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2024.1.17 マカオ司法警察

守秘義務の宣誓書に署名をした為、詳細は書けませんが、昨年12月24日に被害届を出した件、この日はマカオ司法警察で詳細な調書を取り、告訴が完了しました。

マカオでのネット上の誹謗中傷等の被害届けのやり方は日本のそれとは異なります。

まず最初に被害を司法警察に申し出る(このケースの場合、2023年12月24日の受理書がそれ)。
ここで受理されると次に取調べを行い、各種の証拠と共に被害の実態を説明し、調書に起こしてもらう。
それがこの日でした。

あるスクショを見せられました。どこぞのナンの知識もない方が受理書をXで見たのかな?それを見て「落とし物の受理書だ」と書き込んでいましたが、その担当は司法警察ではなく治安警察の方です。担当警察署そのものが違います。

また、なんて書いてあったかな?捨ててしまったので忘れてしまいましたが、「これは事件化しない?」みたいな事を仰っている方がいらっしゃる様ですが、事件化しました。はい、100%刑事事件として受理されました。

司法警察は確認した内容を元に発信人の特定をし、まず身元の確定をし調書を作成します。ココでのポイントですが、民事裁判での開示請求ではありません。刑事事件での情報開示なので、相手の同意・不同意を確認する事は無く、サッサと捲ります。

日本と違うのはここからで、マカオではこの種の事件は「私罪」と言う括りになる為、犯人を特定した段階で、裁判を起こすか否かは、被害者の判断に委ねられます。
被害者が「追及します」と事件化を希望した場合にのみ、この事件は検察庁に送られ、起訴へと進みます。

では司法警察は何をするのか?と言うと、日本で同種の事件が起こった場合の一番面倒な「開示請求」を無償でやってくれるのです。

では「追求しません」とした場合はどうなるのでしょうか?これはシンプルで犯人の発信者情報のみを引き渡して、司法警察の役目は此処までで終わります(注1)。

なぜこうなるのか?
マカオは南北に20km足らず。
東西に5kmもない国土です。
この範囲を超えた事件は全てICPO(国際警察機構)に委任する事になります。
なぜならこのエリアの北側へ越境すれば中華人民共和国。
東へ越境すればそれは香港と言う別の国・自治区の範囲になるからです。

勘違いしている方もいるのですが、このICPO、所謂インターポールですが、これは警察機構であって警察ではありません。
従ってアニメーションの銭形警部の様に直接インターポールが動くのではなく、被疑者の住む国の警察、例えばその被疑者が日本であれば警察庁に対し要請し、そこから通常の日本の警察の対応になるのです。

こんなのは高校の社会や公民で習う内容ですよね。要請を受けた各国の警察はむしろ自国の事件よりも積極的に動くのです。他国からの要請ですからね。
だから犯人の引き渡し協定の無いドバイにいたガーシーも、フィリピンに潜伏していたルフィも、思ってもいない様な展開で解決へと向かったのです。国と国との大きな経済や戦略的協定がありますからね。小さな事件の犯人を取りこぼすなどの日常的なエラーをしないように努めるのです。

(注1)の説明:


どうして此処で二者択一の判断を要するのかを説明します。
前記で説明した通り、ここは非常に小さな国土です。従って被疑者がこの国にいるとは限らない場合があります。
そこで訴訟の自由度を上げる為にこの段階で二択から選べる様になっているのです。
もし被疑者が日本に在住しているのであれば、その開示された情報を持って日本に行きそこで日本の法律に則って訴訟を継続する事ができます。
もう一方はこの地、マカオでやる場合もあります。
この場合、マカオの裁判所から被疑者の元へ出頭命令が行きますが、大半の被疑者はこう思うでしょう。
「行かなきゃいいや」

拘引状の発行:

そうしたら被疑者は逃げ得ですよね?
それをさせない為にICPOを通じ、居住している警察機構を通して拘引状が発行されます。
つまり「強制的に連れて来られる」のです(但し強制であっても逮捕では無い)。
前に同じケースを見たのですが、被疑者がこちらに来るとまず出国して逃げない様にパスポートを取り上げます。
しかし逮捕ではなくあくまでも「推定無罪」の原理が働いているので、留置施設への送致もありません。
ではどうするのか?
「その辺のホテルに泊まってろ!」
と言う事になります。

前に直接体験したケースでは、闇バイトで違法薬物入りの粉ミルクの缶の運び屋をやった日本人が空港で捕まりました。
警察から家内に通訳の仕事が入ったので応援に行きました。
そこでパスポートを取り上げられた二名の被疑者は「呼んだ時は必ず出頭するように」と言われポイッと放り出されました。
大した所持金も無く、何日間滞在すれば良いか分かりません。
最初はウチに泊まらせてくれ、と言われましたが当然嫌です。
そこで考えた末、教会に放り込みました。
失業者や住居を失った人への施しをしてくれるシステムがあるので、そこへ放り込んだのです。あとは取り調べの日に連れ出して警察署に連れて行けばいいワケです。

ところが!
ココで事件が勃発します。
今回、あの界隈に情報提供をしている人物がボランティアだったかナンだかで教会に行き、そこでまさかの日本人が二人世話になっている事を知り、「こんなところで…ニュースにもなっていないし、日本政府もダンマリだ。何か隠してる!」とBlogに書いてしまいました。

数日してそれを発見。
なぜ発表しないか分かります?
違法薬物の闇バイトの運び屋ですよ?
捕まったのは末端の若者です。
その上に組織がいるに決まっているじゃ無いですか?
もし報道されたらこのミッションが失敗した事が知れるじゃ無いですか?そのままトカゲの尻尾ならいいですよ?
万が一、口封じに来たらどうします?
そのリスクを考えて報道を止めたんですよ。
それを
「日本政府も何かを隠してる」
どころじゃないよ、ホント💢

これを発見したので警察に通報。
「すぐに消させてくれ」
と言われましたがそんな権限はありません。

そこで考えた末、香港の日本総領事館へ行き、事情を説明し、マカオに2名の領事が来てくれました。また当然、領事側から連絡を取ってblogを削除。
そんな事がありました。

なので勾引されて来ると後が大変です。
一泊3万円のホテル代。おそらく数週間。
全部自腹です。
また弁護士も必要でしょう。
刑事事件ですと着手金だけで5万MOP〜です。
竹村裁判で停止になった居留権を取り戻す裁判で、弁護士を立てたら10万MOP(約150万円)でしたからね。
弁護士、メチャ高いです。

ある日本人が、こちらで偽物のブランド品と知らず換金しようとして逮捕。いきなり懲役三年くらいましたからね。
面倒ですよ、本当に。
しかし面倒な事を起こしたので仕方ないです。
VPNをかましているから分からないなんて都市伝説です。
数多の犯罪、VPNをかましててバレていますからね。あれは都市伝説です。

こちらが何を事件として申し出たかは最初に書いた様に、守秘義務の宣誓書に署名したのでここには書けませんが、この様な経過を経て受理された、とだけ記しておきます。


モータースポーツに関わって30年。国際感覚は誰にも負けないと自負しております。国内外のモタスポに関する問題を常に提起していきます。