見出し画像

◆7月◆ 吉宗とのラスト勝負!

 自分はプロ野球ファンである。子供の頃は地元・九州は平和台に本拠地を置く太平洋クラブライオンズと、テレビ中継の多い読売ジャイアンツを本気で応援したものだが、日本シリーズで9連覇を成し遂げた巨人軍と違って、当時のライオンズはかつて「最強の野武士軍団」と呼ばれていた頃(西鉄ライオンズ時代)の面影はまるでなく、オフになると毎年のように球団の身売り話が浮上する弱小チームだった。

 その後、ライオンズはクラウンライター→西武とオーナーが替わり、所沢に去ってしまうと個人的にどうでもよくなったのだけれど、野球にせよパチスロにせよ、勝負事は勝たねばファンが納得してくれないのは理の当然。その証拠に、今シーズン見事なスタートダッシュを切って4月に貯金12を達成しながらも、5月の交流戦以降はズブズブに沈んだ原ジャイアンツに対する風当たりは非常に強く、同じく春先の貯金を喰い潰して今や借金地獄を彷徨う浮草家計簿の読者アンケート結果もあまり芳しくない。

 今年も残すところあと半年。果たして年初に掲げた年間プラス百万円の目標を達成するミラクルは起きるのか、それとも企画の打ち切りが先か…。悩んでみても仕方がないけれど、今はただ自分自身と愛する家族のために頑張って勝つしかないのだ。とまぁ、そんな切羽詰まった状況から今月の浮草家計簿はスタートします。どうぞよろしく。

【7月13日(木) 曇り】

 スランプの時に頑張って素振りをしてもバッティングフォームを崩すだけだと考えて、7月の上旬はほとんどパチスロを打たなかった。ただ、自分はパチスロを打たないと死んじゃう特異体質なので、気分転換に一日だけ大好きな鬼武者を打ってみたところ、たまたま「鬼武者は全台設定・金」のイベントに遭遇し、随分と久しぶりに財布の中身を減らさず帰ることができた。

 もしかして、スランプ脱出か? ただの運勝ちを実力と勘違いしてしまうとは素人にも程があるが、上昇した運気を逃すまいと、今日は朝から気合いを入れて例のN店にご出勤。目指すはこの月末に検定切れを迎える『吉宗』である。

 この号が発売される頃には、おそらく世の中の全ての吉宗がホールから撤去されているはずだが(8月7日がリミットか?)、以前から「なくなる前にきっちりと一日打ち切って吉宗とお別れをしたい」と考えていたことに加え、今日は非常に意味深なイベントメールがN店から送られてきている。

《そろそろあの機種が…》

 ここ数日、N店は日替わりでオール金設定のシマを作っており(対象機種は午後に発表)、自分の知る限りでは鬼武者・俺の空・番長などがその対象となっていた。ここまでメールで煽っている以上は生半可な機種をオール金にしてもこの店の常連客が納得しないだろうし、可能性が高いのは出玉性能に秀でた北斗・銭形・吉宗といったところか? しかし、北斗は台数が多すぎるし、銭形は店側が予期せぬほどの赤字になる心配がある。となると、金でも展開によっては客側がマイナスを叩くかも知れない吉宗をオール金にするのが現実的だと思う。そして、おそらくはメール会員の常連客も皆同じように考えたのだろう。朝イチはまず最初に吉宗から席が埋まり、それにあぶれた客が銭形と北斗に流れた。

 さて、そんな状況で自分は何とか吉宗を押さえたのだが、台を見た瞬間にしばし唖然とした。何に驚いたかって、スタートレバーの異様さに…である。

 皆さんご存知のように、吉宗には体感器やソレノイドを使用した「ゴト」が存在し、多くのホールはその対策として吉宗のシマの監視を強化したり、JAC中はオール順押しでの消化を店内ルールとしてきた。これにより、ある程度までゴトを未然に防ぐ効果が上がったらしいが、残念ながら後ろ向きな対策につき完璧ではない。目立たぬよう少しずつ抜かれれば、店としてはどうしようもないのである。しかし、吉宗の撤去が秒読み段階となってゴト師も本気で抜きにきたらしく、設置店からの要望に応えてメーカー側もなりふり構わぬ対策に出た。驚くことにスタートレバーには半透明のプラスチックケースが被せられ、レバーの操作に微妙なタイミングが要求される各種ゴト行為は完璧に封じ込められたのだ。

 むろん、店側がゴト対策を行うことには何の文句もないし、防衛するのは当然だと思う。しかし、この対策部品ときたら上方向から下方向へのレバーONしか受け付けず、加えてマシン側に感知させるのにかなりの力を要する。つまり、毎ゲームのようにレバーを強打しなければ反応せず、はっきり言って台の操作性は最悪。もっと言うと、打っていて気持ち良くないのである。6月の下旬にN店で吉宗を打った時には普通のスタートレバーだったから、おそらくは最近になってカバーを取り付けたのだろうが、こうまでして稼働させるということは余程ホールにとって吉宗は儲かる機種なのだろう。

 そう考えた途端に、吉宗に最後のお別れをしようという使命感は萎えてしまったが、台を押さえたからには打たずにいられない。そんなわけで、おっかなびっくりで打ち始めると、最初は思いきり天井の直前まで連れていかれてビッグ。次は同じくハマってBのゾーンでバケを放出。そこから天国に上がって鳴り+ループで投資の大半を回収したところでゾーンを抜けた。

 もういいや、と思った。周囲を見渡しても明らかに吉宗がオール金でないことはわかるし、朝イチに満席だったシマは今や閑散としたものである。自分も他の機種に移るのが正解だろう。

 ところが、下皿のコインを箱に移そうと頭上を見上げた瞬間に、自分の台にだけ「金」と書かれたプレートが刺さっているのに気がついた。いったいいつ札が立ったのか? いや、そもそも本当にこれが金設定なのか? 一抹の不安が頭をよぎったが、こうなると出ようが出まいが打ち切るしかない。

 その後の展開はスランプグラフの写メを見て頂くとして、結局は吉宗との最後の戦いはマイナス収支で終了。これが本当に金設定で負けたのなら仕方がないが、果たして…? ちなみに、オール金は夢夢ワールドDXだった。

本日の収支
マイナス2万7千円

【7月19日(水) 雨】

 隔月誌『パチスロ必勝ガイド7』の実戦取材で、高梨プロのホームグラウンドであるC店へ。この日の目的は、期待の新機種『パチスロ北斗の拳SE』を高梨プロと一緒に打って、そのファーストインプレッションを行うという内容だったのだが…。個人的な印象としては、正直なところ期待はずれ。当り外れの白黒がはっきりしているという点で、初心者や初代北斗を打ったことのないファンには優しい機種なのかも知れないけど、曲がりなりにも初代北斗は累計で約62万台を売り上げたと言われるモンスターマシンである。初代北斗を打ったことのないプレイヤーなんて、果たして世の中に存在するのだろうか? もっとも、全ては敗者の戯言ではあるけれど…。

本日の収支
マイナス7万5千円

【7月20日(木) 晴れ】

 惨敗を喫した北斗SEの口直しに、朝イチからN店の初代『パチスロ北斗の拳』を打つつもりで家を出た。ところが、今日のN店は北斗のイベントだったようで、先客にほとんどの台を押さえられ、たった1台しか空き台がないときたもんだ。しかも、この台の頭上には「前日に万枚お持ち帰り」と書かれた札が刺さっているから、先客の誰もが敬遠して空いているだけという感じ。だけど、N店は出なかった金設定でも容赦なく設定を下げるかわりに、金設定を数日間据え置くようなこともある。ならば、やっぱり打ってみるしかないだろう。

 すると、4Kの投資で推定スイカBからBBにヒット。のっけから愛を取り戻したのみならず、設定推測の肝となる特定役の出現率は、5百ゲームを消化した時点で約33分の1と極めて良好である。もしかして、残り物に福があり、金設定を掴んじゃったかも?

 こうなると、のんびりと打ってはいられない。何しろ、昨日の実戦で大負けを叩いてしまったために、微妙にプラスを維持していた今月のスロ収支はマイナス域に転落。それを再びプラスにもっていくラストチャンスかも知れないのである(あくまで月間収支)。

 そんなわけで、脇目も振らずトイレすら我慢してブン回したところ、初当りBBを引きまくる。自分にはめずらしく継続率も良好で、夕方前には約5千枚ほどの持ちコインを抱えていた。

 ところがどっこい、好事魔多しとも言うべきか、大勝ちを確信した瞬間からハマり始めるとは…。唯一の心の拠り所であった特定役の出現率は目に見えて悪くなり、5千ゲーム消化時点で計算してみると約49分の1にダウンしているから、もはや笑うしかない。

 最後はお約束の予定調和で、天井単発を喰らって撤退。初期投資が少ないぶん勝ちはしたけれど、何だかまるで勝った気がしない。いったい、自分のスランプはいつまで続くのだろうか?

本日の収支
プラス3万2千円

7月のトータル収支
マイナス11万2千円


電子書籍はコチラから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?