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悪知恵の逆襲 (2404-5)

時々、間でこういうエッジの効いた本を挟みたくなります。
今、読んで良かった本。

45年程度、生きてきた今だからわかるし、
若くピュアで多感な時期に読んでいたら、
どれくらい影響を受けたか分からないけど
少し酷だったかもしれません。
真実って酷なところもあります。
「悪知恵」の逆襲 
毒か?薬か?ラ・フォンテーヌの寓話
鹿島茂 著

先日のnoteにも書いたのですが、
「すべての道はローマに通じる」
この言葉は誰もが知っていますが、その寓話についてあまり知られていません。
恐らくこの教訓は言葉が使われてる場面とは少し異なる意味合いのものです。
3人、裁判官、病院長と隠者が登場。
3人はひとしく魂の救済にあこがれ、清らかに生きることを決意し、別々の道を辿ることにした。
裁判官、医者は高い志をもち仕事に励むが報われない。裁判官は判決が公平でないと言われ医者は贔屓をしているなど不平不満を言われ、やるせない状況で愚痴を言い合う。
まさに近頃の同窓会的な情景(私はあまり行きませんので想像)。
2人はふと、3人目の友を思い出して、山奥の隠者を訪ね、意見を求めた。
隠者「いったい、この世の誰が君たちよりも君たちのことを知ってるだろう。自分を知ること、学ぶこと、これこそが第一の責務だろう。人間というのは静けさに満ちたところでしか自分を知ることはできないものだ。」
ラ・フォンテーヌが寓話から引き出した教訓は、自分自身を知れ。
人は訴訟をおこし、病気に成るのだから、裁判官や医者が必要でないとは言わない。
しかし幸いなことにこれらの人材に欠くことはない。人々はそうした職業につきたがるだろうから。社会一般の必要にかまけて、肝心の自分自身について考えることを忘れてしまっている。これは政治家たちにもいえる。彼らは数多の事件に忙殺された結果、不幸に打ち砕かれるか、逆に幸福に毒されてしまっている。そのために自分自身が分からなくなっているのだ。いわんや、他者については何も知らない。何かの機会に自分自身のことを考えるかもしれないが、、
来るべき時代のために、この教訓をこの書物の結びとしたい。わたしはこれを国王に捧げ賢人たちに勧める、自分自身を知れ。

ほかに教訓となった寓話は以下に。

策がありすぎるとうまくいかない。
「ネコと狐」「猿とネコ」
都合よく人に利用される人になってはならない。

TwitterやFacebookはバカ発券機
「亀と2羽のカモ」人間のなすすべての行為は気晴らしと自慢にすぎない。
自慢はドーダと呼ばれていて、謙虚さもマイルドなドーダに入ります。ドーダは様々な寓話と教訓に出てきて戒められています。
以下もドーダが招いた不幸。

「乗合馬車とハエ」あらゆることに口を突っ込むひとがいる。本当はうるさい奴にすぎないのに。
応援したがる人への教訓のようです。

絶対機密=拡散希望
拡散希望なら絶対機密と書けば早く広い拡散が期待できるだろう。ひとは秘密の重荷に耐えられない。秘密暴露は人間の本能。
人事秘を話したがる女性管理職と相重なり、本能なら仕方がない、大目に見て対策しようと思い至りました。

この本を読んで良かったと思った寓話、教訓まとめ。
スピーチライターの例
*大民衆を動かすのは論理ではなく「物語」の力だ。
学のある貧民の話
*学問をしても報われないものだ。でも、しなければ、もっと報われない。

合わせて読んだ本は
髙橋洋一 著
日本人が知らされていないお金の真実
東大理系の数学卒、大蔵省経由、小泉政権で内閣参事官など歴任した著者。
円高、デフレ時代に日銀法の改正と、中央銀行として雇用対策もすべきと解いています。批判している内容、デフレの悪影響は素人ながら共感するものの、
只今、真逆?のインフレと円安になっていますが、それほど生活は良くなってはいないようで。前は働けなかった人がそのままの意識で働いているのも、マンパワー的にどうなのかな〜と疑問を感じながら採用や労務管理をしています。功を奏する雇用対策っていったい何なのか…
無策、愚策、簡単なことがなぜ分からないのだと歯切れの良い文章は読み応えがありますが、こういった方に実際に改革を実現してもらえば日本は良くなるのでしょうか。
こちらはサラッと読み図書館返却へ。

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