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二郎インスパイア

ラーメン二郎に行くのが趣味だ。最大で週4通っていた。でも二郎インスパイア系は苦手なことが多い。


※インスパイア系とは
ラーメン二郎はチェーン展開をしておらず、原則のれんわけである。
インスパイア系とは、本当にざっくり言うと二郎系列店で修行していないお店のことだ。二郎みのあるラーメンだ。



インスパイア系ラーメンは店舗数が多い。
一般的に明るい、入りやすい。メニューが多く、女性が入りやすい雰囲気の店もある。


二郎系ラーメンは都内には20数店舗しかない。独特なルール。長い行列。店主がフレンドリーじゃないこともある。どうしても敷居が高い。

二郎系ラーメンの入口として、直営店よりもインスパイア店に行く人の方が多いと思う。


問題はインスパイア系はハズレの店がたくさんあるということだ。

もちろん当たりの店もあるけれど、美味しくない店が多い。具材デカ盛りで見た目はそっくりでも、味はまったく違う。魂がこもっていない。

まずいインスパイア系を食べた人は、ふたたび二郎系を食べようとはなりにくい。


ラーメン二郎本店に並んでいた時の話。
店の前の行列をみた人が「あれが二郎でしょ。前、豚○(インスパイア系の名前)を食べたけど美味しくなかったわw。よく並ぶよねー」

と言っていた。拳が震えた。本店を食ってから判断してくれ、と心底念じた。

悪貨は良貨を駆逐する

学校寄席というイベントがある。
小中高の学校に、落語家が出向いて一席披露する。芸術鑑賞という名目で、教室や体育館で開催される。退屈な授業の繰り返しから一時的に解放されるので、生徒たちは喜ぶ。

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観客の9割以上が初めて落語に触れる。
伝統芸能に興味のない世代に、噺の面白さを知ってもらおうというのが学校寄席の趣旨だ。

浅草や新宿の末広亭など、東京の定席(落語家のでる小屋)にいくと客はご年配ばかり。
「このままでは近いうちに落語は滅ぶ」と危機感をもった人びとが、落語人口を増やそうと起死回生を図った策。そのひとつが学校寄席である。


とうぜん派遣される落語家側にもメリットがある。売れっ子でなくとも仕事が増える。学校寄席はいい営業先なのだ。


とてもいいことだ。
まず触れてもらわなければ。テレビなどで落語をみる機会は著しく少ないのだから、好きになるチャンスすらも奪われているのだ。
落語人口を増やすのに、学生寄席は最も有効だと思った。



しかし、立川志らくさんは学校寄席に猛反対している。

理由はこうだ。
学校寄席で無理やり見せられた落語がもしつまらなかったら。
学生たちにとって「落語=つまらない」となってしまう。二度と彼らは寄席に足を運ぶことはないだろう。

また、学校寄席に売れっ子は行かない。仕事のない落語家が赴くのだ。

興味のない観客の前に、腕のない噺家がネタを披露する。全員が不幸になるのが学校寄席だというのだ。若くして天才の名をほしいままにした志らく師匠の鋭い批判だ。

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難しい問題だ。志らく師匠は、学生たちを寄席に連れてくるべき、と言っている。できれば、一流をみてもらいたいと。


二郎に関して、僕も同じことを思う。できれば本物を知る努力を。混交玉石の世の中だから。外れインスパイアではなく美味しい店へ。

「レンタルラーメン二郎食べる人」のことを僕は心から応援している。

悪貨は良貨を駆逐する。これはラーメン二郎とインスパイア系の話なのだ。


では、自分はといえば。悪貨の芸人だ。僕のような金メッキのコインを、わざわざ見に来てくれる人には、本当に頭が下がるばかりだ。ありがとうございます。

身に覚えのない慰謝料にあてます。