如来様の大悲のおこころ/ミュージック法話 YOASOBI 『ハルカ』
『教行信証』 行巻
『極重悪人唯称仏 我亦在彼摂取中 煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我』
今回は阿弥陀如来様の大悲のおこころについて、私の好きな曲 YOASOBIの「ハルカ」を通じてお話をさせて頂きます。
皆さんは好きな曲はありますか？
私はアーティスト、YOASOBI の「ハルカ」という曲が歌詞・メロディ共に好きなのですが、お聴きになった事はありますでしょうか。
私はこの曲の歌詞を浄土真宗の御本尊様、阿弥陀如来様のおはたらきに重ねてお聞かせ頂きました。
YOASOBI 「ハルカ」について
YOASOBI の楽曲は小説や映画などを音楽化したものが多いのですが、ハルカは鈴木おさむ氏の『月王子』という小説を原作としたものです。
※こちらのWeb サイトにて無料で読む事が出来ます。
また絵本「ハルカと月の王子さま」も出版されていますので宜しければ是非ご覧下さい。
原作のストーリー
簡単に原作のストーリーを話しますと、主人公のマグカップ(別名 :月の王子さま) は当時中学生だったハルカに購入され、ハルカの受験・就職・結婚・出産といった成長と一緒に時を過ごし、最後マグカップを持ったハルカの子どもが体勢を崩した時に落として割れてしまうまでのストーリーが描かれています。そしてYOASOBIの『ハルカ』は原作の小説の内容が歌詞に表されています。
阿弥陀如来様の大悲のはたらき
私がハルカの歌詞の中で浄土真宗の阿弥陀様に姿を重ねるのは、
「つらいこともうれしいことも分かち合える」
「君のよろこびは僕のよろこび」「ボクがついてる」
という歌詞です。
「他者と何かを分かち合う」というのは、簡単な事のようで大変難しい事なのかなと思います。そもそも自分自身の事を分かることもままなりません。
ですから、他者と分かち合うなら尚更、人それぞれ生まれてきた環境と文脈が違う中で、真に他者を理解し、共感するという事は並大抵のことではありません。
他者を理解しようするたびに互いに傷つけあい、それでも共感しようと試行錯誤を繰り返す中で、相互理解を深めていくのが私達です。それでも「完全に他者を理解する」というのは難しいのかもしれません。
阿弥陀様はそのような分かり合おうとしても中々出来ず、他人を傷つけてしまうような私をみそなわし、摂取不捨、摂め取って捨てないおはたらきをかけて下さいます。
辛いことや苦しい事を我が事と考えて下さり、ハルカの歌詞にも似通うところがあるかもしれませんが、『あなたの喜びは私の喜びで、あなたの悲しみは私の悲しみであるよ』『私がついているよ』とこの私を抱きとって下さるのが、阿弥陀様の大悲のおはたらきです。
如来様の大悲とは、私達が考える「思いやりのこころ、愛」（小悲）を超え、区別・差別をはなれた絶対平等である仏様のお慈悲のおこころです。ですから、この私がいつどんな状況であってもご一緒下さり、この私を念仏申すようにずっとお育て続けて下さっておられます。
煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我
浄土真宗ではよく拝読される偈文であります、親鸞聖人がおまとめになられた、正信念仏偈の源信和尚を讃えられた箇所の一節に
煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我
というおことばがあります。
煩悩がわたしの眼をさえぎって、（阿弥陀様の摂取の光明を）見たてまつることができない しかしながら、阿弥陀仏の大いなる慈悲の光明は、そのようなおろかな私を見捨てることなく常に照らしていてくださる
という意味です。この私は、真実を真実として見る事が出来ない愚かな身でありますが、阿弥陀様はそんな私とご一緒下さり、『われにまかせよ、必ずすくう』と仰って下さいます。
そして仏様は、この私の喜びをわが喜びとして喜んでくださり、私の悲しみは、わが悲しみだと泣いて下さいます。そして仏様のお慈悲のおこころは南無阿弥陀仏の六字の仏さまとしていつでもどこでも私に寄り添い続けて下さいます。
ハルカの最後の方の歌詞にも(カップを使ってくれて、人生を共にしてくれてという意味合いで)『こみ上げてくる 想いはただ ありがとう』とありますが、
日々阿弥陀様が私にかけて下さっている大悲のおこころに改めて、報恩感謝のお念仏を申す日々を過ごしていきたいです。
南無阿弥陀仏
※こちらは浄土真宗本願寺派千葉組HPの今月の法話にもほぼ同じ内容にて寄稿させて頂きました（URL:東京教区千葉組HP）。
https://chibaso.info/
※記事のアイコン写真 著作者 : Freepik
(https://jp.freepik.com/free-photo/top-view-headset-with-music-sheets_5440628.htm#query=音楽&position=3&from_view=keyword&track=ais&uuid=493843a6-d84c-4fed-8bb0-48317b923604)
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