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ゼロで人生を終える。

今回は、ビル・パーキンスさんが書いた「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の紹介です。日本語訳では「ゼロで死ね」というインパクトのあるものになっています。

最初に事例を挙げます。
45歳の独身女性のエリザベスは、事務職として働き、年収は600万円。
質素なライフスタイルのおかげで、マイホームの住宅ローンも完済しました。
この条件で計算すると、エリザベスが定年退職するときの貯金は3,200万円、持ち家の資産価値4,500万円を合わせると7,700万円です。
退職後の生活費は高齢になるほど少なくなるということがわかっていますが、仮に毎年320万円使うと仮定します。85歳で亡くなるとすると、1,300万円もの資産が残ります。
このとき、エリザベスは「1,300万円分の経験を逃してしまった」ことになります。
また、このお金を得るために働いた時間は、6,500時間。仕事をしていたとすると約3年です。
3年間、タダ働きしたと同じです。

もちろん、この計算が誰にでも当てはまるわけではありません。
生きているうちに金を使い切ること、つまりゼロで人生を終えることを目指してほしいと著者は言っています。
そうしないと人生の限りある時間とエネルギーを無駄にしてしまうというんですね。
もちろん死ぬ前にゼロに到達するべきではありません。

1950年代ノーベル賞を受賞した経済学者のフランコ・モディリアーニも「ライフスタイル仮説」というもので「生涯を通してお金を最大限に活用するには、死ぬときに残高がちょうどゼロになるような消費行動をすべき」と言っています。
人は自分の寿命がわからない、という問いに対して、モディリアーニはシンプルに答えています。「人が生きられる最長の年齢を想定すればいい。」
つまり自分が可能な限り長寿を全うすることを前提に、1年あたりの消費額を決定するんですね。
でも、高齢になって経験できないこともありますから、そのような経験はまだ体力があるうちにしておきたいですよね。

なんとなく必要以上の金をため込んでいるとすると、それは人生の時間を無駄にしていると同じことです。
喜びを先延ばしにして、将来のために貯金することは悪いことではないですが、先延ばしするにも限度があるという話です。
日々の生活に気を取られ過ぎて、ある日突然、人生の楽しみを先延ばしにし過ぎてしまった後悔に苛まれるのは避けたいものですね。

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