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「ワニがまわる」

2022/06/09
@国立新美術館

これよい、めちゃめちゃおすすめ、無料です、7/18(月)までなので急いで!

正直ここまで自分の内側がワニコスモスで満たされると思ってなかった。森羅万象がそこにありました。

作者のタムラサトルさんの言葉にも「ワニがまわる理由は、聞かないでほしい。」とあるけど、理由とか意味とかじゃないからこそむしろ無限の物語を想像できちゃう。星々がただ瞬いて、それを見る私たちは自由に星座を創れるような!

このおじさん二十年ワニ回してるらしい。
二十年⁇って思うけど、回し続けてるってことはまだ回し切ってないんですね。
回るワニに無限を見てるんですよ。
二十年ぽっちじゃ無限には到底追いつけないのね。

卓上ワニほしいな。作るか…?
物販やってないし、無料だし、やっぱりこの意味のなさが肝なのかしら。商売になっちゃったらだめなのか。
現代日本にも、意味とかじゃなくワニを回してるおじさんがいるんだなあと思うと頼もしい。

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ここからは私と連れの妄想を記録しているだけなので、見てない人は楽しくないかも?行く予定の人は自由に楽しんでほしいので、できれば読まないで〜。

一番大きな緑のワニ、あれを我々はワニ時計と名付けました。「あの大きなワニが一周するまで……もう少しだけ一緒にいようよ。」とくん…!的な展開希望。

乳白色のものを骨ワニ、歯が金色がかったものを成金ワニと名付け、、先輩はみどりはぐれワニがお気に召したよう。
2匹いっしょに回ってる青いデカいワニはつがいで、でも平行なふたりは永遠に交わらないの。となると兄妹/姉弟かなって思った。悲恋、、。
自転軸が横倒しになってる丸焼きワニは、頭が下に下がる時だけ重みで回転が速くなり、カリカリカリッって音を出す。

デカワニを見てるとチビワニが回ってることを忘れる。チビワニの中でも高低差があり、若干傾いていたり、逆回りだったり、色もデカワニに比べるとあいまいで多種多様。先輩は純血と交配って言ってた。天井すれすれで高速スピンをかますデカワニ、「あれはほとんどアメリカと言っても差し支えない」と。

比較的低い位置で5匹いっしょに回ってるワニ、右の5匹は左回りで、左の5匹は右回りで、シンメトリーになってる。東西の支配を任されている狛犬的な存在か。
デカワニごとに各コロニーが管理されていると見ると、たしかに個々のモーターが5つぐらいプラグにまとめられていて、それがさらに4つ口のタコ足にまとめられ、やがて1つのコンセントへ……
ずっと動いているけどずっとその場から動けない、回るワニの業。尻尾が触れ合う瞬間とかないのかな。(と思ったらメイキング動画で尻尾が触れ合う瞬間を見て、ときめいた。)

ワニ時計と名付けた一番大きなワニだけど、先輩曰くあれはゆばーば的な母なるワニで、子ワニたちの方を向いている間が昼の時間、尻尾を向けている間が夜の時間らしい。
天文学的な確率で、いつか全員が母ワニを見つめる瞬間がくると。そこに会期の有限性と回るワニの無限性の闘いがあるのだと。(名言!)
見つめていると母ワニの背に乗るという大罪を犯したくなるよね。パキッって言ったりして。一見問題なく回っているけど確かに何かを狂わせてしまったみたいな。
完璧に見えるワニユートピアの、あちらこちらに裂け目となりうる萌芽があって、常にほんの僅かの不穏さを孕みながら、今日も何事もなく一日が終わる。
宇宙かんじる。森羅万象がここにあるよね。

私は入り口すぐの黄色ワニはプロペラワニに嫉妬してると思う。黄色ワニが一番ふつうに回ってるんですよ真面目に、場内に入ってきたひとびとの最初の目線をぜんぶ引き受けて。
でもすぐに忘れられちゃうんですみんな奥の多種多様なワニに目がいくから。
そのくせプロペラワニは、普段さぼっててたまにしか動かないくせに、動いたとたん全耳目を一身に集めるの。
そんなんゆるせん、真面目に回ってるふつうワニが報われてほしい!

そしてただ1匹、左向きに回っているチビワニ。と、思いきや、ふらりと加速、減速して、ゆらゆらとどちらに回るべきか躊躇っている、乳白色のワニがいた。私だけが見つけてしまった、プログラムのバグみたいなワニ。迷うその子を見ていたらたまらない気持ちになって、目が離せなくなりました。
この会場に来たひとびと、それぞれ、自分だけのワニとの出逢いを果たしたのかな、なーんて。

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