「僕らの食卓」の巧みな描写

普段ドラマをほとんど見ない私が、ここ数年ハマってるドラマが2つある。

2022年のお正月に「きのうなに食べた?」の正月特番があり、そのタイミングで一挙放送してたシーズン1。観たいと思ってたけど、2021年は仕事一辺倒(とその隙間を埋める育児)だったので全く観れず、おかげで一気に観ることができた。

今年の秋から始まったシーズン2で、仲の良い同僚がハマりまくってることもあり、引き続き観てるのだけど、そのせいなのか、TikTokでやたらとオススメに出てきたのが、「僕らの食卓」だった。

そもそもドラマはほぼ観ず、観るものは子供の番組ばかりなので、観た瞬間に、あ、仮面ライダー俳優だ、と思うくらいだった。
でもあまりにも何度も出てくるから、シーンを頭で繋げてみたら、どうも食事に絡めたBLっぽいな、とわかったので、じゃ観てみようかなーと思ったのが、アマプラで配信開始したまさにその日。

そして、一気に観て、一気にハマりました。

まず、ロケ地が良い。
のんびりと流れる時間、懐かしい郷愁感漂う瓦屋根の家、単線のローカル線。

次に、もちろん俳優陣の表現の巧みさ。おとんのスパイス加減も最高なんだけど、特に穣を演じた飯島寛騎は、エグゼイドの時は如何にも若々しく落ち着いのない感じの風貌と、声変わりしたばかりのような声が、あーアイドルみたいだなーと思ってたから、演技がとてもとても素晴らしくて、一気にファンになりました(笑)
特に目線の使い方、眉の角度で優しさや愛おしさ、困惑など、様々な感情を表現してて、自分の気持ちに鈍感な豊に比べて心が乱されがち(笑)な穣の心の動きが手に取るようにわかる表現力に脱帽しました。

そして、一番は脚本。原作に出てくるキーなシーンとセリフはそのままに、ドラマならではの解釈とストーリーに仕上げていて、とても丁寧。個人的には、種くん(前山くうが)の存在が原作以上に重要に描かれてるところに共感を覚えた。
元カノと豊(犬飼貴丈)との比較のようなシーンで、穣は種くんを中心とした生活が、たまにしんどいと思うことがあっても当たり前であり、種くんを切り離した穣単体の生き方を問われても、そこに解はないとわかってる。
でも豊は、種くんと穣という家族単位で受け止めてくれていて、母を亡くして種くんをおとんと育ててる穣は、とてつもない抱擁感に救われてるのだと思う。

最後は映像の美しさ。
もちろん美馬市の美しい景色と佇まいは去ることながら、ブルーを基調にした豊、アースカラーでまとめた穣のファッションに加えて、二人のシーンでは、どちらがストーリーの鍵を担ってるかを、全体のトーンをブルーかブラウンにすることで表現しているのだ。
それが、自分の気持ちになかなか気づけずに穣を翻弄する風のような豊と、最初からおそらく豊のことが好きだったんだけど益々好きになっていく土のようにしっかりとした穣という2人の存在をさらにわかりやすいものにしてると思う

…なんて話を誰かとしたかったんだけど、周りで誰も観てないんです。みんな韓流ばかりで…。

なので、感じたことを再度確認するように何度も何度もアマプラで観ては、スピンオフとメイキング見たさにDVDを買い、おかげさまで、パックとトリートメントの時間が長く取れる。

ちなみに私の好きなシーンは、「豊は居てくれるだけでいい」という、2人の全ての始まりになるセリフのシーン。
そして、2人それぞれの眼福シーンとして、穣は豊の家で看病しながら「こうやって二人きりってのもなかなかなかったからさ」とさらっと二人きりと言うときの、あの横目で豊を見る目線。
一方の豊は、同じく看病された翌日に朝起きたときの、気だるそうに冷えピタと体温計を取る仕草の美しさ。
俳優さんってすごい。

あと、穣左耳ピアスって、原作ではお母さんのピアスをつけるために開けてたけど、多分あの時にお母さんとの別れが辛すぎて、そんな思いを誰にもさせないために、自分はゲイとして生きていくって、無意識に決めたんじゃないのかな?
(自分もその経験があり…)

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