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インタビューでは必ず具体的なエピソードを引き出す

相手にどんな質問をするか——。インタビュアーが頭を悩ませる課題のひとつだと思います。

インタビューの現場で忘れてはいけないのは、「必ず具体的なエピソードを聞く」ということです。

たとえば、留学経験のある学生さんに「現地でどんな苦労がありましたか?」と質問すると、「意外に自国の文化について知らないことに気づきました」といった答えが返ってくることがあります。質問に対する答えにはなっているのですが、これはあくまで〈結論〉です。相手の頭の回転が速かったり、要領が良かったりすると、こんなふうに話し手自身が“整理”した答えを出してくることがあります。

じつは、こういったものはインタビュー記事ではあまり使いものになりません。なぜならば、〈結論〉というのは、往々にして“正論”です。具体的なエピソードを聞いていなかったら、この“正論”を記事に書くことになります。しかし、“正論”をがなり立てる記事ほどつまらないものはありません

読み手にとって少しでも価値のあるインタビュー記事とは、「具体的なエピソード」が載っている記事なのです。

自国の文化について知らなくて留学先で苦労することは、記事を読まなくても簡単に想像できます。そのことで具体的にどんな苦労をしたのか。読み手はそれが知りたいのです。

自国の文化についてはホームステイ先の娘さんのほうがくわしく、反対に自分がいろいろ教えてもらっているうちに関係が深まり……みたいなエピソードを聴きたいわけです。

インタビューの際は「現地でどんな苦労がありましたか?」だけでなく、「現地でどんな苦労がありましたか? 具体的なエピソードを教えてください」と聴くことが大切です。


*この文章は「インタビュー・マニュアル」制作のためのメモです。
*ここで紹介するのは、唯一の正しい方法ではありませんが、20年以上のライター経験から得た有効なノウハウのひとつだと考えています。

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