若い感性の中に本質を見出す

『パリ13区』のロードショーが始まった。

Je peux poser une question ? C'est quoi ta vie sentimentale ?
(質問していい?あなたの性生活ってどんな感じ?)

予告編の冒頭は不可思議な言葉で始まる。中国系の若い女性がルームメイトを募集したところ、うっかり男性の高校教師がやってくる。その最初の会話がこれだ。

前篇を通じて性描写が多い作品であるが、言ってみれば若者の痛々しい生活をリアルに描いたものだとも言える。思春期を迎え、性を意識し、絡め取られてしまうゆえに、正常な判断は置き去りにされ、振り返ると過去はつねに痛々しい。

プルーストの作品においても、恋愛は物語の中核を占める。その恋愛からの脱却の果てに、物語の語り手は芸術への道を探し出す。では恋愛は芸術の啓示に至るまでの「乗り越えるべき障壁」であるのかというと、決してそのような単純な設定ではない。恋愛において語り手が見出す美や、接近不可能なものを前にしたときの心理、そして錯覚のようにほんの一瞬満たされる所有欲は、すべて芸術の主題と有機的な関連にある。

若い痛さを自覚し、映画によって自らを分析しながら、その混乱の中で見出すものの中に人生の本質が潜んでいる。映画の末尾のセリフは、青年期の通過儀礼の一つを終え、別の通過儀礼へと向かうことを象徴的に示しているように思える。

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