しあわせの振れ幅を小さくする

金融工学において、ボラティリティーという用語がある。ある資産の価格がどれだけの幅変わりやすいか、を表す数値のことである。ボラティリティーが低ければ、その資産の価格はあまり変わらない。ボラティリティーが高ければ、その資産の価格は大きく上下する可能性が高い。

以前、金融商品としてのオプションで大儲けしたいな、と思って、オプションの価格を計算するブラック・ショールズ方程式を解いて図示するパソコンのソフトを趣味で作っていたことがある。オプションはある資産について、ある将来のときに、ある値段で売り買いできる権利のことだ。オプーナを買う権利をあげよう的な。

対象資産を買うオプションの場合、設定された特定の日に、設定された値段より対象の資産が高くなっていれば、設定された値段で対象の資産を買える権利は価値をもつ。設定された値段より対象の資産が安ければ、その買うオプションの価値は0になる。資産をわざわざ高く買う権利は使わないからだ。

そのような買うオプションにおいて、ボラティリティーが高い、すなわち値動きが激しいほうが、オプションの価値があがる。どれだけ資産の価値が下がってもオプションの価値は最低で0になるだけなのに、価値が上がった場合には権利で得られる差額が大きくなっていくからだ。ボラティリティーはオプションの将来性をあらわす数値だ。

激しく動くものは、大成功する可能性がある。もちろん、大失敗する可能性もある。

ボラティリティーが高い人生を送りたい、と思ってきたし、そのような人生が「楽しい」と思ってきた。人生の買いオプションの価値を上げていくことは正しいとも思っていた。

しかし、人生の残り時間は少ない。どれだけギャンブルしても大成功する可能性は日々減っていく。いろいろやりたいという好奇心も減っていく。

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中年ITエンジニアであるグニャラくんが、零細株式会社の運営や、普段考えていること、インターネット生放送で出た話などの日々の様子を書いていま…

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