よくある劇的なシナリオ~第22節 ヘントvsシントトロイデン

上昇気流に乗れないヘントのホームに、上向きの状態を維持して残留争いから抜け出したいシントトロイデンが乗り込んだ一戦。

試合結果

ヘント1-1シントトロイデン
得点者
(ヘ)シュミット・ダニエル90+5(OG)
(シ)コリーディオ23’

メンバー

両チームスタメンは以下の通り。
(青:ヘント 黒:シントトロイデン)

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試合展開

 前半開始から、ヘンクがボールを持ち、シントトロイデンは耐えてカウンター、という構図で試合は進んでいく。15分にはマレイのミドルシュートが枠をとらえるがシュミットがはじき難を逃れる。すると23分、ペナルティエリア付近でボールを受けたコリーディオが、一度失うも再度セカンドボールを受けなおし、ドライブ回転のかかったシュートを放つとこれがゴールに吸い込まれ、シントトロイデンが先制する。

1点を失うも、ヘントペースは変わらず。前半38分にはヤレムチュクが決定機を迎えるが、ここもシュートはキーパー正面を突く。決めきれないヘントは前半をビハインドで折り返す。

 後半、シントトロイデンは59分に鈴木が相手のクリアボールをダイレクトで枠内に飛ばす惜しいシーンを作るが、それ以外に大きなチャンスも作れず、虎の子の1点を何とか守るべく耐える時間が続く。対するヘントも前半から変わらずフィニッシュの精度を欠き、ゲームを支配するも肝心の得点が奪えない。

このまま試合終了かと思われた後半アディショナルタイム、自陣ゴール前でサンコンがファウルを犯し、ヘントにラストチャンス。するとゴール前混戦からドゥポワトルが放ったシュートを、ゴールカバーに入った選手が蹴り出そうとしてGKシュミットに当ててしまい、跳ね返りがゴールに吸い込まれていく。凌げば試合終了となったラストプレーで失点し、シントトロイデンとしては勝ち点2を目前で失う結果となった。

Scene of the Match

この試合は試合終了間際、シントトロイデン痛恨の同点被弾を取り上げる。

~後半45+5分 シュミット・ダニエルのオウンゴール~

長い試合だった。
ヘントは今シーズンは不調にあえぐも、ここ数シーズンは必ず上位プレーオフに進出し、19‐20シーズンも2位で終えるなど本来シントトロイデンにとっては格上のチームだ。コリーディオの華麗なゴールで予想外にリードを奪ったこの試合、どんな内容であれそのまま勝ち点を持ち帰れれば上出来だ。まして3-0くらいになっていてもおかしくない内容なのに、ヘント攻撃陣の拙さのおかげでリードを保ったまま試合は最終盤を迎えている。ヘントサポーターはタブレット越しに(あるいは昔ながらのブラウン管越しに?)どんな悪態をついていただろう。

アディショナルタイムに入り、シントトロイデンは守備固め+時間稼ぎの選手交代を行う。カカーチェに変えてサンコン。松原后にとってはブルーなチョイス。とにかくこの試合、カップ麺1個分の時間を耐えれば“粘り強い守備”という麗句で片づけることができる…

ヘントは最後の攻撃を仕掛けてくる。右サイド、カストロ=モンテスに展開。モンテスは右足インサイドのファーストタッチでプレスに来たデ・リダーをかわし、危険なエリアに侵入してくる。守備固めで入ったはずのサンコンが、なぜか後方から追いすがる。まずいパターン。案の定無理やり体を入れようとして手が出る。ゴール正面やや右。お決まりのように両手を挙げて無実をアピールするサンコン。その甲斐むなしく、これまたお決まりのように笛が鳴る。ラストチャンス。ここまではよくある展開だ。

時計の針は目安の94分台に突入している。ヘントの選手が2人、セットしたボールの前に立ち、キーパーからボールを隠している。放たれたボールはファーサイドへ。ヘントの選手がヘディングし、真上に高くボールが上がる。競り合う両軍の選手。ヘンクのドゥポワトルがうまく体を入れ、跳ねるボールをボレーで叩いた。糸を這うようなボールがゴールを襲う。万事休すかと思いきや、ナゾンがゴールをカバーしている。ナゾンがボールを跳ね返す。跳ね返ったボールは・・・無情にもシュミット・ダニエルにあたり、ゴールの中に転がり込んだ。

一瞬のうちに何が起こったかわからないピンボール状態。コンマ何秒で入れ替わった歓喜と絶望の後に、長かったゲームはよくある劇的な結末で幕を閉じることとなった。

終わりに

結構ありますよねこういうの。勝ち点2を取り逃がしたと考えがちですが、実際には90分戦った結果として勝ち点1を手にした、ということだけが事実なので、取り逃がした魚のことを悔やむのではなく、事実のみを見て反省し次につなげていく、というスタンスでいることがだいじなんおではないでしょうか。安定したメンタル。


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