語学と国際文化学を融合させながら

国際文化学のファクターとして「言語」は欠かせない。だが外国語教育はそれ自体が独立したメソッドである。国際文化学を研究しながら、外国語教育を展開する際、その方法論を統合できずにいた。

しかしその答えは自分の中にあった。

近畿大学のフランス語は大学側から指定された教科書を使用する。その教科書に慣れていく中で、自分のフランス語教育がローカルなものに収まっていく。教科書批判ではなく、教科書に従属するとどうしても「日本のフランス語教育」という文化を背負ってしまうのだ。

だが、フランス語教育は当然ながら教科書を超越する。今年はあえて近畿大学に所属する前に熱心に学んだFLE(外国語としてのフランス語)の教育に回帰した。たとえばフランス本国では、フランス語によって社会進出を希望する非フランス語話者がいるため、アプローチは実践的なものになる。またその文化的背景を確実にキャッチアップした主題が用いられることも特徴だ。

なにより重要なのは、FLEはCEFRを背景とする。すなわち欧州評議会が選定したヨーロッパ言語共通参照枠組である。これは言語習得の各段階を示すとともに、熟達を目指す際に必要となる文化的問題にも大きく関わっていく。何のことはない、日本の具体的なフランス語の教科書にとどまらず、国際語であるフランス語の特色に身を委ねた時、国際文化学との繋がりは自ずと見えてくる。あとはこの題材をいかに国際文化学に接近させ、授業内で展開するか。

今期の授業はその最初の実践となる。教材を軸に、アプローチや話題を計画する時間はそれなりに必要だが、この作業の果てに語学教育と国際文化学の統合が見える予感がある。

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