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行政書士試験多肢選択式問題の予想問題を作成してみた

行政書士試験において、一番得点を稼ぎやすいのは多肢選択式問題です。
ここは、最低でも20点、できれば24点満点を狙うべき領域です。
そこで、確実に得点を積み重ねるべく多肢選択式の予想問題を作成してしてみました!
ぜひ、解いてみてください。


予想問題一(憲法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )〜( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 実名報道がもたらす第一の効用は、実名報道の制裁としての働きの中に求めることができる。実名報道に、一般予防、特別予防及び応報感情の充足という制裁に固有の効用があることは否定し難い事実であろう《この効用をもたらす実名報道の機能を、以下、「実名報道の制裁的機能」という。》。
 しかしながら、犯罪に対する制裁は国家が独占的に行うというのが我が国( ア )秩序の下での基本原則であるから、実名報道の制裁的機能が生み出す効用を是認するとしても、その行使はあくまで( イ )の発動によってなされる法律上の制裁に対して付加的な限度においてのみ許容されるべきものであろう。したがって、本事件のように、刑の執行が完了し、刑の言渡しの効力もなくなっている状況下において、実名報道の制裁的機能がもたらす効用を( ウ )の可否をはかるうえでの( エ )の対象となる社会的利益として評価する余地は全くないか、あるとしても僅少である。
(最二小令和4年6月24日民集 第76巻5号1170頁)

解答と解説

解答
( ア )( イ )( ウ )20( エ )14

解説
問題文は令和4年6月24日判例(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )憲法
直前の一節に「犯罪に対する制裁は国家が独占的に行う」ものということから、”6 憲法”か”5 刑法”だろうなという感じですが、これは基本原則を言っているので、憲法で罪刑法定主義(31条)などが規定されていることを考えると、憲法が妥当でしょう。
( イ )司法権
直後の一節に「法律上の制裁」とありますので、司法権が妥当です。
( ウ )20プライバシー侵害
この判例を知らない場合は、ここは何が入るか迷うところですが、直後の一節で「の可否をはかるうえ」とあるので、「~があるかないか」ということです。
あるなしで考えると、入るべき選択肢は”4 特段の事情”か”10 個人の尊重”もしくは”20 プライバシー侵害”のいずれかになるでしょう。
この判例では「実名報道の制裁的機能」が論じられていますから”20 プライバシー侵害”が妥当でしょう。
( エ )14比較衡量
ここは( ウ )が決まらないと選びにくいですが、( ウ )がプライバシー侵害であるということに気づけば、そこから解答が導けます。
プライバシー権に関する有名な平成6年2月8日判例(裁判所ウェブサイト)にて、「前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは」と判示されていることから、プライバシー侵害は比べて決めるものということで、解答は比較衡量となります。

予想問題二(行政法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )〜( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 都市計画法は,都市計画について,( ア )な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず,当該都市について( イ )計画が定められているときは当該( イ )計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書き),都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項5号),このような- 8基準に従って都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する( ウ )を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであって,裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを( エ )したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である。
  (最一小平成18年11月2日民集 第60巻9号3249頁)

解答と解説

解答
( ア )20( イ )13( ウ )10( エ )

解説
問題文は平成18年11月2日判例(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )20健康で文化的
宅建を受験したことあるという方などは都市計画法の条文を知っている可能性がありますが、通常、行政書士試験受験者では知らない人が多いでしょう。だから推測から解きます。
すると、空欄のあとの「~な」という文末から考えると、”6 快適”か”16 効率的”か”19 画一的”か”20 健康で文化的”が日本語的にフィットします。
そして、都市計画法2条という法律条文の穴埋めですから、憲法25条1項の「健康で文化的な」を引用していると考えるのが妥当でしょう。
( イ )13公害防止
ここは難しいかもしれませんが、文脈から導くしかありません。
まず入りそうなのは、”13 公害防止”と”15 都市利用”と”18 国土利用”になりますが、国土利用は規模が大きすぎる感じがするので除外でしょう。
そして後の文章に「円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定める」とあるので、都市利用よりは公害防止となるでしょう。
( ウ )10諸般の事情
後の文章で「総合的に考慮した上で」とあるので、いろいろあるんだなということがわかります。なので、諸般(いろいろ)の事情だということになります。
( エ )濫用
行政裁量が違法となる基準は裁量権の逸脱と濫用です。ですから濫用となります。
ちなみに焦って、”17 乱用”を選ぶことがないよう気をつけましょう。多肢選択式問題では、よくこのような漢字違いトラップを仕掛けてくるので引っかからないように注意しましょう。

予想問題三(行政法)

 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄( ア )〜( エ )に当てはまる語句 を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 法定受託事務に係る都道府県知事の処分についての審査請求に関しては、原則として( ア )の規定が適用されるところ(同法1条2項)、同法は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の( イ )の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とするものである(同条1項)。そして、同法は、52条1項において、審査請求がされた行政庁(以下「審査庁」という。)がした裁決は関係行政庁を( ウ )する旨を、同条2項において、申請を棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない旨を規定しており、これは審査庁が処分庁の上級行政庁であるか否かによって異なるものではない。その趣旨は、処分庁を含む関係行政庁に裁決の趣旨に従った行動を義務付けることにより、速やかに裁決の内容を実現し、もって、審査請求人の( イ )の簡易迅速かつ( エ )な救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することにあるものと解される。
(最一小令和5年9月4日民集 第77巻6号1219頁)

解答と解説

解答
( ア )10( イ )( ウ )( エ )14

解説
問題文は令和5年9月4日判例(裁判所ウェブサイト)の一部分になります。
( ア )10行政不服審査法
全文を見渡した場合、行政不服審査法に関して述べていることがわかります。
( イ )権利利益
行政不服審査法の条文知識なので権利利益です。正確な条文の文言を思い出しましょう。
( ウ )拘束
裁決には拘束力があり、行政機関は裁決に拘束されます。
( エ )14実効的
行政不服審査法そのものの趣旨を述べているで”審査請求人の権利利益の簡易迅速かつ実効的な救済を図る”となります。この一節は、絶対覚えるべき一節ともいえるでしょう。
また、”7 実質的”や”11 効果的”や”16 効率的”といった、たくさん並んでいる紛らわしい用語を選択しないようにしましょう。本試験では、こういった選択肢を多用して惑わしてきます。


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