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転職失敗の絶望から人生好転した話1

1.転職失敗の絶望の始まり


俺は金がなさすぎて労働のみの人生だった時は

俺は何のために生きてるんだ?
と自問自答を繰り返していた。

労働して給料を得ても足りないので残業して必死になって労働した。
疲労とストレスで冷静な判断力を失い、生きる希望を失っていた時期があった。

まさに働くだけの廃人。

朝起きると前日の疲労感から会社を欠勤したい衝動に駆られ、絶望以外のなにものでもない状況下での出勤。

会社では重労働、パワハラ、周囲の人間はあいつが嫌いそんな会話ばかり。

明らかに人間関係崩壊。周囲は殺伐としていた。

最初の俺は元々それなりのホワイト企業に勤務していたが転職を考えた。
転職したいと思ったキッカケはホワイト企業の給料が安かったからだ。

手取り18万円くらい。

今より給料を上げたい。

この選択ミスが命取りとなり後の悲惨な人生がスタートする事になる。

事のキッカケはここから始まった。

俺の名前は森川。

ホワイト企業在籍時には俺も30代中盤に差し掛かり、転職するなら年齢的にも限界かな?

最後のチャンスに賭けてみようと考えた俺は、転職しようと決断する。

家族を抱える身なので次の就職先が決まるまでは辞められないので、有給を半日取ってはハローワークに通う事にした。

ハローワークに入ると、その当時周りには俺より年齢が高そうな人が多く、俺はまだやれるという安心感やら錯覚から、早くて今月中には書類を送りたいと思い

数日ハローワークに通っては、給料が高そうな5社くらいを絞り求人票をプリントしてそれを持ち帰り、家でゆっくり見ることにした。

帰宅して求人票をじっくり見ると、その中でも給料が最も高い会社が目に止まった。

仕事内容は鋳造というものだ。

体力が必要らしい。

それに対して仕事内容もよく分かってない俺は、前職は製造業だったので俺はやれると当時は感じていた。

俺はその鋳造という業種を全く知らない。

しかし前職が製造歴10年以上だったので俺は必ずやれるという安易な根拠や自信を持ったまま

昔は履歴書だけで良かったが、今は職務経歴書というものが必要らしい。
それを書いて封筒に収め、後日ハローワークで紹介状を貰い紹介状と一緒に郵送した。

書類を郵送し3日くらい経過した平日に俺の携帯が鳴る。

俺が書類を送った会社からだ。

どうやら面接をしていただけるそうだ。
書類審査は合格したらしい。

急で申し訳ないが明日に面接に来てくださいという事だった。
急いで俺は明日のためにスーツを用意する。

翌日の面接時間は10:00からのようだ。

俺は翌日に備えて今日はスーツを用意した後早めに寝る事にした。

翌朝、俺は渋滞等で遅刻したら困るので30分くらいで到着するはずの面接予定の会社を、2時間前の8時に家を出る。

明らかに早く着きすぎたため、俺は近くのコンビニで時間を潰す。

コンビニで潰す時間が経つに連れて俺の緊張が高まる。

時間10分前に面接予定の会社に到着し、時間正確に受付を通じて中へ入る。

前職はもちろん有給を使って面接に来た。

俺は受付の方に面接する部屋へ案内される。
失礼しますと俺は案内された扉を開ける。

俺の面接官の第一印象
優しそうな方で話しやすい。

前職は何で辞めたいのか聞かれた俺は給料が安いので転職を考えてます。
と正直には言えず、鋳造という仕事に興味があり、御社で働きたいと思いました。

という感じの受け答えで場を凌いだ。

本音は給料を上げたいに決まってる。手取り18万円だぜ。
大抵の転職を考えてる人間なんてみんなそうだ。
そんな事聞くまでもなく分かる。
内心はこんな感じだ。


面接を終えると、俺は工場内を案内される。

鋳造とは簡単に言うと金属を溶かして、それを型に流し込み製品を作る。

恐ろしく工場内が暑い。
そして怖かった。

機械音や作業音も凄い。
作業者全員が耳栓をしてる。
工場内の空気が重い。防塵マスクをしてる作業者もいる。

金属を溶かして貯める窯
近づくだけで熱風を感じる。
見てるだけで怖かった。

一通り工場内を案内され、俺と面接官は面接時に話をした部屋へ戻る。

最短で何日くらいに来れるか?を早々に聞かれた俺は前職の引き継ぎもあるので最短で1ヶ月後くらいになりますと答える。

面接官は現時点ではかなり前向きに検討してるとの事。
その後、挨拶を交わし俺は帰宅する。

帰宅途中、運転しながら俺は考える。

確かに給料は魅力的だ。

交代制なので手当も良く、残業も多いから稼げる。
しかし仕事内容は相当キツそうだ。

俺はこの時点では金の事しか頭になかった。

長い間勤務すれば次第に慣れる。
俺はやれる、そう考える。

帰宅した俺はもう一度今日面接した会社の求人票に目を通す。

今の会社より手当残業代を含めると10万円くらい多い。やはり金は魅力的だ。

見た目上の仕事内容は明らかに今より過酷。

体の負担を軽減して、仕事も慣れている今の安い給料の会社に留まるか、または給料は高いが明らかに仕事内容がキツそうな会社に転職するか。

難しい選択を迫られ俺は夜中まで悩む。

翌朝、俺は現勤務先に出勤する。
まだ俺の中では明確な決断は出ていない。

そのまま普通に作業をしてると俺の右ポケットの携帯が震える。

昨日面接があった会社からだ。

俺は作業を中断し外へ出る。

そして電話に出る。
昨日の面接官からだ。

森川さんの携帯電話で宜しかったでしょうか?
と昨日の面接官から連絡が入る。

今回の応募ありがとうございました。
採用させていただきます。という連絡だった。

俺の中では完全に決断してはいなかったが、感じのいい方だったのでその場の勢いに身を任せて

よろしくお願いしますと即答してしまう。
退職日程が決まり次第、連絡しますと伝えた。
これが俺の人生最大の失敗の始まりだった。

電話を切った俺は暫く呆然とする。

今の会社は13年間も勤務してるホワイト企業だ。
職場のみんなには世話になってるし、仕事も慣れてる。

離れたくない思いと、せっかく採用していただいた方への感謝の思いが交錯する。

完全に迷った状態で仕事を終えた俺は帰宅する。

帰宅した俺は家族に今回の面接で合格した話と仕事内容の簡単な説明をした。
家族は給料が上がるのに対してはもちろん賛成してくれたが、懸念点として気になるのはやはり仕事内容だ。

本当に俺ができそうなのか?念には念を入れて同じ事を聞かれる。それに対して俺は慣れれば大丈夫。
今までの仕事も製造業だったし、俺ならやれると答える。

なんの根拠も確証もないまま大丈夫と言えたのは、今となっては俺が金に目が眩んでいたからだ。

それ以外の理由などない。

金の亡者と化した俺は心配する家族の反対を聞き流し、明日に職場の課長に辞める話をすると伝える。

話しを終えると自室にこもり退職届を書く。

書きながら俺はまだ悩んでいた。居心地が良かったから13年間も辞めずに同じ仕事を続けれたし、給料が安くてもある程度我慢できたからだ。

しかし転職すれば今より10万円も月収が増えるのは間違いなく魅力的だ。年齢的にも最終職と見ていいだろう。

決意を固めた俺は退職届を書き終え、明日に課長へ退職届を渡すと決める。

何て話せば良いのか?

緊張して眠れない。

しかし今の会社では長い間世話になったし、職場の課長には正直に転職して給料をもう少し上げて家族を楽にさせたいからです。

と言うつもりではいる。

退職届には定番の一身上の都合により退職と書く。

そして翌朝になり昨日書いた退職届を持参し出勤した。


2.退職を決意した翌日


昨日は緊張からか殆ど眠れなかった。
喉が渇く。
冷蔵庫から冷たいお茶を取り出し俺はそれを一気に飲み干す。

シャワーを浴びてから会社に向かう。

会社に向かう途中、俺は考える。
とても早朝から課長に話し掛ける気分にはなれかった。

定時終わりに辞める事を伝えようと考える。

会社に到着し俺は作業を始める。
気になって仕事に集中できない。
時間が刻一刻と迫る。

そして15:00の休憩時間になり課長の前に向かう。

俺「失礼します。定時終わりにお話があるんですが、お時間よろしいでしょうか?」

と俺は言う。

課長「どうした?17:45分以降でも大丈夫か?」

と聞かれた俺はよろしくお願いしますと答える。

そして休憩時間が過ぎると俺は残りの作業を始める。
定時までが異常に長く感じる。

17:30の仕事終わりのチャイムが鳴る。
周りには作業者が徐々に居なくなる。

17:45分になり俺は課長のところへ向かう。

俺「お忙しいところ失礼します。」
課長「そこに座って。」

と俺は指定された椅子に腰掛ける。

俺「急な話で大変申し訳ないのですが、一身上の都合により退職させていただきたいと思います。もちろん引き継ぎもありますし引き継ぎが終わり次第と考えています。」

と話しを切り出す。

課長「理由は?」

と聞かれた俺は正直に答える。

俺「今の給料だと生活がキツく、家族を養っていかなければならないので、交代や残業が多い会社で働きたいと考えました。妻は育児休暇中という事もあり、今すぐには働けないので、現状だと私1人の収入では生活するのが困難になり決断しました。」

と俺は言う。

課長「森川君は仕事も良くやってくれてるし会社にとって必要な人材だ。気持ちは十分分かるが、考えて直してくれないか?」

と言われる。

暫く沈黙し時間が過ぎる。

確かに今の会社は上司や同僚もみんな良い人だし、仕事もやりやすい。離れたくない。

しかし、その時は金の亡者で金の事しか頭になかった俺は決断する。

俺「そう言って頂けてるのは本当に嬉しいですが、今の私1人の収入では生活していくのが難しいので、よろしくお願いします。」

と俺は言う。

課長「分かった。森川君や森川君の家族の気持ちも凄く分かる。応援してるよ。頑張ってください。引き継ぎは最低でも2週間くらい掛かると思うけど、それまでよろしく頼むよ。」

と優しい言葉をかけてもらう。
その言葉に俺は泣きそうになった。
罪悪感を感じた。

こんな良い上司なのに辞めてしまって俺は間違いなく最低な人間だ。

自己嫌悪に陥る。
こんな良い人達を裏切って転職するなんて。
しかし今更後には引けない。

そんな複雑な心境のまま俺は退職届を提出し受理される。
失礼します。軽く会釈をし話しを終える。

後悔してるのは間違いない。金が人間の全てを変える。
だから俺は13年間も楽しく仕事を共にした仲間を裏切って金に走った。

俺は自己嫌悪に押しつぶされそうになりながら帰宅する。

帰宅した俺は会社を辞める話をした事を家族に伝えた。

家族みんな俺の事を心配していた。
そんな表情を見て俺は不安になる。

確かに後悔してる気持ちもあったからだ。
転職は年齢が増せば増すほどリスクも高くなるし、勤務歴が長ければ長いほど勇気がいる。

俺はシャワーを浴びながら色々考えた。
次の就職先の仕事内容から残業や深夜勤務の事。

あの時、口先だけではできるとは言ったものの、見た目からは明らかにキツそうな仕事だし、それに加えて深夜から翌朝まで残業込みで仕事がある事。

俺は急に不安になった。
しかし今更後には引けない。
もう覚悟を決めてやるしかない。

不安な気持ちを奮い立たせ俺は考えるのをやめた。
変えようがない過去の話を今更悩んでもストレスになるだけだし意味がないと感じた。

やってやる。
そう決心した。

翌朝、俺は現勤務先に出社する。
会社に着いて朝礼をした後、俺は課長に呼ばれる。

課長「退職の事なんだけど、引き継ぎがある程度終わったら残りは有休消化で休むようにね。次の就職先の準備もあるだろうし。引き継ぎは2週間くらいを目処にお願いします。」

俺「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

と話しを終えた俺は後任者に引き継ぎを始める。
後任者は以前も俺と同じ作業をしていた事もあり、比較的スムーズに教える事ができた。

これなら2週間くらいで引き継ぎできそうだ。

そして休憩時間のチャイムが鳴る。

俺は次の就職先に電話をした。
1ヶ月後の6月◯日には伺えるという内容の話しをした。
それに対し了承が得られ正式に就職が決まった。

電話を終えた俺はこの段階では吹っ切れていた。
何故か妙に清々しい気分だった。
もう後悔はしていない。

次の就職先が決まった安心感や、引き継ぎが終わって暫く2週間くらい有休消化できるのもあって嬉しかったからだ。

俺は自分が単純なやつだと思った。

そして2週間が経過し引き継ぎも終えた俺は職場の全員に挨拶回りをした。既にみんな俺が退職するのを知っていただろう。

正式に退職した俺は、残りは有休消化でゆっくり過ごすだけとなった。

俺は次の就職先の不安より連休が取れる事が非常に嬉しかった。不安がかき消された状態であった。

せっかくの有休消化なので俺は1人で旅に出る。
平日は人が少なく快適であった。
行きたかったが時間がなくて行けなかった場所。

そんな場所で人生について暫く考えた。

短期間であったが自由な時間を手にした俺は非常に落ち着いた気分であった。ストレスは微塵もない。
次の就職先が決まってる安心感があってのものなのは間違いない。

これが完全無職だったら、お金の不安からゆっくりできるわけがない。

そしてあっという間に2週間の有休消化が終わり、いよいよ明日新たな勤務先へ行く事になる。

時間が迫ると次第に焦りや不安や緊張があった。
明日に出社を控えた俺は支度をし今日は早めに寝る事にした。

翌朝、面接時同様に渋滞や遅刻を警戒した俺は2時間前に家を出た。

遂にこの日が来た。しかし、ここから俺の人生の歯車が狂い始める事を俺はまだ知る由もなかった。


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