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結局恋人がサンタクロースだったんだろうか

小学校の2学期の終わりにはクリスマス会が催されるのが恒例だった。クリスマス会といっても料理やケーキが出てくる訳でもなく。各々出し物をしたり、プレゼント交換をしたり、ちょっとしたお菓子の持ち込みOKくらいのもので、子供らしく私も楽しみにしているイベントだった。


小学校6年の時の担任のY先生は30台後半で娘さんも小学生くらいになる既婚者だった。ガタイもよく顔もでかくて叱られることもあったが、基本的には優しくて人気がある先生だった。


クリスマス会も終盤になり端に寄せていた机を元の位置に戻して全員着席した。先生が唐突に「皆にこれを聴いてほしいんだ」と言いCDを流し始めた。



「昔隣のおしゃれなお姉さんは~♪」



そう、ユーミンの名曲「恋人がサンタクロース」だ
会場は小学校のクリスマス会で参加者は小6だ!



「皆はまだわからないかもしれないけど、先生はな、そうだと思うんだよ。」



めっちゃくちゃ真面目なトーンで言ってるんだけど、皆ポカーンとしてた。せめて…、せめて竹内まりやなら…!ケンタッキーで知ってたのに…!


男の中の男みたいな先生がいきなり、ユーミンの歌をかけ始めて「先生じゃなく一人の男として!」みたいなトーンで言うから。なんかこう生々しかった。
ユーミンの歌声が響く教室。誰も喋らずそれを聴く小学生と先生というシュールな光景が広がっていた。


これが強烈に印象に残ってて未だにクリスマスになると思い出してしまう。


あれからもう20年近く経つ。

小中高を卒業して上京して一人暮らしをして就職して結婚した。
恋人がいた年もいない年も立ち飲み屋でケーキを食ったこともあったけど、当時わからなかったニュアンスは伝わるよ先生。

結局私の人生「恋人がサンタクロース」だったのかはわからない。遠距離2回失敗してるし。でもそういうことを言うのは野暮ってもんよね。せめて子供にとってよいサンタクロースでありたいと思う今日この頃。


そういえばサタンのサンタさんからアマギフが1500円分届くらしい。やったー!

おわり

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