EP.2「星占いの魅力とは」〜星詠みの物語〜
「前回の話で、星占いには長い歴史があることは分かってもらえたかな。忘れてたらちゃんと復習するんだぞ! そこの君もね!」
・・・ミナヅキさんは一体どこに向かって喋っているのだろう?
「今回はその中身について、だね。占星術は、星の位置や相関関係から意味を見出す占術。占う対象の時間、時点の星々の位置を記したのがホロスコープなんだ。たとえば、自分の生年月日にすれば自分の人となりを知れたり、明日の時間にすれば明日どんなことが起きそうか予見したりね」
未来の・・・予知。そんなことが可能なのだろうか。
「出来ないこともないよー」
頭の疑問を見透かしたかのように、ミナヅキさんはハッキリと告げた。
「ただ、どうだろうねぇ。そいつが面白いとは・・・思えないんだけどねえ」
な、なんか意味深な言い方・・・
「まぁまぁ、ここから先の話が聞きたければ、ひとまず今は星占いの話を聞いておくれよ。ね?」
はぐらかされた・・・?
「ところで、一般的に私は牡羊座ですとか、俺は獅子座だとか言うだろ? あ、ちなみにボクは蟹座なんだけどさ。あれはね、正確には太陽星座って言うんだ」
太陽の星座?
「自分が生まれた時間に、太陽がどこの星座の位置にあったのか? ということ」
太陽が・・・ということは、
「おっ察しがいいねえ。そう。実は、星占いで使う惑星は太陽だけじゃない。太陽、水星、金星、月、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。これらの惑星も、星占いには使われるんだ!」
そうだったんだ。太陽以外の惑星なんて、今まで考えたこともなかった。
「ところが、太陽星座のイメージが先行しすぎてるからか、星占いがよくつけられる難癖があるんだ。『星占いは人の性格を12に分けているだけ』ってね」
ああ、なんとなく理解できるかも。
現に自分もいままで、星占いといえばそういうイメージだった。
「まったく・・・たった12個だけで済むんなら、数千年も続かないっての。星占いで使う惑星は10個。そして星座は12個。つまりパターンとしては10の12乗通りあることになる」
10の12乗、ということは10を12回かけるから・・・
「1兆通りだね」
いっ・・・『兆』!?
「おっ、いい反応。しかもね、出す方法によってもっとパターン数が増える。1700兆くらい、いくんじゃないかな?」
1700・・・兆!?
「更にショックを与えちゃうね。自分と同じ星座の配置、つまり同じホロスコープの人間が生まれるには『2万5000年』ほどかかる」
・・・ちょっと、色々と追いつかない。
スケールがあまりにも大き過ぎる。
「つまり、星占いっていうのはね。その人は"1兆分の1の確率で生まれた人間"だと、2万5000年という遥か悠久の刻を待って、ようやく生まれてきた命だということを保証してくれるんだよ。・・・人は誰しも宇宙から祝福を受けて生まれてくる、そんな風に感じさせてくれるんだよね」
ミナヅキさんのロマンチストな一面が見えた気がした。
星占いというものはただの占いだと、雑誌などにほんの1P足らずに書いてある、気休めのようなものかと思っていたけど・・・
ミナヅキさんの語るそれは、今までの自分の見知ったものとは大きく異なっていた。
星詠み。太陽星座。ホロスコープ。天文学的な数字。この先には一体何があるというのか。
得体の知れない高揚感を胸に感じながら、心は好奇と不安が入り混じり始めていた。
「ふう、ちょっと喋り疲れちゃった。すこし休憩して、次回は"太陽星座とは何か"から解説するねー」
次回EP.3「太陽星座ってなに?」
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