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行政書士試験多肢選択式問題の予想問題を作成してみた3

前回の、行政書士試験多肢選択式問題を作成してみた2に続けて、今回も多肢選択式問題を投稿していきます。
行政書士試験の勉強において、多肢選択式問題は時間を割いて勉強してはいけない領域です。
そんな時間があるならば行政法、民法の択一式および記述式を解くべきなのです。
なので多肢選択式は、ここに投稿されている問題を解く程度におさめて、択一と記述を勉強しましょう。


予想問題一(憲法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 憲法二一条二項にいう検閲とは、( ア )が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき( イ )一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるものを指すと解すべきである。本件検定は、前記のとおり、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法二一条二項前段の規定に違反するものではない。このことは、当裁判所の判例(最高裁昭和五七年(行ツ)第一五六号同五九年一二月一二日大法廷判決・民集三八巻一二号一三〇八頁)の趣旨に徴して明らかである。 
 また、憲法二一条一項にいう表現の自由といえども無制限に保障されるものではなく、( ウ )による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受けることがあり、その制限が右のような限度のものとして容認されるかどうかは、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の( エ )及び程度等を較量して決せられるべきものである。
(最三小平成5年3月16日民集 第47巻5号3483頁)

解答と解説

解答
( ア )12( イ )( ウ )11( エ )17

解説
問題文は平成5年3月16日判例(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )12行政権
( イ )網羅的
検閲の定義は「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」です。
( ウ )11公共の福祉
表現の自由は重要な人権ですが公共の福祉とバッティングすると制約を受けます。
( エ )17態様
文章的には「15 被害」もありえますが、較量するものとなると”態様と程度”のほうがふさわしいでしょう。

予想問題二(行政法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 国家賠償法1条1項は、国又は( ア )の公権力の行使に当たる公務員が個々の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して当該国民に損害を加えたときに、国又は( ア )がこれを賠償する責任を負うことを規定するものであるところ、国会議員の立法行為又は立法( イ )が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり、立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。そして、上記行動についての評価は原則として国民の( ウ )判断に委ねられるべき事柄であって、仮に当該立法の内容が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法( イ )が直ちに同項の適用上違法の評価を受けるものではない。もっとも、法律の規定が憲法上保障され又は保護されている( エ )を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとして、例外的に、その立法( イ )は、同項の適用上違法の評価を受けることがあるというべきである。そして、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するための立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠るときは、上記の例外的な場合に当たるものと解するのが相当である。
( 最大判令和令和4年5月25日民集 第76巻4号711頁)

解答と解説

解答
( ア )( イ )( ウ )16( エ )18
解説
問題文は令和4年5月25日(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )公共団体
国家賠償法1条1項の条文は「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」です。
( イ )不作為
最初の空欄から考えると、立法行為(する)と立法不作為(しない)の組み合わせがピッタリでしょう。
( ウ )16政治的
「国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題」の判断は、政治的な判断です。他に適当な選択肢はありません。
( エ )18権利利益
「憲法上保障され又は保護されている」ものなので”7 人権”も入りそうですが、文章の最後のほうに「国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保」とあるので”18 権利利益”のほうが適当です。
このように、多肢選択式問題は知識だけでなく国語力でも解きましょう。

予想問題三(行政法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 現行法制のもとにおける行政上の不服申立制度は、原則として、国民の権利・利益の救済を図ることを主眼としたものであり、行政の適正な運営を確保することは行政上の不服申立に基づく国民の権利・利益の救済を通じて達成される( ア )な効果にすぎないものと解すべく、したがつて、行政庁の処分に対し不服申立をすることができる者は、法律に特別の定めがない限り、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は( イ )に侵害されるおそれがあり、その取消等によつてこれを回復すべき法律上の利益をもつ者に限られるべきであり、そして、景表法の右規定が自己の法律上の利益にかかわりなく不服甲立をすることができる旨を特に定めたもの、すなわち、いわゆる( ウ )を認めたものと解しがたいことは、規定の体裁に照らし、明らかなところであるからである。
 ところで、右にいう法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益であつて、それは、行政法規が他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる( エ )利益とは区別されるべきものである。
(最三小昭和53年3月14日民集 第32巻2号211頁)

解答と解説

解答
( ア )16( イ )12( ウ )( エ )
解説
問題文は昭和53年3月14日(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )16間接的
「不服申立に基づく国民の権利・利益の救済を通じて」とあるので、間接的に達成されるものということがわかります。
( イ )12必然的
法律上の利益の利益を有する者の定義は「当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消等によつてこれを回復すべき法律上の利益をもつ者」です。
焦って、”17 必要的”を選択しないように。
( ウ )民衆訴訟
「自己の法律上の利益にかかわりなく」提起できる訴訟は民衆訴訟です。
( エ )反射的
「制約を課している結果たまたま」とあるので”1 偶発的”か”5 反射的”ですが、題材は有名判例の文言でもあるので、反射的に”反射的”を選べるようになりましょう。

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