国際文化学と地域の関連性

国際文化学は「国際関係を文化で見る」と定義されるため、国と国の関係が念頭に置かれる。だが「国」を明確化した瞬間に、「日本文化」を固定的なものとして捉えてしまうことには自覚的であらねばならない。「日本文化」を紹介しようとして「着物」「和食」といったものを提示するのは学生だけではなく、我々も同様だ。ではあなたはこの瞬間に和服を着ているのか?今日の朝食は和食と言えるものだったのか?——ここに文化の「名詞化」の問題が潜む。

今現在、我々の行動が文化であると捉えると、これまでのイメージは刷新される。文化の動的な側面や、人間が関わることで変容を続ける特性に目を向けることが国際文化学の要点であり、ゆえにこの新しい学問は「間文化(インターカルチュラル)」と呼び換えられる。国際関係を考えることが具体的な人間を巡るものになると、その人が暮らしている背景が問われてくるのであり、地域文化に目を向ける意義が見えてくる。

近畿大学の教養科目である「国際化と異文化理解」は、我々外国語教育の担当者が文化を語る授業であるゆえに、僕の授業では国際文化学を意識した構成にしている。専門とするマルセル・プルーストの作品を手引きとしながら、改良を重ね、個の精神が文化と接触する瞬間に目を向けた議論を改良を続けてきた。だが東大阪市での居住経験がそれなりの年数になった今、この地域をある角度から照らしていく議論を組み込んだ文化論を展開したい気持ちが強くなり、来年度から完全に講義を変える。これまで、そしてこれからのnoteがその内容とリンクしていくことになる。国際文化学の議論は地域社会で暮らす我々の日常に潜む。

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