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展覧会めぐる記録

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自分の書いた記事の中からなんらかの展示にいっためぐりめくる記録 未熟でも
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#美術館

わたしの読む久保田成子と私

 見るってなんだと思いますか。目の前にりんごがあったとして、それを目でとらえたときに、これはりんごだなって思うことでしょうか。それとも、それをりんごだと認識したうえで、このりんごはよく熟していて赤いなあ、などと思うことでしょうか。  先日、国立国際美術館で久保田成子展を観に行きました。少し日をあけてこの記事を書こうとしていて、わたしは何を書こう、と少し迷いながら書きます、書くことと思います。その逡巡の中で、過去を思い出すこと以上に、過去を現在からどう見るのかを、自分の中では

ふたつの宇宙空間をみている

 ピピロッティ・リスト展、わたしはもう行くのをあきらめていたんです。ところが昨日の二限終わり、ふとTwitterを開くとこんなつぶやきがありました。  これを見てわたしは猛烈な行きたいという気持ちに襲われました。平日の昼間から京都に遠出なんて、不安症で電車が苦手なわたしではありえないことです。それでも、行こうと思ったのです。  案の定わたしは地下鉄に乗るのに苦労します。閉鎖空間として地下鉄は最高の空間ではないでしょうか。トンネルに閉じ込められ、さらに電車にも閉じ込められる

コシノヒロコ展でじぶんだけが充満する

 ちょうど先週に兵庫県立美術館で開催されている「コシノ ヒロコ展 EX-VISION TO THE FUTURE 未来へ」を見に行きました。 試行を重ねる わたしはひとつ、強く思ったことがありました。自分には試行が足りない、と。思考ではなく試行です。じっと考えていても、今の自分から何かを発展させることは難しいんじゃないかと思います。だから、手を動かし、試してみる。それが本来の考える姿なのかもしれないなと思ったのです。  ちょうど先日、こんな言葉を見かけたばかりです。  考

六甲ミーツ・アート2020行ってきたよ!

2020年10月16日、六甲ミーツ・アート芸術散歩2020に行ってきた。その中から印象深かった作品をピックアップして語っていこうと思う。 コリー・フラー「Lighthouse」 映画館、コンサート……わたしが受ける音はいつも特定の方向から発され、その音の場所が分かるようになっていた。一方でこの、風の塔の中でうなる音たちは一体どこから鳴っているのか。すべての方向から鳴っているようでもあり、またわたし自身が音で、わたしが音を発しているのかもしれないと思わせられる。音に包まれると

はじめての日本画~美しNIPPON展を観て~

 先日、京都駅にある美術館「えき」にて公開されている、水の美術館コレクション「美しNIPPON」展に行ってきた。横山大観や菱田春草、上村松園など、近代日本画の数々の画家による作品が展示されている。 洋画対日本画  そもそもわたしは日本画に興味はあったものの、日本画について特に詳しいわけではなく、日本画とは昔の日本人が描いた絵なのだろう、という理解をしていた。しかしその認識は違っていた。日本画は、西洋の文化が流入してきた時代に、洋画に対するものとしてつけられた名前なのだ。日本