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大きな木が伐られたとき、小さな自分にできること

サプライズで剪定木とのご縁をいただくことが続いています。

まずはとりどりの剪定枝が、お野菜たちやほおづき(!)と一緒に小包で届き、、、枝につけてくださった名札の形にまで、その木々とご本人の関わりがうかがえて、幸せになりました。さらさらと筆で書かれたお手紙にもじんわり。ありがたさが沁みました。

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その後は三浦の(き)さんが、ご近所のおうちでヤマザクラが根元から伐られていたのを見て連絡くださり、ほんの一部だけど連れ帰って来させてもらいました。

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(き)さんも木々への想いが深くて、近所でナラ枯れが起きてることにも心を痛めて、何かできることはないかと関連団体に連絡されたり、行動の人。

スイカや美味しいお昼ごはんをごちそうになって、怪我してる足指にもワークしていただいて。。やさしさにおぼれた。ありがとうしかないです。

(き)さんちへの道すがら、三浦半島を横切るルートのバスに乗ってたとき、窓から見えた森が心に触れて、泣きたくなったのも不思議でした。

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そのとき心の中で鳴ってたのは「やっぱり山が、木々が、好きだ―」という声でした。

■はじめて、ひとりで切り分ける(割り分ける)

三浦のヤマザクラは、この季節に伐られることになったのだから、はがれやすいはずの樹皮を採取してみようと思いました。樹皮とその下のぶあついコルク層はわりときれいに取れたのですが、樹皮そのものは結構な樹齢になっていたせいか、ぼこぼこしていてうまく使えそうにない部分が多かった。うーん残念。

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木部のほうを割ってみました。直径25センチ以上もある太い幹をひとりで扱うのは初めてのことで、果たして自分の手に負えるのかなと思いましたが、サクラはさすがに割りやすく、もっと径の小さいキンモクセイを割ったときのほうが大変だったくらい。

それでもだいぶんがんばって割りました。斧と、鉄のクサビ2本で。木槌をなんども振り下ろし……。

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無事に2つに割れて、中の赤身の美しさに見とれ……。それから、片側の半分をさらに割っていきました。ここはスプンになりそう、ここは器にしよう、とだいたいのイメージをつけて割っていきましたが、割れ具合によって「あ、ここはミニまな板にいいな」「この端くれも何かになりそう」とどんどん見積もりは変化してく……。

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どこも余すところなく何かに使いたくて、どんどん作業しました。

割る作業自体は好きなのですが、なにせこの大きさなので、始めるまでは大変だろうなあとおよび腰でした。でも始めてみたらどんどん手が動く。確かに大変だけど、楽しかった。こんなふうに楽しむ自分がいることは、予期してませんでした。

手を動かしてるあいだ連想したのは、漁師さん/猟師さんのこと。スケールが違いすぎてあれだけど、南太平洋の島々の伝統のクジラ漁のことを思ったりしました。

その身を捧げてくれたクジラを解体するとき、お肉から骨から脂身まで、島の人達はほんとうに余すところなく全部を活かそうとする、と聞いたことがあります。

部分部分を切り分けつつ、ここはこれに使おう、ここはあれに良い、と判断していく様子を想像しました。

■大きい木と、小さい自分

直径25センチの幹は、木工に従事されてる方々にとっては全然大きくないと思いますが、ふだん片手で持てるサイズの枝を相手にしてる私にとっては、両腕で持ち上げるのも一苦労というサイズの幹を割り分けていくのは、気持ち的にまるでクジラを解体するかのような感じでした。

ねずみみたいに小さい自分が、こういう大きな木とのご縁をいただいた今回、なんというか、ちょっとした責任を思ったのです。

この木が伐られることになった詳しい事情は聞けてないのだけど、近隣で生まれ育った(き)さん曰く、あのおばあさまはおうちの敷地全体を整理しようとしているみたい、とのことでした。家を立て直すのかもしれないと。

人の都合で植えられて、人の都合で伐られていく。それは庭木の宿命だと思うのですが、それでも生きているあいだはこもれびや花々や日陰や紅葉でうんと楽しませ続けてくれる。どれだけ与え続けてくれているんだろうと思うのです。

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△これは前に尋ねた伊豆稲取の海岸沿いの松。お宿の方がおじいさまの代から、木のまわりにお酒をお供えしたりして大切にしてきたんだそう。道路拡張などでほかの松が伐られる中、残っています。樹齢370年とのことでした。

伐られた後、打ち捨てられて終わり、は忍びない……。何か小さいものでもいいから、暮らしの道具として愛でられるようなものをつくって、お庭の持ち主さんにお届けしたいと思うのでした。もしくは私自身やほかの誰かが、それを使っていけたら、と。

そうすることが、どうやら私なりの木々への敬意の払い方みたいです。

ねずみな自分は移動手段がバスと電車しかなく、玉切りにした一つをカートでひっぱって持ち帰り、もう一つを箱に入れて宅配便で自宅に送りました。そうやって持って帰ってこられたのは、このヤマザクラのほんの一部でしかないのだけど、せめて持ち帰った分だけでも、余すところなく使いたいです。

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ぐりとグリーンウッドワーク https://guritogreen.com/



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