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ログアウト・ボーナスREC日記

3月26日!

雨、もっと降るらしい雨。昨年5月にフルコーラス作詞、9月に奥中くんデモ、1月にブラッシュアップデモ、2月に私の仮歌、バンドメンバーの決定、3月に2回のスタジオリハを経て今日はついに『ログアウト・ボーナス』のレコーディング。

2回目のスタジオリハは13時〜16時でスタジオを予約していたけど、1回目の時点でかなり仕上がっていたので14時からの2時間でよいということになっていた。私はスタジオにその時間変更連絡がぜんぜん出来なかったので(そういう人がああいう歌詞を書いている)、13時に一人で行って歌の練習をしておくことにしたら、奥中くんが同じ時間に来てくれて練習に付き合ってくれた。

演奏陣(ラブドラゴン)がすごく演奏技術が高いし、もうそろそろ私も歌を誤魔化せないという気持ちでボイトレに通い始めたので、2回目のボイトレの時の録音をそのまま流して50分間同じメニューをこなした。俺も早めに行くねと言った君島くんがスタジオに着いたとき、私は椅子の上に登って、割り箸を口に挟んで、カキクケコカキクケコカキクケコ・・・と大声で唱えているときだったので、おはよーと言うことさえできずにボイトレを続けて、君島は笑いながらカメラを構えていた。

これはトレーニングではない。ただの姿勢。

その日はMV監督の金子由里奈さん、出演の唐田えりかさん、プロデューサーの二井梓緒(かねこと私と同い年)さんも来てくれた。生で聴くとイメージが変わった、そしてみんながほんとにいい顔をしていたよと金子さんは言ってくれた。唐田さんは最後に通し演奏をするときに「撮っていいですか」と言って私にクロースアップした動画を撮ってくれたのだが、その映像が、なんというかすごく綺麗で上手で、唐田さんって撮れる人なんだ……と思った。撮らないわけにはいかないという感じで構えていた。そんな気持ちを引き出せたことが嬉しかった。

えりかさんと監督とプロデューサーとバーミヤン。



『ログアウト・ボーナス』はえんぷていのレコーディングをいつもやっているBigfish Soundsのスタジオと柏井さんというエンジニアさんにお願いすることになった。初台に向かう。私の今までのレコーディングといえば完成したトラックに完成ギリギリの歌詞を歌入れするという、おうたのじかんだった。だから今日が初めてのバンドレコーディング。生音のレコーディングにもやり方はいろいろあるみたいで、この曲は(ボーカル以外)せーの!で一緒に演奏して録る形を採用することになった。それが一番楽しいよねという感じだった。

11時ごろに入り、ゆっくりとセッティングをして音出しをして13時半くらいからバンド隊が私の仮歌に合わせて録音を始める。奥中くんは本当にちゃんとしている。全員最初から素晴らしい。みんなでこっちの部屋に来て聴く。もう一度演奏。みんなでこっちの部屋に来て聴く。何度か続けて録ってみよう。テイク3、テイク4。梅井さんがものすごく高い声で「もう一回やらせてください」と言い、みんな一旦笑って、何回もやって気分が乗ってくると間違えちゃうねみたいなことも言う。私は聴いててどこ間違えてたんかわからん。よし気を取り直してテイク5。これだなって思ったし、みんなそう思っているみたいだった。聴き比べてテイク5を全面的に採用し、気になるところを楽器ごとに少しだけ他のテイクに変えていく。

君島くんが「一番のAメロからBメロが、テイク3がよかったと思うので変えてください」と柏井さんに言っているところに食い気味の私が「いや、テイク5が一番よかったので変えないでください」とお願いする。君島くんのなかのうまくいった基準はあったんだろうけど、私はテイク5が一番、五月病の、特に女性に寄り添える音をしていると確信していたので、わがままを聞いてもらった。おととし吉祥寺のサンドラッグに夕方に入店したときから変わらない気持ち。譲れない基準。まあ、私の歌なのでわがままなんてないけど。梅井さんのラスサビはテイクごとに異なる感動的な動きをしている箇所があり、上っていく流れが一番綺麗だったのでそれにしてもらう。あのテイクを聴いたときの感動をきっと曲を初めて聴く人も体験するはず。

キミティーマ
うめーちゃん


休憩時には梅井ちゃんとベースのよしきさんとコンビニに。私はスイーツを8人分買いに行った。私めのレコーディングに協力してくれているかけがえのない人々なのだからもっと気の利いた手土産を準備できたらいいのに、結局いつも余裕はなくてコンビニスイーツとかになる。私は普段一人で生きているときは意外にもコンビニスイーツをそんなに買わないので、こういうとき楽しく商品棚を見る。甘味を食べる時には申し訳程度のダイエット論争。こんなの一個食べたくらいで何も変わんないよって私はずっと言ってる。

服に穴が空いてるんじゃなくて普段はそこから親指を出してるの
きみしまがくれたー。俺にはいつもこの漢方がきかねえけども



休憩を終えて、奥中の感動的なタンバリンなどを追加録音し、いよいよ残るはボーカル録り。私はこの時間まで演奏と合わせて自分のひょろい仮歌を聴きすぎて、自信をどんどん喪失していた。取り立てて喉の調子が悪いわけでもないのに、過剰に今日は喉の調子が悪いんじゃないか?と疑ってみたりして、薬を飲んだり魔剤(はちみつしょうがルイボスティー)を飲んだり。できるよできるよってお姫様扱いで言ってもらってブースに入る。いつものやり方を丁寧にきいて私がやりやすいように進めようとしてくれる柏井さん。音量を調節するためにとりあえず一回通しで歌う。力まぬよう、力まぬよう。この歌こそは力まないように。朝からボイトレの反復をしてきたのもあって、仮歌よりは歌えている気がする。みんなは向こうですごいいいよって言ってる。優しい。聴いてみますか、いやもう一回続けて歌ってみます。何度か歌って改めて慣れていく。みんなはもう録れてるよと言ってくれるけど、この歌のことは私が一番知っているのだから、ちゃんと自分が納得するまで歌わせてもらおうと頑張る。歌は難しいけど楽しい、心を込めて、コントロールして。アルバムのレコーディングをするごとに歌の技術を上げていきたい。アルバムを通して私の成長が伝われば良い。一箇所だけ、何十回も繰り返した悔しい部分があったけど、今できるのはここまでだなとも思えた。何テイク録ったのか覚えていないけど、何回歌ったか聞いても、何回でもいいんですよって誰も教えてくれなかった。自分以外の人がソロのレコーディングにいるのが面白くて、じゃあ歌ってくれーいってことで君島くん奥中くん梅井ちゃんにはコーラスもしてもらった。

本当にいい歌ができたと思う。


これを聞いて誰か知り合いや友人を思い出したら
何年ぶりの連絡でもいいから
この歌を送ってあげてみてほしい

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