アメリカ経済近年の動向(1)

リーマンショック後の2009年6月から始まったアメリカの景気拡大は2019年3月末時点で117か月間になる。これは戦後最大の景気拡大で景気後退が懸念されている。

しかし、アメリカの景気拡大は今後も持続可能であると考えられる。
アメリカはこれまでGDPの7割を占める個人消費の拡大と、サービス産業を中心とした雇用者の増加など自律的な成長メカニズムが健在で腰折れリスクは少ない。

アメリカ経済のプラス材料 トランプ政権による税制改革
税制改革による減税規模は10年間でおよそ1.5兆ドルとされ
CBO(米国議会予算局)が2018年に公表した財政経済見通しによれば
実質GDP成長率は2018年2019年は0.3%ポイント、2020年は0.2%ポイント
押し上げると試算されている。
税制改革の変更は多岐にわたるが、法人税制の変更が当面の経済成長率の押し上げに寄与する考えられる。法人税制の最大の変更点は連邦法人税率が従来の最高35%から21%へと大幅に引き下げたことである。
企業の実効税率(法人税の支払い額を税引き前利益で除したもの)を見ると2017年10月-12月期で19.5%だったが、税制改革後には13%程度まで大幅に低下し税引き後利益の押し上げに寄与している。

アメリカ経済のマイナス材料 人手不足による成長ボトルネック
経済成長の妨げる懸念要因とされているのが労働市場の人手不足。
アメリカの失業率は2018年に入って4%を下回る水準にまで低下しているが、これはCBOが推計する推計する自然失業率(自然失業率とは長期的に見て、インフレ率に関係なく、一定の水準で存在する失業者の割合のこと)4.6%を下回っている。これ以上の失業率の低下は困難。つまりアメリカの労働市場は完全雇用に非常に近い状態であるといえる。
人手不足は個人消費などの需要面だけではなく供給面でのボトルネックとなり今後の経済成長を抑制する原因となりうる。

出典「この一冊でわかる世界経済の新常識2019」日経BPマーケティング


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