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爆笑問題 太田さんのすごい話

NHKでやっていた「爆笑問題のニッポンの教養」(通称:爆問学問)という番組がとにかく大好きでした。

爆笑問題の2人が大学教授に研究分野を教わる、いっけん硬派めな教養番組です。
教授たちの専門分野は多岐にわたり、物理学、生物学、ロボット工学、社会学、文学、言語学、心理学、哲学、文化人類学、はてには渋滞学など、とにかく学問と名のつくものは総ざらいしていました。

番組は、まず2人が大学のキャンパスに訪れるところから始まります。大御所の彼らがロケをやるのは当時ですら珍しかったと思います。

「爆問学問」で名物だったのが、太田光さんと教授の激しい口論です。侃侃諤諤とはまさにこのこと。太田総理モードの、歯に衣着せぬ物言いが番組の醍醐味でした。おそらく賛否を分けたところでもあります。

通常、教授のようなお偉い文化人と話す場合は、タレントは一方的に聞き手に回ります。基本は爆笑のお二人もそうです。
しかし太田さんは納得できないこと、分からないことがあると太田総理モードに入り、積極的に意見していきます。

太田さんだけならまだしも、教授がカチンときてしまい、喧嘩腰で受け答えすることもあります。しまいには両者が声を荒げる大喧嘩に発展することもしばしば。

大の大人、しかも超がつくインテリとされている人々が唾を飛ばしてブチギレている。太田さんもぜんぜん怯まないし。その様がめちゃくちゃスリリングでした。
「学問」という取っ付きにくいジャンルにも関わらず、竹内ズぐらい喧嘩してる。さながら知的なプロレスのような。毎週ワクワクしながら見ていました。


これらを踏まえて、印象的な回があります。

障害学を専攻する福島智さんがゲストの回がありました。障害学とは、バリアフリーについて研究する学問です。
福島さんは、目と耳が不自由な全盲ろうでありながら東京大学の教授になったという、にわかには信じ難い存在です。

彼は「指点字」という方法でコミュニケーションをとることができます。
点字で使う6つの点を、人差し指、なか指、くすり指の左右6本の指に置き換え、その指にタッチすることで文字を表現するというもの。

教授が全盲ろうになったのは18歳のこと。なので、それまでの記憶で喋ることはできます(自分の声を聞くことはできないけれど)


「爆問学問」史上、明らかに異色な回でした。
正直、難しかったと思います。とはいえ、障害の前に大人しかったり怯む太田さんも見たくありませんでした。

どうするのだろう、と気にしながら見ていると


太田さんが福島さんに挨拶するとき
「はじめまして。木村拓哉です」とボケました。


指点字通訳をする女性が、福島さんの指をノックして、太田さんの言葉を伝えます。
「き、む、ら、た、く、や、で、す」


すると福島先生が笑いだして
「いやいや、あんたが木村拓哉ちゅうことはないやろ!似ても似つかない」とツッコミました。
一同大笑い。


ちょっと凄すぎる瞬間でした。震えました。


的確なツッコミをする福島さんが凄い。
見えない。聞こえない。福島さんは木村拓哉も太田光も認知していません。でも「キムタク」がスーパーイケメンだという知識はある。

太田さんが凄い。音も光もない世界にいます、と自ら語る、そんな人をも笑わせるボケを放てる。サラリと出来ちゃうんだから凄ぇぜ。


憧れて憧れて、とうとう僕もタイタンに入ってしまいました。
当時を知るマネージャーに「爆問学問」の話とかしつこく聞いてます。特権ですね。


はぁ。NHKのめちゃオモロ番組を思い出したことだし、滞納している受信料を払ってこようと思います。いただいたサポートがそのまま受信料になります。

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身に覚えのない慰謝料にあてます。