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木曜日にはココアを 青山美智子

「思ったときに進まなければずっと止まったまま」
                 (本文より引用)

【あらすじ】

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店
「マーブル・カフェ」
僕はリストラされて、職を探していた。
ふと入った喫茶店で、ちょうどマスターが
「アルバイト募集」のポスターを貼るところだった。

マスターにアルバイトをしたいことを伝えると
「いいよ。じゃ、正社員ね」と
マーブル・カフェを任されるようになった。
あれからもう、2年経とうとしている。

僕は恋をした。
毎週木曜日の3時に来て、窓際の席に座り
ホットココアを注文し、トリコロールが縁どられた封筒に
トレーシングペーパーの様に薄い便箋でエアメールを書く彼女に。
そっと心の中で彼女のことを「ココアさん」と
呼んでいる。

誰にエアメールを書いているんだろう。
遠距離恋愛なんだろうか…。

【感想】

「マーブル・カフェ」を切り盛りするようになった
僕の淡い恋心から始まる12の短編連作集です。

一つひとつの話には色の名前が付いています。
あらすじで紹介したのは「Brown」
12のお話の登場人物を図で表すと
誰かが誰かと繋がっていて、世間は狭いなぁって思います。

そういえば、SNSで繋がっている昨今。
どんなに有名人でも自分から6人を介すると
相手まで辿り着くとか…。

おっと話がそれてしまいました。
この小説は話の舞台が東京とシドニーの
2か所です。

それぞれで人と人との繋がりを描いています。
友人同士、職場の先輩後輩、夫婦など…。
シドニーには行ったことがないけれど、
この本を読んで行ってみたいなぁ。
ひょっとするとラルフさんのお店があるかも。

そしてそして最後まで読んで、手紙を書きたくなりました。

この本をMBSのアナウンサーが朗読している
動画がありますよ。


【目次】
1木曜日にはココアを [Brown / Tokyo]
2 きまじめな卵焼き [Yellow / Tokyo]
3 のびゆくわれら [Pink / Tokyo]
4 聖者の直進 [Blue / Tokyo]
5 めぐりあい [Red / Sydney]
6 半世紀ロマンス [Grey / Sydney]
7 カウントダウン [Green / Sydney]
8 ラルフさんの一番良き日 [Orange / Sydney]
9 帰ってきた魔女 [Turquoise / Sydney]
10 あなたに出会わなければ [Black / Sydney]
11 トリコロールの約束 [Purple / Sydney]
12 恋文 [White / Tokyo]

211ページ
宝島社文庫
2019年8月20日初版
640円(税抜き)
電子書籍あり

著者 青山美智子
1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。
大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。
2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。
出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。
第28回パレットノベル大賞(小学館)佳作受賞。
デビュー作『木曜日にはココアを』(宝島社)が第1回宮崎本大賞を受賞。
同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』(宝島社)が未来屋小説大賞入賞。
『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)が、2021年本屋大賞で2位を獲得。

著書
『鎌倉うずまき案内所』
『ただいま神様当番』
『赤と青とエスキース』など

最後まで読んで頂きありがとうございます📚


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