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『スト6』中間報告―クラシック操作初心者が5ヶ月かけてプラチナへ上がった感想文

今回はカプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』(以下、スト6)におけるランクマッチでプラチナまで上がってゴールドに落ちた感想です。そのため、これはプラチナまで上がるために何を習得したのかというTIPS集でなく、どんな気持ちだったかを書く内容です(それでも習得した内容は語りたい)。

『ストリートファイター6』のランクマッチ(オンライン対戦)では、プレイヤーが持つLP(リーグポイント)を掛けて、最上位ランクであるマスターを目指すことが一種の目標として存在しています。

マスターのLPは2万5千ですが、中間地点にあたるのが1万3千LPで到達するプラチナ帯です。正直言えばマスターに到達した時に書くべき文章なのですが、プラチナに到達するまでに掛かった5ヶ月を考えると、中間報告として書き残しておかなければ細かい所を色々と忘れてしまうと思ったからでした。

前提として筆者は、初代『マーヴルvsカプコン』のプレイ経験が20年以上前にあるために完全な格ゲー初心者とも異なるかもしれませんが、『ストリートファイター』シリーズを本格手に挑戦することが初めてであることに変わりありません。

本文では、対戦で手に入れて培ったTIPSでなく、主にどんな気持ちだったを記す感想文となります。

『スト6』プレイ前夜

2022年2月に『スト6』の初発表を見た時の感想は「フォトリアル調になっている」ということでした。『ストV』の時のコメントは何だったのかと思うこともあったのですが、新キャラやワールドツアーなど段々と情報が発表され、体験版やベータでの評判の良さを聞いているとどうしても無視することが出来ず、6月頃には体験版をプレイしてその操作性の良さに感動を覚えたのは良く覚えています。

しかし、6月の発売時には、5月に発売した任天堂の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を最優先にプレイしていたこともあって、その時は購入を見送ったのです。

再び『スト6』への興味が沸いたのは、筆者が所属するDiscordサーバーでフレンドがプレイする『スト6』を見ていた時でした。キャラクターの動きが気持ち良く、「少しやってみたい」という思いが再び沸いてきましたが、8月には『アーマード・コアVI』が、9月には『スターフィールド』がリリースというタイミングだっため、実際に『スト6』を購入したのは2023年9月末ごろでした。加えて8月と9月のCEDECとTGSの対応も含めると実際にプレイ出来たのは10月の末になってしまいました。

『スト6』初めての1ヶ月―ルーキー・アイアン帯

2023年の話題作をやり終えて、筆者のゲームプレイを阻むものは無くなったことで10月末に『スト6』が遊べるようになります。事前に、「格ゲーやっているとコントローラーが壊れる」という話を多く聞いていたこともあったためアケコンを用意しました。

もともと『メタルスラッグ』シリーズやSTGを遊ぶため、PC/PS4/PS3対応の「リアルアーケードPro.V HAYABUSA」を2015年ごろ買っていたのですが、ほぼ死蔵状態だったためちゃんと遊ぶには都合が良かったのです。また、アケコンでアーケードのアクションとSTGをよく遊んでいたので、アケコンを使って往年の格ゲーに挑戦するのも良いと思ったからでした。

また、『ストリートファイター』シリーズ初挑戦となる事に加えて、vsシリーズ的なスーパーパワーを備えていないリュウと向き合うために、キャラクターもクラシック操作のリュウにしました。モダンも考えたのですが、ボタンの運指でガチャガチャパチパチ操作して習熟していくのが楽しいのであることも選んだ理由の一つです。

元々、先のSTGに加えカプコンがリリースしていた初代『マーヴルvsカプコン』のアーケード版を20年以上前に1年半ほどプレイしたこともあって、昇龍拳が出しやすいこともありアケコンでのゲームプレイ自体は問題なかったのです。また、『マヴカプ』のCPU戦がとても良く出来ていたことから、対人戦はほとんどやったことがなく(あっても仲の良い友達1人~2人ぐらい)、見知らぬ人と闘うことが、どういう意味を持っているのか全くわからなかったのです。

アーケードモードを遊んで、『マヴカプ』と完璧に違うことがわかり初心者を選んだ

加えて、スーパージャンプやキャラ交代がある初代『マヴカプ』と異なり『スト6』にはそういった要素がありません。『スト6』をプレイして初めて知ったのは、『マヴカプ』は『ストリートファイター』と似て非なる当然のことでした。

『マヴカプ』等は普通のリュウが空中で波動拳を撃てちゃうし空中ガードもできる、
『ストリートファイター』本伝と全く性質が異なる

これまでの『ストリートファイター』シリーズ本編を本格的にプレイした事がないために、上下が限られていることを強く意識し、フィールドの感覚を『6』に適応させなければなりません。

加えて試合でも同様でした。まず、通常技対空はちゃんとした対空技ですし(『マヴカプ』におけるリュウの下強Pは打ち上げに使うものであることからも、用途が大きく違う)、波動拳の駆け引きも全く異なります。

対人戦に慣れるまで1戦1戦の消費するエネルギーがとても高く、
プレイ当初だと1日10戦が限界だった

そのため、『マヴカプ』で覚えていたことを全て切り離し、『スト6』用に1から覚え直すことを選ぶしかありません。当然のことながら正直覚えていくのはかなり大変です。

まず大変だったのは対人戦そのものに慣れること。1vs1となる格ゲーでは、自分の善し悪しが全て跳ね返ってくることが初めてで、甘美な勝利の歓びと、苦い敗北の味に慣れるのに時間が掛かりました。

記憶では認定戦において全敗北。そのため敗北を忘れ「とにかく未知なるものを知っていこう」という気概で挑まざるを得ませんでした。ルーキー帯に配属されて闘ったところ相手も初心者、自分も初心者となる試合において、勝利出来てLPが上がっていくのは素直に嬉しかったのです。

ルーキー帯を抜けてアイアン帯に入ると戦いの様子も少し変わるようで、思えばほとんど変わっていないように思えます。クラシックもモダンも、お互い技を出すのに精一杯で変なところで勝敗が決まるような状態です。

しかし、ここで敗北時にLPが下がるようになると、やはり敗北の苦い味がより一層深くなったように思えます。一方で連勝出来ると「自分は格ゲー適正あるのでは?」という調子づいた気持ちも同時に芽生え、『スト6』のキャラ操作の気持ちよさも相まって思っている以上にハマっているのに気付いてしまいます。

まだ完全に腕や指が回りきらないものの、ゲームプレイに慣れてきた初めの段階になると、気になってきたのがアケコン操作音の煩さでした。ゲームセンターなら良いのですが、家だとレバーのカチカチ音だけでなく、ボタンのパチパチ音が大きくゲームプレイへの集中力を阻害してしまい、気持ち良く動かせません。加えてRAPVの斜め入力のしにくさと、レバーの重さ、ボタンに緩衝材がなく衝撃がダイレクトに指へ伝わってしまうことの痛さもあり、アケコンのカスタムをせざるを得ませんでした。

11月に秋葉原のゲームセンターHeyにて『スト6』アーケード版のロケテストがあるという、丁度良いタイミングだったため、これを遊びに行く次いでに、千石商店で入荷した三和の新静音レバーを購入する口実が生まれたのです。

初めてのゲーセン『スト6』対戦は他店でなく隣に座った人とだった

千石商店にて三和静音レバーを購入し、ロケテストへ移動。まだ全然キャラクターを動けせる練度ではありませんでしたが、『ストリートファイター6 タイプアーケード』(以下、アケ6)のロケテストにて、ゲームセンターで初めて対面での対戦の面白さも味わうことができました。

帰宅後、すぐにアケコンのレバーを交換。三和レバーは柔らかく、軽い力で動かせるため以前より、疲れにくくなったものの、まだボタンの痛みが残ります。

初めてのレバー換装。STG界隈でも時々目にしていたが、まさか自分がやるとは思っていなかった

ブロンズ帯に上がれたのは11月末でした。ドライブインパクトやドライブラッシュ、キャンセルラッシュなど使いこなせないもののシステムを理解を深めることや、順調に勝利を重ねて昇格出来た時の嬉しさは格別です。

そこまで苦労しなかったブロンズ帯の1ヶ月

ブロンズ帯での試合は、相手も少しずつシステムを理解してきたのか、技やコンボの精度が上がるのを感じました。基本的にアイアン帯と変わらないように思えて、上位帯のサブキャラもチラホラ見るようになってのを覚えています。

ここに来ると敗北の厳しさも感じるようになり、相手が上手であることや、如何にして負けないようにするかの意識で、1戦1戦の重みが上がったように感じます。それでもゆっくりと着実ではありますが、大体1ヶ月かかるも困難さを感じることなくシルバー帯に昇格できました。大体12月の中旬頃だったと思います。

ランクマプレイに気合いが必要なものの、そんなに苦労はなかったと思えるランク帯だった

ここまで上がる為に必要だったのは、単純にコンボ(リーサルコンボなど)を覚えること、ドライブシステムを使ってみること、波動拳/昇龍拳/竜巻旋風脚/足刀などを適切に使うこと、ガード(耐え忍ぶこと)を覚えることぐらいでした。他にも、JPやエドモンド本田、ブランカなど「わからん殺し」を連発するキャラとほぼ遭遇することが無かったのも大きかったのです(むしろ、ルーキーからブロンズ帯ではキャミィとジュリの対戦が多かった)。

他にも、筆者が『スト6』を始めたことをきっかけに、多くの友人が声を掛けてくれて、様々なことを教えてくれたことも大きかったようにも思えます。

ブロンズ帯において負けることは辛いが、すくすくと成長できるランクだった。

困難を極めたシルバー帯の1ヶ月

シルバー帯は非常に大変でした。ブロンズ帯の試合でも、1戦1戦が重く疲れやすかったのが気懸かりでしたが、ランクマに挑戦すれば勝率も半分ほどなため、やればやるほどランクも上がるためそれなりにモチベーションを保てていたのです。

しかし、シルバー帯ではキャラを含め様々なことに対策をしなければ試合に勝てないことが増えてきて、一筋縄では行かないようになってきました。このシルバー帯ではモダン操作の強みである1ボタン必殺技が強いように感じる瞬間や、ドライブインパクトをよく使うプレイヤー対策をしなければならないことなど、意識しなければならないことが増えてきたのです。

それらは陸戦をちゃんと行うこと、ハメ対策、マスター/ダイヤ/プラチナのサブキャラと対決などなど、課題が山積みだったことに他なりません。特にダイヤやプラチナなどの上/中級者のサブキャラはキャンセルラッシュや生ラッシュ、ドライブインパクトの使い方が的確で文字通り試合になりません。無理してでも『スト6』のシステムを覚え、何かしらの武器を持たなければならないと意識されました。

シルバー帯でのクラシックとモダンは、
その特性の違いに気付くランク帯であると思う

シルバーの星一つ増やすのに1週間以上掛かることも多く、自分のLPを維持するだけで精一杯でした。それは、メンタル面も含めとても辛い時期でもあります。特に冬の寒さが敗北した時に厳しく作用し、まるで自分そのものが否定されているかのように感じてしまうのです。なぜ『スト6』が暖かい6月発売だったのを理解した瞬間でした。

シルバー帯は相手のドライブインパクトが上手いと感じる瞬間が多かった

ところでシルバー帯に入った12月中旬は、アーケード版の『スト6』が正式稼働したタイミングでした。ゲームセンターでの格ゲーによる対戦はほとんどやったことがないため、最寄りではありませんが比較的近いゲームセンターにプレイしに行ったのです。

そこで30連勝をする上手なケン使いを見た時に衝撃を受けました。何に衝撃を受けたかと言えばケンを操るレバー捌きで、それはレバー捌きや身体の動きに無駄がなく効率的で疲れない理想的なものでした。他の挑戦者が、身体と一緒にレバーやボタンをガタガタと力を入れて入力したりと自分と同じような動きを見たときに、如何に自分が無駄な動作が多かったこと知ったことが衝撃的でした。まさにゲーセンで他人の格ゲー(ゲームプレイ)を見る意味が全て詰まっていた瞬間だったと思えます。

稼働当初は2台しかないために行列が出来ていた

これを見てしまった以上、疲れないためにレバー捌き自体を変えていく必要があると強く思いました。まず参考にしたのがウメハラ持ち。これは2010年にBSで放送された「ウメハラ選手と『ストVI』関連番組」の一部の切り抜きからで、左手の小指と薬指の間にレバーの軸を挟み、手全体を重ねるように持つ方法です。左方向への入力は少し慣れる必要がありますが、確かにこれなら右方向への入力が行いやすく疲れにくいものでした。

加えて空手などで行われる両腕/両肩の脱力です。これもレバー入力において馬鹿にできるものでなく(パッド等でもそうかも)、実際に脱力してからだと、肩の動きに余裕が生まれて疲れにくくなったのは文字通り生活を変えました。この脱力自体は、街を歩くときに力まなくなったため、疲れにくくなり余裕が出てきたと思う日常生活に絡む瞬間が多かったのです。

他にも、フレンドの一人がレバーレスコントローラーへ慣れるための練習を見ていた時に、「MRが落ちてしまっても良いから沢山試合しよう」というメンタル面での気持ちについて話した時でした。「LPが下がっても良い(無理してでも意識しない)」という考え方が『スト6』への気の持ちようを変えたのは言うまでもありません。

1日に出来る試合数を増やし、サブキャラなどの苛烈な攻撃に対応するなど何とか乗り越えました。シルバー☆4か5ぐらいになると、試合においてドライブインパクトやセットプレイ的な繰り返しで翻弄されること少なくなったのは、なんだか中学校を卒業するような成長を感じました。こういった悩みをする必要がなくなると思うと、なんとなく寂しいんですよね。

そこからゴールド帯へ昇格できたのはとても嬉しかったですね。様々な苦労があったけど、なんとか1ヶ月もかかったけど到達出来たという思いがとても大きかったのを覚えています。

伸びるまで大変だったゴールド帯の2ヶ月

ゴールド帯はなかなか上がらなかったことが多かったランクでした。初めLP1万800まで到達するも、勝利したと思ったら負けを繰り返し20日かけてLP9800前後まで落ちてしまったのです。漫然と何度もランクマでの試合を繰り替えていたのですが、やはり色々縛りながら闘っているように思えたため、LPを賭けないカジュアルマッチに手を出しました。

カジュアルマッチではLPを賭けることがないためにストレスも小さく、思う存分どんな好きな技を全部放てたことがとても嬉しいとともに気持ちが良かったのです。ここで初めて自分は「遊ぶ事で成長する」ことを知りました。思う存分好きな技を放ちまくることで縛られていた身体が解き放たれて、自由に動けるようになったのです。

うるせぇ!俺は好きな技をパナしまくるぜ!

それが大体2月20日前後だったと思います。カジュアルマッチで遊んでからランクマへ…を繰り返していると段々とLPを重ねる事が出来て、日を重ねる事にLPが上がって行ったのは素直に嬉しかったですね。ただ1日の試合数は30前後やっていたので、単純に試合数によるLP減少バランスの影響も結構大きかったのかもしれません。

少しずつですが色々な対策なども習得し、最後は3月20日ごろになんとかプラチナ帯へ昇格出来ました。マスターまで半分までこれたのは非常に嬉しかったですし「初心者でもここまでこれたんだ」と素直な気持ちになれたのです。

感無量!ここまでこれた!でもドライブインパクトの撃ち方がわからない、各々の必殺技の使い道も見いだせていない……と色々な宿題を抱えたままだった

これ以降も色々な動きがありましたが、まずは一旦1回目のプラチナ帯到達までを記しておこうかと思います。

ここまで上がるのに色々な苦労がありました。人と比べてしまうのはあんまり良くないのですが、対戦格闘ゲームというルール上どうしても人との優劣が必ずでてしまうものであるために、他の人が2ヶ月や3ヶ月でマスターもしくはダイヤにまで到達している人を目にすると、どうしても「才能」などの単語を意識せざるを得ません。

自分自身そこまで上手くないし、勝負にもそこまで強くないことを思うと、自分に出来るのはマスターを目指して、折れずに長く続けていくことだけかなと思います。勝ちがあれば当然負けもある。しんどさも当然のことながらあるために、ポジティブなことだけを言い続けられないです。

負けながらも遊んでいる理由は「単純にアクション(格闘)ゲームとして面白いから」に他ありません。弱中強それぞれのパンチやキックを全て出して遊ぶのは、手痛く負けても面白さが勝るために満足してしまうからです。『スト6』を続けているのはそれがあります。次回は、リュウの基礎研究を行うため、ゴールド帯を回遊していた話になると思います。

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