先輩、ベタを避けるにはどうすればいいですか?

〇2020年7月24日のツイート

むかし、クイ研で後輩から「ベタ問を避けるにはどうしたらよいか?」とアドバイスを求められたことがあった。一年生オブザイヤーという大会があり、彼はそのスタッフとして作問をしているそうだが、聞くと、自分が作った問題が「それ既出だよ」と言われるのが怖いとのことだった。にゃる。

僕は少し考え「数をこなすこと」と伝えた。

つづく言葉で、そのこころを伝えようとしたのだが、麻雀卓の方から「それは真理ですね。被るのを怖れていては問題は作れない。最初から上手く作ろうなどと甘ったれず作問あるのみ。」と、そんな趣旨の叱咤激励が別の後輩からとんできた。おぉう。たじたじ。

自分自身、そのときは輪郭がつかみきれてなかったのもあり、その話題はその場で終えてしまった。しかし、ずっと言い足りなかったことばとして残っており、ここに置いとかせてもらおうと思うのろ。今回は完全にぐだめきぜよ。堪忍。

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ベタ問(問題被り)を避けるためにはどうすればよいか?

この問いに対するアプローチは2つ程思いつく。
「数をこなすこと」と「自分独自の分野を持つこと」だ。

「想起度」という概念を使うと説明しやすいのだが、一問クイズを出そう。

では問題、
「1、2、3、・・・ さて、この後にどう続く?」


ふむ、何が思い浮かんだだろうか?

正の整数を昇順で並べているから4?
あるいは、1、2、3、2、1、0、1、2、3・・・とジグザグに続いて2?
1、2、3!1、2、3!と三拍子が続くと1?
フィボナッチ数列ならば2+3で5かなぁ?

1、2、3ときたらダーッ!!元気ですか!?ですかッ!?

今、いくつか答を思い浮べたと思うが、それらがこの問いObjectに対する「想起集合」である。
先の例だと、{4,2,1,5,ダー!!}の5つである。

また、各要素には思い浮かんだ順番があったと思うが、それが各要素の「想起度」である。想起順位の逆数と簡易的に定義すると、「4」の想起度は1.0、「2」の想起度は0.5である。

んで、これを複数人に対して行い、想起度を重み付けすると「ある集団における想起度ランキング」ができあがる。

さて、今回の問いを満たす解は無数に存在しており、少なくとも5個は存在していることが判っている。しかし、この問いを出されて「ダーッ!!」を一番最初に思い浮かべることができただろうか?

おそらくできない。「数字」という枠でアイディアを出しきって初めて「ダーッ!!」がみえてくる。
このように、アイディアの想起度には高い低いが存在する。
その点で皆が思いつくような「4」とか「2」とかは、クイズでいう「ベタ」な情報である。人間、思うことは一緒だ。こうして、ベタ問は被る。

以上を踏まえると、「数をこなすこと」は、何がベタかに触れて知ること以上に「アイディアに飽きさせる」という観点で効果的である。「わぁい!新問だ!カワイイ!」を「もうみたぁ。。」にするのだ。見える知識は氷山の一角であり上を削れば見えない下が出てくる。これが、ひとつめの答のこころぜよ。

とはいえ、中には小さい氷山もあり、堀尽くしてしまうこともあるだろう。初心者が「ましまろ」をテーマにして何問つくれようか?また、おいしい部分の在りかはわかったが、具体的にどうやって見つければよいのか?そこで活躍するのが「想起刺激」というKeyWordである。

一般に、人は少なからず色メガネでモノを見ている。そこから外れるには、そのことについて自覚的になることが第一歩ぜよ。例えば先の例だと「数字がこたえになる」という思い込みの色メガネがある。大事なのは「ことのは」にすること。「数字」と自覚できれば、「数字以外」と思うことができる。

こうやって紡いだ言の葉は、モノの見方となり、そのメガネを着け替えることで見え方を変えることができる。これを、メガネフレームならぬ「フレームワーク(型による効能)」と呼ぶのろ。考え方で、みえてくるものが変わるぜよ。

いくつかメガネをかけ直してみよう。言い換えると想起刺激を変えてみよう。例えば「元気ですかッ!?」という言葉と一緒に先の問いが出されれば、きっと想起度ランキングの第一位は「ダーッ!!」だろう。あるいは、「CM」という想起刺激なら「123!123!ヨークベニマル123の市」がみえてくる。

あるいは、「楽曲」であれば、恋が始まったり(いきものがかり)1・2・3で飛び込んだり(ポケモン、キミにきめた!)するし、「航空機」ならば悲しい事件になる。

こういった具合に、ものごと(Object)には、見えやすさと見えにくさがあり、観方により見えやすくなったりする。こうやって考えてみると、ベタを避ける方法のひとつに「自分独自の分野を持つこと」があると言えよう。独自のものごとの観方で見るためには、独自の知識がなければ独自の物事は見つけられないのだ。

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時は過ぎ、クイズ研究会からは離れ、最近はクイズといえばもっぱら「みんなで早押しクイズ(通称:みんはや)」を糧に、命をつなぐ日々である。「みんはや」では少し前に「お題を皆から集めて、それに沿ったクイズを作る」という企画が流行り始めたのだが、驚くべきものをみた。

ダンプティさん(通称:ダ氏)という謎のお方がいらっしゃるのだが、この方の作問がもう凄い。文学に造詣が深いお方なのだが、これでもかと作問者の色が出まくっているのだ。お題に沿って問題を作るではなく、お題がダ氏側にグググっと引っ張られているという問題群。氏が主、お題は従。凄しくん。

あれこそ「独自の分野を特化すること」で「ベタを避ける」のよい事例だと思う。稀有なものをみさせてもらった、ながく続けてよかったぜよ。ぐだめきたいことは他にもあるけど、目覚ましが三回鳴ったのでここで終わるのろ。長文、駄文失礼しました。でゎでゎノシ (終)

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