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叫んで、伝える。

わずか7日の命。

成虫のセミは地上に出てから7日間しか生きられないらしい。
実際のところそうなのか真偽はさておき、
小説『八日目の蝉』の冒頭でもそんなことを言っていた気がする。

「セミはずっと土の中で待って、やっと外に出られたと思ったら7日間しか生きられない。
何のために生きているんだろう」
友人とこんな会話をした。

ミンミンと鳴いているセミ。
あれは雄のセミによる求愛行動だそうだ。
ミンミンミンミン
ときどき煩わしく感じるが、
ずっと聞いていると不思議と「頑張って生きてるんだな」なんて思い始める。

求愛行動ってことは
「好きだよ!あなた最高にナイスな女!
俺たちの子ども作ろうぜ!」
と雌に訴えてるってことだろう。
人間よりよっぽどしっかりしてるじゃないか。

人は時に愛も悲しみも孤独も
胸の内にしまい込んでしまう。
相手に伝えるはずだった感情を
ぎゅっと押し殺してしまう。
それでいて伝えられなかったことを後悔する。

「あとで言えばいいか」
「言ったらどう思われるかな」
「自分が言ったところで…」
無論、私もこんな経験しょっちゅうだ。

今は無理でもまたチャンスはある
と思っているからだろう。

そんなことなんてないのに。
その人にまた会えるなんて確証は
どこにもないのに。

二度と会えなくなってしまった人は、
一生心に残り続ける。
人間の生死や出会いなんてそんなものだけど、
お前がそれで後悔するなら
大事な人を後回しになんてするな。

何のために生きているかと問うたら
この世の全てを否定してしまう気分になった。
セミは何のために生き、
花は何のために咲き、
風は何のために吹いているのか。
人はなぜ苦しみを抱えても生き、
希望を見出そうとするのか。

自分の命が7日間ってことを
知っていて地上に出てきたの?
あなたにとって7日間の命は短い?長い?

セミは全力で7日間声を上げている。
「ここにいるぜー!」
自分の居場所を知らせている。

居場所は作るものでも
必然的に出来るものでもなくて
自分自身を知らせること
俺はここだって証明すること

なのかな。

#八日目 #夏の音 #あれこれ

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