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偉い人の話

こんにちは。

私の人と成りを知っていただくために始めた【てれんぱれん】今回は約30年前のお話をさせていただきましょう。

私は20歳から結婚するまでの6年間【芸妓】という仕事をしていました。

げいぎ げいこと読みますが俗に言う芸者さんです。

芸妓というと、芸者遊びやドンチャン騒ぎなどのイメージがあると思いますが、実際の仕事の殆どは企業のご接待のサポートをさせていただくお仕事です。

最近はそれさえもなかなか企業イメージに差し支える様な風潮になってきていますが、日本古来のプロのご接待集団が芸妓なのです。

【芸で女を支える】と書いて【芸妓】

お座敷に出るまでのお稽古や作法に、努力を惜しみません。
なので昔 芸妓をやっていたという事は、恥ずかしいなどと思ったこともなく、私の人生の中の誇りであり、礎(いしずえ)となっております。

かと言って、ひけらかして自慢することでもないなという感じです。

芸妓は隣の座敷のことも話してはいけないという鉄壁の口の硬さが重要視されます。

知っていることも知らないふりをし、知っている人も時として知らないふりをする。

それが、マナーであり粋へと繋がっているのだと私は思います。

芸妓というのは、思いがけず普段お会いできないような方とお会いできる機会がございます。

私は特に20代でしたので、普通に生活していたら絶対にお会いできないような方々に、6年間という短い期間にお会いすることができました。


ですが、誰と会った、誰を知っているというのは相手が有名人であればあるほど野暮の極みであるという事です。


そんな【野暮の極み】

それを犯してでもお話したい、お会いして本当に人生の勉強になったという【偉い人】の印象と逸話。
それをこのブログではたまにお話させて頂こうかと思います。

藤田 田様
日本マクドナルドの創設者で16歳の孫正義氏にコンピューターの勉強をしなさいと言ったという話は有名な話。

そんな藤田様に一度だけお会いした事があります。

私は若かったので物の道理がまだよくわかっておらず、ファストフードの社長さんが料亭さんでお食事するんだ。。
などと馬鹿なことを考えたりしていました。

どこか退屈そうな藤田様の側に座ったところ、おっ!というようなお顔をされました。

それは芸者がきた!とか若い娘が来た!とかいうソレではありません。

藤田様は私に向かって

「君はいくつ?マクドナルドのハンバーガーは食べたことがある?マクドナルドのハンバーガーでは何が好き?」

などの質問をいくつかされました。

当時の私は芸妓のなりはしていても、中身は20代前半の女の子です。
数年前の高校生の頃は週に何回かファストフード店に行ってましたし、その中でもダントツでマクドナルドに通っていました。

そして、私は極めて正直者でしたのでその旨をそのままにお伝えし、そして

「ビックマックが一番好きですけど、それは特別な日に食べるので、いつもはチーズバーガーを頂きます。」

と答えました。

藤田様はハッハッハッと笑い、少し真剣な顔をして次の質問を投げかけて来られました。

「君の、親御さん。そしておじいさん、おばあさんはどう?ハンバーガー食べるかね?」
と。

「父はしばらく会ってないのでわかりませんが、母は食べます。祖父母は。。。」

「祖父母さんはどうなの?」

まだ未熟とはいえ、私も接待のプロとしてこの場にいるのだ。どうしよう。。


すると、もう一度。
「大丈夫ですよ。正直に話して。小さい声でいいですよ。」
と。

私は大きく息を吸って覚悟を決めました。

「祖父母はそんなもの食べてはいけないっていう派でして。ファストフード全般あまり好意的ではありません。」

とお答えしました。
少し、声が震えたのを覚えています。

すると、ニコリと笑って
 
「良いおじいさんとおばあさんだね。子供や孫を一生懸命守ろうとしてくれてる。その年代にはファストフードへの誤解があって、それを解いていく必要があるんだよ。僕の仕事の1つはそれです。ハンバーガーは安心安全なものだと高齢者にもわかっていただかないとね。」

と。私は

「はい。」

と言うのが精一杯でした。

「君はどう?この先もし結婚して子どもが生まれたら子供と一緒にマクドナルドに行こうと思ってくれるかな?」

「はい!それは、もちろんです。」

「そう。ありがとう。
君の言葉は信じよう。
これから十数年後になるのかな。すべての年代の人が普通に安心してマクドナルドに来てハンバーガーを食べてくれる世界が僕の目標です。
最近は僕に正直に話してくれる人が減ってしまってね。今日はよかった。ありがとう。」

と、おっしゃいました。

そして30年経った今。
子どもたちで賑わっている日曜日の朝のマクドナルドを見るとなんとも言えない感慨深いものがあります。

私自身、子どもと一緒に通っておりました。
相変わらずビッグマックは特別な日ですが。
通常はベーコンレタスバーガーに変わりました(笑)


その後、マクドナルドのナゲットに悪評判が立つこともありました。
ですが私は、藤田様の理念を信じて食べ続けることができました。

30年前の数分間の会話は色褪せず、私の宝となっています。

この出会いのあと私は仕事をする上で、大切な人に薦めて頂けるような仕事をしていたいと思っています。


規模は極小ですが、ぐりぐりも来店くださったお客様が大切な人に繋いで薦めて頂けるようなお店にしていきたいと思っています。

余談ですが、
藤田 田様の田というお名前はお母様がクリスチャンで口に十字架の意味だそうで。

良いことを話せるようにと名付けれたと、ものの本で読んだことがございます。

正に名は体を表す。
藤田様の静かな語り口と大きな器。

凄まじいほどの人間力。


人生の宝を授けていただき、ありがとうございました。


口外したこと大変申し訳ございません。
30年我慢したのでお許しくださいませ🙏

【野暮の極み】

野暮天ぐりママとお呼びくださいませm(_ _)m

今後もたまに野暮天ぐりママ登場するかもしれません。  



ではまた。





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