午前8時13分 大阪メトロ御堂筋線なんば駅

午前9時00分に予定してたビデオ会議に間に合わないことが確定したので天王寺のコワーキングスペースで会議することにした。自動改札に向かう途中に白杖を持った人を見かけた。

もこもこのパーカーを着ていて若い女の子に見えた。先入観から珍しさを覚えて目に留まった。もとから、白杖を持った人は目で追ってしまう。奇異な目ではなく、何かいいことをできない自分のせめてもの贖罪なんだと思う。困っているかどうかもわからない人を助けたいという感動ポルノの一種だと自分でも思う。

彼女は今日に自動改札を抜けて、私とは逆のホームに向かった。腹痛が襲う。というより便意が襲う。多くの人が大便をしたいということが嫌でお腹痛いというなと思いながら尻の穴を閉める。こういう時にすぐにトイレに行く判断ができない。別に急いでいるわけでもないのに、どこかキリのいい時にトイレに行きたいと思う。仕事をしている時は本当によくしてしまう。

便意の波が強くなる。あの仕組みはどうなっているんだろうか。お尻の周りの何かに痛みのようなものがあったり、お腹が吸われているような感じになったりする。きっと朝に飲んだコーヒーのせいだと思う。ブラジルの豆だった。友達が朝から豆を挽いてくれた。朝から美味しいコーヒーが飲めるのは贅沢だと思う。家から出ないといけない時間が決まってる時のコーヒーは味がいまいちわからない。

天王寺についてトイレに向かうために歩き出した時に強い腹痛になった。これは便意の方ではない。痛い。お腹を抑えて立ち止まりながらトイレに向かう。会社への移動に勤しむ人々の目はこちらを見ていないがどこかとても滑稽だなと思った。改札から流れ込む人の波をかき分けてトイレにたどり着いた。大阪駅なら人が並ぶはずの朝の男子トイレの個室も、天王寺から空いているらしい。ようやく用を足せる。

入って右に曲がり向かって右の狭い方の個室の扉を開ける。今は便座を拭く余裕はない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?