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Sennheiser MOMENTUM 3 Wireless

買いました。8月に4の発売が予告されているため、実質型落ちで新品3.2万円ぐらいでした。発売当初の4.8万円からするとかなりお得感があります。
デザインと質感、機能は満足です。さすが元値4.8万円。まあ不満に思うところがないわけではないですが、次項以降で詳しくレビューしていきます。

音質

ヘッドホンを買う上で個人的に一番重視するポイントは音質です。こいつはBluetooth、USB、アナログ3.5mm入力の3系統で入力できます。
ワイヤレスヘッドホンなので一番気になるのはBluetooth接続時の音質ですが、これは有線と私の耳では差を感じない音質です。うちにあるBluetoothヘッドホンは当機のほかに、同じSennheiser HD250BTとAKG K371-BTがあります。このうち、有線・無線量対応のK371は、Bluetooth接続時に解像度がかなり落ちる印象で、無線はオマケだなといった感じ。一方のMOMENTUMは無線でも有線さながらの音質で、ストレスフリーでBluetoothで使用できます。さすがはSennheiserですね。
ただ帯域バランスが非常にリスニングチックです。特に低音域にピークがありドンドン鳴ります。これは非常に気になりました。モニターヘッドホンではないので製品の性格といったらそれまでなのでしょうが、ここまで低音を強調する必要はないのではないかと個人的には感じます。ANCをオフにすると低音が収まり気味になります。ただANC使用前提でこのヘッドホンを買っているので、このあたりはイコライザで調整した方がいいかもしれません。ただ、Sennheiserのアプリ上で調整できるイコライザは「低・中・高」の3段階でしか調整できず、もう少し細かくいじらせてくれないものかと思います。
次にUSB接続時の音質ですが使用していないのでわかりません。ヘッドホン内部のDACは16bit/48kHzにしか対応しておらず、これはちょっと物足りないですね。よって別のオーディオI/Fからアナログ接続で使用しています。
アナログ接続ですが、気になる点があります。当機は有線接続時でもANCが作動するようになっているのですが、恐らく内部では次のフローで音が出ています。

アナログ接続時の推定ブロック図

上図のSoC部分でANC機能の計算とミックス・増幅を行っているようです。アナログ接続でもヘッドホン本体のボリュームコントロールが作動します。また、ANCもその作動原理上どうしてもこういった処理になるのは理解できます。ただ、USB接続時の挙動でお話しした通り、USB側は16bit/48kHzまでの対応のため、内部のミックス処理もこのビットレート/サンプリング周波数で処理されている可能性があり、ハイレゾ対応ではないのではないかと思います。まあ、音源がハイレゾかどうかは聴いてもわからないですが、ここは惜しいなと感じた部分です。
不満点を列挙していますが、音質は低音が少しブーミーながらもモニターヘッドホンクラスの高解像度です。音楽を聴いていて楽しくなるような味付けのため、リスニングヘッドホンとしてはある意味最適解な音質だと思います。また、Bluetooth接続での音質劣化もほぼ感じないところは非常に満足です。

装着感

イヤーパッドはかなり厚みがあり柔らかく、アラウンドイヤータイプなので耳が痛くなることは皆無です。ただ、本体重量が300gを超えているため自重による重みで頭を振るとずれることがあります。ヘッドホンで300g越えとなるとヘビー級なので、普段イヤホンしか使ってない人には一度重さをシミュレーションしてから購入されることをおすすめします。
ヘッドバンドも十分な厚みがあり柔らかいので、頭頂部が痛くなることはないです。重量でやられるとすれば主に首と肩だと思います。

質感

イヤーパッド/ヘッドバンドがシープスキン(羊革)らしく、凄まじく高級そうな質感をしています。(実際高級素材らしいですが詳しくないのでよくわかっていません。)合皮と大差ねえだろとか思っていたのですが、触った瞬間から別物でビックリしました。夏場に高湿度になる日本では、合皮だと屋外使用ですぐ剥離し始めるでしょうから、本革の安心感と質感の高さが所有欲を満たしてくれます。
個人的にはこのどこかレトロ調なデザインに惹かれて購入を決めたところもあり、満足度はピカイチです。
ただ気になるのは、付属の3.5mmステレオミニケーブルが細すぎないか?というぐらい細いですね。また、同ケーブルの本体側コネクタにCEマークとWEEE指令マーク(ゴミ箱に×が描いてあるやつ)がエンボス加工で入っていて、せめて何も入れないかSennheiserのロゴにならんのか?という不満はあります。(まあ悪いのはSennheiserではなくEUかもしれないですが)

ANC

ANC(アクティブノイズキャンセリング)についてですが、この機種は3レベルから調整できます。常に最大で使っているので、その感想になります。
まず部屋の空調音は完全に無音レベルで静かになります。
次に電車に乗ってみたところ、地上走行時の騒音は気にならないレベルです。(音楽を1/3ぐらいの音量で聴いています。)
丸の内線に乗ったところ、ANCの限界を感じました。曲線通過時のフランジ音はさすがに聞こえてきました。(一部地下鉄でカーブ通過時にギーギーギーとかゴーゴーゴーとか金属が擦るような音がしているあれです。)
また、よく言われるように会話を消すことは難しいようです。ANCの特性上連続して鳴っている中低音のような音は綺麗に処理できていると思いますが、突発的に発生する音は処理が追い付かずにANCを貫通している感じです。
また、地上走行する電車でANC最大にして音量50%でクラシック音楽のようなダイナミックレンジの大きい音楽を聴いてみたところ、これもANCの限界を感じます。特に静かな場面(音楽の方です)ではANCで処理しきれなかったノイズに音楽が負ける場面があり、このあたりも性能の限界を感じました。
(外音取り込みを本体側スイッチでオンにした場合に、音楽再生を継続するかはSennheiserのアプリ上で設定できます。)

その他機能について

当機にはANC以外にも外音取り込み機能があります。これがビックリするぐらい自然なときと、左側だけやたら音量がデカいときがあります。この辺は発生条件を洗い出せていないのでわからないですが、ビックリするぐらい自然なときはやたら自然に聞こえます。歩行時に車の騒音に気が付くレベルで聞こえるため、自動車の検知に遅れて危うく事故にあうというリスクは低減できると思います。
また、tileを内蔵していてtileのアプリ上からヘッドホンが最後に検出された場所が分かります。置き忘れやすい人にはいいかもしれません。
(tileの使用には別途アプリのインストールが必要です。MOMENTUMにGPSが内蔵されているわけではなく、MOMENTUMのBluetooth LEをtileユーザーのスマホが検知した場合、検知場所が自分のスマホアプリに表示される仕組みです。常時どこにあるかが表示されるわけではありません。このあたりの詳細はtile、もしくはSennheiserの公式Webページを参照してください。)
Alexa呼び出し機能は使ってないのでレビュー不能です。専用のアクションボタンまでありますが「ほんとに必要か?」と思うのと「Siriじゃねえのかよ」とも思います。
また、本体を頭から外したら音楽再生が一時停止する機能ですが、鬱陶しいのでSennheiserのアプリから無効化しています。
最大の不満は電源のON/OFFがヘッドホンの折り畳みでしか基本的に機能しないところです。再生ボタンを押し続けて本体を開くとOFFのままになりますが、個人的には再生ボタンの長押しでも電源ON/OFFさせてほしいですね。ヘッドホンを開いた状態でフックにかけておきたいので不便です。

まとめ

この質感、この音質で3.5万円ぐらいと考えたら完璧に近いヘッドホンだと思います。普通の人はこれ1台あればもうヘッドホンいらないのではないでしょうか。(私は普通ではない自覚があるため30台と少し持っています。)
Bluetoothヘッドホンを探している方がいるならばベストバイの1台です。発売から3年、後継機が発表されているため今更のレビューですが、それゆえに新品をお得に買うこともできます。
とにかく音質がいいBluetoothヘッドホンが欲しい。高級感のあるヘッドホンが欲しい。といった方はぜひ検討してみることをおすすめします。
他方でデカくて重いヘッドホンであることも事実です。首が凝るとか小顔であまり大きなヘッドホンは…とお考えの方は要確認です。特に重量は使用感をかなり損なう可能性があります。

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