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あなたを閉じこめる「ずるい言葉」

今回取り上げる「ずるい言葉」とは、例えば「あなたのためを思って言ってるんだよ。」みたいな言葉です。
一見、正しい言葉がけのように感じますが、受け取った側は、何かすっきりせず、モヤモヤした感じを受けるのではないでしょうか。
このような言葉は、上から下へ発せられがちです。大人から子どもへ、先輩から後輩へ、上司から部下へ、というベクトルですね。
このような言葉がどういう心理で発信され、受け止める側はどう整理すればいいのかを6つの例で見ていきたいと思います。

1)あなたのためを思って言ってるんだよ。
この言葉とセットで使われがちなのは、「いいから私の言葉を聞きなさい」という言葉です。
まだ相手の納得を得られていないのに、自分の主張を押し通したいとき、つまり根拠を説明できないのに相手をコントロールしたいときにこの言葉を発してしまいます。
この言葉を言われた受け手側の対策としては、「どうして私のためになるのか説明してほしい。」です。
こう返すことで、双方が根拠にフォーカスして話をすることができます。

2)どちら側にも問題あるよ。
何もせずに「正しい人」になりたいという心理からこの言葉が出てしまうといいます。
いじめ、ハラスメントなどの場面でよく耳にするかもしれません。
この言葉を発するには当事者ではなく第三者です。当事者のどちらかが正しいと断定したくないんですね。コミットメント(責任、真剣な関わり)したくないとも言えます。
この言葉の対策としては、この人はコミットメントしたくない人なんだと理解して「離れる」ことです。

3)もっと早く言ってくれればよかったのに。
自分「なんでそんなことになってるの?」
相手「実は○○という理由がありまして。」
自分「もっと早く言ってよ!」
みたいなパターンですね。追加で責めてしまっています。
最初に相手を責めてしまったのに、相手が正当な理由を返してきたとき、最初に責めたことの後ろめたさから逃れるための自己防衛だといいます。
この言葉に代わる正しいセリフは、「気づけなくてごめんね。」です。

4)そのうち気が変わるんじゃない?
このセリフを発する人は、間接的に自分の正解に誘導したいと思っているといいます。
相手の主張が自分の意に沿わない場合、「それは違うから取り下げろ」というと衝突が起こってしまうので、このセリフで濁してるんですね。
受け手側は、「あ、この人は自分をコントロールしようとしてきてるんだ。」と認識し、「変わるも変わらないも自分の自由」だと思うことが大切です。

5)傷ついたのもいい経験だったんじゃない?
人の話を聞いて、受け止めるのにエネルギーが必要な場合があります。つらい過去を自己開示されたときとかですね。つらい話をそのまま受け止めると自分も同じ気持ちに寄り添わなくていけないからですね。
この言葉は、それを避けて、勝手に片付けて楽になりたい、という心理からくるといいます。
対処としては、「経験の意味を決めるのは本人」であると認識し、安易に片付けないということです。

6)昔はそれが普通だったのに。
「給食を残していいの?自分のときは掃除の時間まで残って食べされられたよ。昔はそれが普通だったのにな。」みたいなセリフですね。
この言葉の裏には、「そうあるべきでしょ。」という主張と、それに同意させたい気持ちがあるといいます。
この言葉への対処は、「昔のやり方の方が良かったんですかね?」と聞くことです。
昔のやり方がまずかったということで今のやり方になっているケースが多いと思います。それを改めて認識してもらうことですね。

このような言葉を言ってしまったことがある、言われたことがある、両方のケースがあるのではないでしょうか。
その心理や受け止め方を知り、言われたら受け止められるように、言いそうになったら抑えられるようにすることで、人間関係はより良いものになるはずです。

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