみたいだしね。

きんモザと、原悠衣先生とまた会えるのを楽しみにしています。制作のstudio五組の皆さん、天衝監督(1.2期~劇場版1作目)、名和宗則氏(同副監督、Thank you!監督)、脚本の綾奈ゆにこ先生、その他関係者の方々、8年間お疲れ様でした。きんモザは私の人生です。本当にありがとうございました!


2.劇場版レヴュースタァライト 新規感想

スタァライトはこれで3回目。26日でチネチッタが終映だったので、25の朝に乗り込んできた。そろそろ落ち着いて見れるかなと思ったけど、情報量の洪水が凄すぎて、今回も噛り付いて見る状態でした。前回に引き続き、箇条書きでまとめです。この後、『レヴュースタァライト 感想』に2回分の内容を纏めて貼り付けておきます。

本稿 https://note.com/gyst_00/n/nef5083515114 

二周目 https://note.com/gyst_00/n/n8829dad53e16

・冒頭、ひかりはスタァライトの未練を断ち切るために東京タワーをぶっ壊し、華恋を突き放す。この時も華恋の身体から「ポジション・ゼロ」が出ているが、ひかり自身の感情だと考える方が自然(若しくは華恋の魂がスタァライトで満たされていることを確信する為の通過儀礼)

・『遥かなる船のエルドラド』の内容について、「塔を降りる」というモチーフとは多少異なる部分があるため、古書から一部引用する。

これはどういうことか。君は船に乗った。航海した。着陸した。上陸したまえ。-マルクス・アウレーリウス 自省録 神谷美恵子訳 岩波書店 P37

即ち、新たな旅路へ向かう(上陸する)サルヴァトーレと、その着陸を拒むアレハンドロの対比である。但し、華恋にはエルドラドへ向かう欲求がないため、彼女自身の心境は「航海」の只中であることに注意。

人は放っておくと飢えて渇き、次の欲望を見出すはずだが、華恋はスタァライトでの舞台に満足しすぎて、着陸する地点を見失っている。

なら、僕は何を目指せばいい!君を追って、船に乗った!…なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、行ってしまうのだ。友よ。

すまない友よ。私は行かねばならないのだ。あの大海原へ。

・7人がオーディションの回顧をするシーンで、西條クロディーヌは既に洗濯機(運命)を回している。まひるは洗濯物が見える窓の前で目線を落とし、逡巡を見せた後、ボタンを押す。

まひるが抱えているのは聖翔で過ごした日々に後ろ髪をひかれる思い、離れ離れになることの寂しさ、先へ進むことの不安、等々。

その後のシーンで香子は6人に背を向けるが、洗濯物を取り出したクロ(=先へと進む意志)に一睨みされて自嘲する。

但し、クロディーヌ自身も現状は卒業までの準備期間として捉えていた為、”既に舞台の上”という自覚はなかった。

また、このシーンでは大場ななが一人、外で洗濯物を干している。彼女は自身が新たな舞台へ向かっていることに気付いていたものの、その先で何をするべきか定められずにいた。

洗濯物を”干す”ことで、純那の煌めきへの執着と、再演に拘っていた頃の感情を乾かしている(区切りをつけている)と思われる。

・聖翔決起会は華恋とひかりの恐怖に関連があると書いたが、実際には作品の大部分に至って重要な部分となっている。

華恋・ひかり→互いに置いていかれるのではないかという恐怖

双葉・香子→隣立つ資格を得られないこと/離れ離れになることの恐怖

まひる→舞台女優として独り立ちできるのかという恐怖

なな・純那→再演が明確に終わること(=純那への執着も断ち切らなければならない)/眩い主役たちに差を突き放されることの恐怖

クロ・真矢→この二人は少し毛色が違う。真矢は自身に”感情”なるものが存在しないと豪語する。その中にある欲望(恐怖も含まれる)を引っ張り出すのが『魂のレヴュー』におけるクロディーヌの役割。

これに加えて、恐怖に足がすくむ中でも、先へ進む意志も示される。立ち竦む雨宮ちゃんを引っ張る際の「行こう、みんなが待ってる。」は劇中でも非常に力強い言葉で、これまでの舞台製作でも、前のめりになりがちな雨宮さんの脆さを、笹井ちゃんの広い視野で補ってきたんだろうなと想像できる名シーン。

囚われ、変わらないものはやがて朽ち果て、死んでいく。だから生まれ変われ!古い肉体を壊し、新しい血を吹き込んで。今いる場所を、明日には超えて。たどり着いた頂に背を向けて。今こそ塔を降りる時。

7人がトマトを食べる=新しい血を吹き込むのは、この直後。クロも聖翔での生活、真矢と高め合う日々に満足し、パリ進学に積極的な理由を見出せていないことに気付く。

前述のまひるとのシーンで、「”行く”っていうか、”帰る”っていうか…」というどっちつかずの状態だったものが、一点に定まる。

・ひかりはスタァライトへの未練にいち早く気付き、華恋を突き放すことでロンドンへ旅立つ。

しかし、その根底にあるのが”恐怖”という後ろ向きな理由であった為、次の舞台(エルドラド)を見出せずにいた。その消極的な態度をまひるに暴かれる

・『競演のレヴュー』における露崎まひるは舞台少女としての恐怖を克服し、未来へ向かう決心を固めている上に、役者を続けていく動機もはっきりしているスーパーまひる状態。ひかりがボコボコにされるのは自然の摂理

ワイルドスクリーンバロックでは、他のレヴューでも積極的な理由を持っている方が相手を導く形になる。

『怨みのレヴュー』:双葉の大学進学に関する動機ははっきりしている。対して、香子は相手に拒絶された(と思い込んで)縁切りを告げるので、後ろ向き。

しかし、想いを受け止めた上で、自身が双葉の飛翔を待つ立場であると認め、京都へ旅立った。

『競演のレヴュー』:上記。但しひかりは華恋を導かねばならない立場なので、まひるは彼女の恐怖心を丸ごと受け止め、自身も怖い中で道を歩んでいること、それでも舞台に立ち続けられる理由を告げ、背中を押した。

『魂のレヴュー』:真矢は”神の器”であるため、自身の中に積極的な動機も消極的な動機も所持していない。そのことをライバルであり続けようとするクロディーヌが指摘し、引きずり出す。

その結論になる部分は「私たちは永遠に、共に堕ちていく炎」。真矢の負けん気の強さや貪欲さが今後に対する熱量へと変わった。

『狩りのレヴュー』:このレヴューのみ少し様子が違い、開始時点では双方消極的かつ臆病な精神を抱えている。しかし、切腹を迫られた純那が一皮むけ、持ち前の不屈をバネにななを破る。

ななは純那の折れない精神を認め、”未来で、また”という根拠のない約束を信じ、役者の道を選ぶ。

・華恋とひかりのレヴューでは、華恋が『運命』以外の動機を持たず、それ故に恐怖心なども感じていなかったので、やはり彼女の心は過去へ引きずられていく(「戻ってきて!華恋!」のシーン)。

しかし、『手紙=運命』を信じ続けた過去の自分がひかりの手紙に呼応し、彼女を東京タワーへ送った。華恋の未来に対する動機は『最後のセリフ』がそのまま答え。

・前回、華恋は「見ない、聞かない」を継続した結果、スタァライト以外の舞台を感知できなくなってしまったと書いたが、更に、幼少期の華恋は何事にも「わからない」と言っている。

その彼女が唯一「分かった」こと=ひかりとの『運命』であり、それ以外から目と耳を塞いだ結果、人生全体が白紙の状態になってしまった。

-ここから先は単なる感想-

・漸く前半部を読み解けるようになったのだけど、結局3回見ても情報処理で手一杯だった。「まひるちゃんすごくかわいい」だけで見れるようになるには、あと数回かかりそうな気がする…

・見れば見る程、まひるちゃんの煌めきに中てられてしまう。危険ですねぇ、舞台少女というのは……

・華恋ちゃんの小学生時代がえちち

・『競演のレヴュー』において、大勢のスズダルキャットが観客として見守るのに対して、ひかりはMr.ホワイト一匹。多勢に無勢である。

・『狩りのレヴュー』における大場ななは、殆ど動かずに純那の剣を裁いている。『皆殺しのレヴュー』で見せた大立ち回りと違い、駆け回るシーンすらほぼなく、歩いて近づいて来るシーンも多い。つよい

・電車の中で、クロにからかわれてむっとするthis is 天堂真矢、多分演技ではない。ポンコツ……

このシーン、真矢/まひる双葉、クロ/純那、華恋/ばなな、香子と4グループの中でも一つ一つ区切られている。演出意図は上に書いたものを読めば概ね確認できるかと。

・キリンは燃え尽きたが、なんやかんやしぶとく生き残っててほしい。津田健次郎さんのせいですよ。

・バカバカ、バッ華恋←かわいい

・バッ華恋のシーンで「なんで演技しないの?」といわんばかりに近づいてくる手紙が怖い。あのままだったらぺしゃんこだったのだろうか…

・ひかり口上中の、短剣を振り下ろしてから高く掲げ、頭上で回す動作がとてもかっこいい

・ひかりはワイルドスクリーンバロックを終えて直接ロンドンに戻ったはずなのだけど、その直前に7人とも話をしていてほしいし……一番最初に駆け寄るのはまひるちゃんであってほしい。「もう!どこ行ってたの!心配したんだよ~!」「ごめんまひる……ただいま」という感じで。その後、みんなの前でにこっとひかりが笑うものだから、「ひかりが笑った!?」「ちょっと華恋!これどういうことよ!」「知らな~い」というやり取りが……

わかります。

・華恋が劇場版のラストで発する言葉は、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』という作品の締めくくりとして相応しいセリフだったと思う。”再生産”の物語なので、彼女が聖翔で歩んだ道のりやこれまでの人生を引き継いで、更に高みへ上って行くのでなければ別のお話になってしまう。その分で、何もなかった華恋が宝物の王冠や身に着けた口癖を再定義し、新たに意味付けしながら物語が続いていくことを示したラストシーンは、”卒業”を意識していたこの劇場版としても、3作に渡って続いたスタァライトとしても、納得のいくものだったのではないかな。

サムネイル画像引用元:原悠衣・芳文社/きんいろモザイク製作委員会 原悠衣・芳文社/ハロー!!きんいろモザイク製作委員会 原悠衣・芳文社/きんいろモザイク Pretty Days製作委員会 原悠衣・芳文社/劇場版きんいろモザイクThank you!!製作委員会 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?