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CoC「コーヒー一杯分の恐怖」をVR-TRPG化するなら?

はじめに

こんにちは。VR-TRPGクリエイターの逆凪と申します。

今回は公式サイトで公開されているCoCシナリオ「コーヒー一杯分の恐怖」をVRで遊ぶならどのような改変が必要なのか?を考えていきます。シンプルに上手く纏まっていて良いシナリオでしたが、VRを使って探索者の視点で遊びたい!となると様々な改変が必要になるのです。

通常のTRPGシナリオライターとは少し変わった視点で、読んでて面白い物になっていると思いますので暇つぶしや、VR-TRPG制作の思考トレーニングに是非。

・喫茶店の怪物

【問題】
怪物がオリジナルで作られており、既存のアセットが使用できない。
自分でモデリングするのはアホみたいな工数になるので却下。
【解決】
妥協して似た怪物のアセットを探す。boothで神話生物の3Dモデルを公開している「狐の迷い宿」には無かったので、UnityAssetStoreで適当な検索ワードで頑張って探す。
▼候補

・不可視の触手

【問題】
視覚と聴覚のみで第六感や振動を与える事ができないVR-TRPGにおいて不可視である事は逆に演出の迫力を損なう。
【解決】
完全に不可視にはせず、不可視状態とシャボン玉のような可視状態で点滅させるのが良い。

・小麦粉orケチャップ

ケチャップは握って中身を出す操作がハンドコントローラーのUseの動きと一致している為、身体性を考える上では良いが、ケチャップが当たった箇所を可視状態にするのはかなり面倒。6本触手があるならケチャップが当たった触手を可視状態にする処理の方が良い。
小麦粉はまき散らす方法が少し厄介。小麦粉袋の速度を検出して一定値以上になったら小麦粉を放出する処理にしても良いが、その場合はPCやスマホのユーザーの操作が難しい。無難にUseで放出が妥当か。

・放火

【問題】
「火災の発生位置が指定できない・怪物が火を消す必要がある・怪物が火をつけた探索者を殴りに行く必要がある」点から、闇雲に火をつけるのを許容するのはコスパが悪い。
【解決】
出口から離れた所に「ここを燃やせば良い」と分かるようなオブジェクトを置く改変を加え、火災の発生位置を固定する対応が考えられる。

・代金を支払う

【問題】
TRPGでは財布は当然持っている物で既に描写されていなくとも自然と出す事ができたが、VR-TRPGにおいては違う。最初にアイテムとして財布を持たせるのは誘導が強すぎるし、逆にアイテムとして持たせないと全く思いつかなくなってしまう。他の被害者の財布は没収されておりマスターの所持金の描写は無い為、VR-TRPGにおいて喫茶店内に現金は存在しない。
【解決】
客席に置かれているスマートフォンに電子決済アプリを入れておく対応が考えられる。
部屋の小物量が多い本シナリオでは、レジに「Paypay対応してます」の札が貼られていてもそこまで違和感は無いだろう。客席のスマートフォンにはカモフラージュになるように、SNSと電子決済アプリ以外のダミーアプリを入れておくと良い。

・奥の部屋

【問題】
仏壇を調べるorスタンガンを調べようとした探索者が怪物に襲われるシーン。
これはPLが進める場(探索)からゲームが進める場(襲われる演出)に強制移行するので、進行に混乱を生む。かなり良くない。更に、襲われたPLが一瞬視認できるようになるという描写の通りにするなら、怪物の視線誘導も必要になる。
【解決】
部屋に入った時、GMに「見えない何かがこの中にいるような嫌な気配がする」と描写をさせてPLの危機感を高める。
そして、スタンガンを入手した時にVignetteと効果音でダメージを演出・PLの手に絡みつくような形で部分的に可視化された触手を表示・スタンガンを入手したPLの移動速度を0にする処理を挟み、GMに「おぞましい触手が貴方の手に絡みついて離れない」と描写して探索者の行動を問う。ここでスタンガンを起動させたら絡みついた触手を消去すれば良い。

・外に出る

【課題】
VRSNSでは直接PLの座標に干渉する事は難しい。特に「触手を伸ばして乱暴者を絡め取り、客席に座らせるべき放り投げる」というのは不可能に近い。
【解決】
コライダーをPLで押してドアから遠ざけさせるor描写をカットするの2択

・その他所感

ただし、VR-TRPG化する上では以上のような改変が"必要"なので、改変シナリオの公開は扱いが難しい。
また、小物が多いので用意するのが大変。
目星や聞き耳に依存しているTRPGシナリオはVR-TRPG化した際に技能を振る場所が亡くなって困るが、本シナリオは情報を更に読み取る為に医学や芸術等の技能を使う指定があって良い。

おわりに

以上で終わりです。お疲れさまでした!
元々が良いシナリオなので根本からの改変が必要無く、良い思考トレーニングになりましたね(?)。

シナリオを読んでから以上を書ききるまで80分ほどでした。VR-TRPGシナリオライターやっておくと便利ですね。(そんな人ロクにいませんが…)

ということでお相手は、逆凪でした!

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