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『ぼくの死体をよろしくたのむ』

2022/02/23
川上弘美,2017,小学館.

「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」
「どうして好きな男のスペアをつくることはできないんだろう」(p. 39)。甘美な嗜虐性。
喪失にそなえて入れ込まないようにする、というのは、わかると思ってたけど、なんか違うな。
私の場合は、入れ込んで喪失するのがこわいんじゃなくて、入れ込んで自分がぶれぶれになるのがいやなんだな。
自分で決めたことに困らされるのはいいけど、自分にはどうしようもないことに困らされてる状態があんまりすきじゃない。
そういう時はちょっとだけ心の柔いところを凍結させて麻痺させとけばけっこうなんとかなる。毎日健やかでいたい。

「ルル秋桜」
修三ちゃん!!!
ゲイの修三ちゃん。『ざらざら』『パスタマシーンの幽霊』からの友だち。大好き。
絶望、も、良い。正義は勝つとは思わない。愛は勝つとは思わない。もしだめな死体だったら断ってもいい。
この話はやさしくて、好きだな。

「スミレ」「無人島から」
これも好き。両方好き。時間の枠をはずしてみる話と、家族の枠をはずしてみる話。そうした中で、たゆたう気持ちの話。

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