タイポグリセミアについて想うこと

立地上、深夜に貨物車の音が聞こえてくるのだが、だんだんと馬力を上げていくモーター音や線路にかかる重みの音など不思議と心地よい。

どこからか集まりどこかへと運ばれる荷物、物流を支えてきた年期が滲み出る車輌が今日も力強く、ゆっくりと動き出す。みえないものをみるちから。

物理的な量は変わらないはずだけれど、そのものに対してのわかり具合で、騒音とも思えれば、エモいASMRとも思える不思議。知らないものはみえない、そして、きこえない。世界はいつも変わらずそこにある。心の持ちよう、知識の在り方で世界は変わる。


「みえないものをみるちから」も大事だが、「みえないものをみないちから」というのも大事である。

ウォルピスカーターのお話に関連して、「タイポグリセミア」について気になりググってみた。結果、ヒライユウゾウさんの下記の記事がヒットした。

町中で見かけたカラオケ屋の看板。

一瞬「レバノン」と読んでしまいそうになるが、店名は「ノレバン」。

「レバノン」は、元ルノー・日産・三菱アライアンスの社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏が日本から出国した先で、一時期、テレビでもネットでもラジオでもよく耳にした単語である。

年明けから「レバノン」「レバノン」とよく耳にするので、この「ノレバン」の4文字を見ても、脳内で「レバノン」に変換してしまったのかもしれない。というお話。

タイポグリセミアを起こさせない、「誤読を減らす」にはどうするか?そんなことを考えた。

2つある。

1つは、語彙をちんちんにする方法。

上記の記事の最後にも少し触れられているが、語彙が減る、つまり、知っていることが減ると、それを字義どおりに受け取るしかなくなる。
レバノンという語彙をそもそも知らなければ、誤まって変換する余地は生じないということだ。
さながら、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に描かれた「ニュースピーク」という架空の言語のごとし。

悲しいかな、無知がタイポグリセミアを減らす。
レバノンを知っているから誤読する、レバノンなど知りとうなかった…。

もう1つは、分別をつけることである。


「わかる」の語源は「分けうる」。
「わかる」とは、ある意味で「分別をつける」ことである。

1つ目の解決策では「知らない」の方向へ全力で舵を切ることで問題解決をはかったが、これは真逆で「知っている」の方向に舵を振り切る方向で問題解決をはかるものである。
「ノレバン」が何であるか「分けうれば」よい。

ノレバンという単語は、「ノレ=歌」「バン=部屋」であり、直訳すると「歌う部屋」という意味であり、韓国語で「カラオケ」を意味することばである。コヨーテわおーん。

見えないものを見ないようにするにも、やはりちからが必要なのだ。

相手について、深く、そして正しく知ることが必要だ。
知らないままで生き続けることには辛さを伴う。人生は長い。
自分の影におびえるブーケファロスとならず、光り輝く太陽を向いて顔をあげよう。

おそらく、韓国語をもっと知ると、勉強していくと、「広い部屋」、「狭い部屋」が「〇〇バン」となるんだろうし、歌に関する単語なんかも〇〇ノレ、国歌は「ノレ〇〇」とかいうのだろう。それを知ると、そこから遡って「ノレが歌を意味すること」を導出し、再構成・固着できる。

あるものを深く知ると、それ以外のものに対する解像度もあがるという嬉しい効果も出てくる。

Q.「レバニラ」や「レバ刺し」の「レバ」とは何の略でしょう?
A.レバー(Liver)

というクイズ知識に、さきほど入手した「ノン=部屋」という深い知識を加えると、

 レバ+ノン
=レバーの部屋
=肝臓の部屋(cell)
 ⇒肝細胞 

Q.レバノンは肝細胞である。どういうことか?
A.レバはレバニラのレバ、ノンはノレバンのノンだから。

こんなクイズを作って遊ぶこともできる。

楽しい!!!楽しい!!!✌ ('ω' ✌ )三 ✌ ('ω') ✌ 三( ✌ 'ω') ✌

知らないものは、見えない、きこえない。

一方で、「知ること」はある意味で毒である。
アダムとイブは毒蛇にそそのかされ「知恵の実」を食べたためにエデンの園を追放された。

知れば知るほど分からなくなる。

だけど、その毒を制するのも同じく「知ること」なのだろう。世界をもっと深く知れば知るほど、世界を分けうることができる。

そういうことなんじゃないかなぁ。

  ◇  ◇  ◇  

読み返して、ふと気がついた。
レバノンのくだり、おもいっきりタイポしてるやん!

まだまだ、日々精進である。(終)

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