解されゆく深海めいたビルの中 体操座りで眠りに落ちる
もう数年前になるが、ビルの解体作業のバイトをやったことがある。
そのビルにはもともとスーパーマーケットが入っていたのだが、地域の過疎化に伴って閉店してしまい、そこには商品の置かれてない、光沢を失った無機質な陳列棚だけが残されいた。僕に任された仕事は、ビルを解体するために、まずはその陳列棚をひたすらに解体する、というものだった。
少し前までは家族連れのお客さんなんかで賑わっていたのであろうそのスーパーで、今は数人の作業服を着たおじさんたちが、思い思いに散らばり解体作業に勤し