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【全文無料】キチキギスのすゝめ

お久しぶりです。ぐっちと申します。
普段は和歌山で活動しておりますが、仙台、関東に在籍する調整メンバーとともに日々世界を目指しております。

主な成績は以下の通りです。
2021~2022 CSP390、POG2021 day2 59th
2023 CL愛知ベスト16、CL宮城day2、CL新潟day2
2024 ササキヒロム大食い対決0-2

さて、先日PJCSが終了し、残すところWCSのみとなりました。WCSには近日発売されるナイトワンダラーもレギュレーションに入るとされ、JCSとはまた違った環境が待っています。

ナイトワンダラーに収録されるカードにはとてもユニークなものが多いですが、今回私がフォーカスするのは「キチキギスex」です。

美しい

前の相手の番に自分のポケモンが気絶していたら3枚ドローできるという特性を持っています。
あれ、、見覚えあるな、、、?

お世話になりました

そうです。オドリドリGXです。当時このカードは場に置いておくことができるドローソースとして幅広いアーキタイプに採用されていました。

ぱっと見とても汎用的かつ強力な特性に見えますが、どのアーキタイプにも採用されるというわけではなく、
採用するにはこれらのポケモンの持つ各ステータスや組み合わせるアーキタイプの特徴を加味する必要があります。
今後世界レギュだけでなく、来シーズンからもかなり使用される可能性があるため、予めキチキギスexの特徴を整理しておこうと思います。

闇雲に各アーキタイプとの相性を考えても埒があかないので、
本記事では、かつて活躍していたオドリドリGXを参考に、キチキギスexを解剖していきます。


1. オドリドリGXから分かる要点


最近ポケモンカードを始めた方はもしかしたら見たことがないかもしれませんが、オドリドリGXは約5年前に発売された「オルタージェネシス」に収録され、Cレギュレーション終了までとても活躍していました。

オドリドリGXの特徴をまとめると、

・特性たむけのまいによりおいて置けるドローソース
・HP170と比較的低く、倒されやすい
・ルール持ちのため、サイドが2枚取られる
・技エネ要求が重く、ほとんど技を打たない。

これらの特徴から、このカードを強く使うための要素は次のようになります。

①    ゲームをロングにする(引く回数が増える)
②    無視できないポケモンで攻撃し続けることによって、オドリドリGXを取る暇を与えない(取られても強い盤面形成ができる)
③    サイドプラン的に取られても問題ない

それでは過去に採用されていたアーキタイプを上記の要素で分類しながら見ていきます。

ひのたまサーカスのズガドーン

かなり好きなポケモン

真っ先にこれが思いつく方も多いのではないでしょうか。私も手が腱鞘炎になるくらいには使っていました。
このアーキは現行でいうサーフゴーexのようなアーキで、CL優勝経験(笑)もあります。ジラーチの願い星やたむけのまいなどで手札を補充し、適切なポケモンで攻撃していきます。

ズガドーンは非ルールのポケモンであるため、サイド進行が遅くゲームがロングになります。またオドリドリGXをボスでとられると手札干渉が飛んでこないため、そのままズガドーンで殴り返せます。(当時はリセットスタンプやグレートキャッチャーなどがあったため、手札干渉されながらオドリドリGXを取られたりするとかなり厳しかった…)

マッチによっては、バトル場ズガドーン、ベンチにオドリドリ、バイウールーVを構えていると、

ズガドーンとる→サイドが2-1-2-2
オドリドリとる→バイウールーVのリベンジバーストの打点が上がる
バイウールーVとる→たむけのまいからズガドーンで反撃

という、どこを取られても強い盤面が形成できました。

以上から、①ゲームロング、②オドリドリが取られても強い盤面という要素により適正がありました。

れんげきテンタクル


記憶に新しいイカちゃんです。ズガドーンを使用していた方は一度は握ったことがあるのではないでしょうか。
このアーキもサーフゴーexに近いものとなっておりCL準優勝もしています。

れんげきテンタクルはメインの攻撃手段がカラマネロしかなく毎ターンカラマネロ進化、エネ手貼りを要求され、さらに火力のために手札もかなり必要ということでオドリドリGXが採用されていました。
その他にもドローソースとしてやりくりチラチーノ(リファイン的な)、オクタン、裏工作ラインなどが採用されており、毎ターン青天井をぶつけ続けることが可能でした。

このアーキでは非ルールでルールポケモンを倒せることからサイドレース有利になることが多いため、オドリドリGXを取られても問題ない、また、取られても他のドローソースで次の攻撃を担保できるということから、序盤から盤面に出てきてゲームを支えることができました。

以上から、①ゲームロング、②オドリドリが取られても問題ない、③サイド的にも問題ないという要素により適正がありました。

三神ザシアン

かつて環境の中心に君臨し、CL優勝経験もあります。

このアーキは三神ことアルセウス&ディアルガ&パルキアのオルタージェネシスGXにより2~3回の攻撃でゲームが終わるため、たむけのまいによるドロー回数は少ないように思えます。
しかし、こちらは三神のアルティメットレイ(トリニティノヴァ的な)でザシアンVに加速するのが強い動きですが、環境終盤はアルティメットレイを打てずに三神が倒されてしまうことが多かったため、
メタルソーサーやエネルギー付け替えでザシアンVをアクティブにする必要がありました。当時はデデンネGXやクロバットVが存在し、加えてたむけのまいでドローしまくってその要求に応えていました。

そんなにシステムポケモン並べて大丈夫なの?となりますが、相手視点はアルティメットレイやブレイブキャリバーを許してはいけないため、基本的にはアタッカーに攻撃してくるのでシステムポケモンに触っている暇がありません。

また、三神はタッグチームでサイドが3枚取られます。すなわち、サイド進行が概ね3-2-2や2-3-2となり、こちらは2~3回の攻撃で勝てることからシステムを並べても間に合うことがほとんどでした。(それくらいには強かった。)

以上から、②無視できないポケモンで殴り続けられる、③サイド的に問題ないという要素により適正がありました。

マルヤクデVMAX

ズガドーンと同じ炎タイプのアーキです。
キョダイヒャッカで毎ターン攻撃しつつ自身の火力を上げていきます。これに溶接工によるエネルギー加速も相まって中盤から後半にかけて手を付けられないポケモンへと成長します。このムキムキマルヤクデを無視することができないので、相手はオドリドリを取る暇がありません。

このアーキは捲りの要素も秘めており、サイドを3-2と取らせながらたむけのまいでリソースを確保し、リセットスタンプ、ワンダーラビリンスなどで相手を止め、そのまま殴り切ることもできます。つまり、たむけのまいによって攻めの札も守りの札もかき集めることができ、隙のないアーキへと仕上がりました。

以上から、②無視できないポケモンで殴り続けられる、③サイド的に問題ない(捲りのためのサイドコントロールになる)という要素により適正がありました。

以上4つの代表的なアーキタイプを例に挙げ、まとめてみました。(実際は他にも採用されているアーキはあったものの個人的に強く使えているところをピックアップしました。)

御覧の通り、小物から大物アーキまで幅広く採用されており、
それぞれが最初に上げた3つの要素の内少なくとも2つの要素を含んでいて、とても有意義に活躍していたことが伺えます。

これらをベースに次はキチキギスexについて考えてみましょう。


2. キチキギスexの採用について

オドリドリGXと同様、このポケモンの特徴をまとめると、

・さかてにとるで置きドロソになる
・HP210と現環境においては取られやすい
・ルール持ちのためサイド2枚取られる
・技が汎用的で強い

となり、オドリドリGXと異なるのは主に技の部分であると考えています。
最近は2進化ex含め序盤の盤面が非ルールのみであること、そもそもルール持ちがサイド2枚しか取られないことから、昔よりもゲームが少しロングになっているのでほとんどのアーキで①ゲームロングを満たしていると考えています。

また、現環境において中盤にボール1枚から手札補充できるポケモンがミュウexぐらいのため、ネストボールミュウex、ハイパーボールネオラントVに加え。ネストボールキチキギスからでも手札が増えるのは大きな点だと考えています。

それでは上記の3つの要素から現環境アーキのどれに適性があるか個人的に考えてみましたのでサンプルリストとともに紹介いたします。

適性があるアーキタイプ

ルギアVSTAR

適性要素①ゲームロング、②無視できない、③(チラチーノ次第では)サイド的に問題ない

先日PJCSで優勝し、さらに人気が出そうなアーキです。
現ルギアの強い点はやはりチラチーノやテツノカイナなど、無視できないポケモンを搭載しているところです。
ギフトエネルギーで引いた後、プライマルターボで圧縮、さかてにとるでさらにドローを進めてボスやジャミングタワーへと到達することができます。

また、レガシーエネをキチキギスexにつけることで盤面を実質非ルールだけにすることも可能、神殿ナンジャモされても3枚ドロー、キチキギスex自身で狙撃など、あらゆる場面での活躍が期待できます(キチキギスexにギフトエネつけるのもいやらしい)。


ロストバレット

適性要素①ゲームロング、②無視できない

攻撃をするためにアタッカー、ミラージュゲート、入れ替えなど、多くのリソースを必要とするアーキです。
その代わり、アタッカーにはテツノカイナやトドロクツキ、ガチグマなど強力なアタッカーを採用することができます。

例えば、テツノカイナでごっつぁんプリファイを宣言した返しに、カイナが取られればさかてにとるから次のアタッカーへ、キチキギスexが取られたら手札が残るのでボスで裏とって2-2と進めることができます。

今後、様々なテラスタルアタッカーが出てくることが予想され、より強い盤面が期待されるので序中終盤抜け目のないロスト系統のアーキが出てくるかもしれません。


オリジンディアルガVSTAR

適性要素①ゲームロング、②無視できない

アタッカーとして青天井およびエクストラターンのディアルガ、非ルールで破格のダメージをもつザマゼンタなどが採用され、裏を取っている暇がないアーキとなっております。

また、場にいるドローソースがミュウexのみのことが多く、手札干渉の返しに何も引けないことがしばしばありました。そこでキチキギスexにより、メタングで圧縮した後にさかてにとるでボスやアタッカーを引き込むことで常に攻撃し続けることができます。

また、一度ムキムキディアルガを作ると相手はそこを無視できないためキチキギスexが残り、返しにカウンターが可能になります。採用されているボール数が多いので終盤の手札干渉の解答が多いのも評価できます。
キチキギスex自身が殴れるのもGood


ミライドンex

適性要素②無視できない、③サイド的に問題ない

エレキジェネレーターにより後攻1ターン目からでもサイドを取っていけるアーキです。

最近はダブルターボエネを採用し、後1ごっつぁんプリファイを決めてきます。このテツノカイナを相手は無視できず、キチキギスexを触る暇がありません。このとき、テツノカイナを超えられると後続が続かずキツい展開になりがちですが、キチキギスexによって引く枚数が増え、カウンターできる確率が以前よりも上がります。

基本的にサイドは先行しますし、取られ方はほぼ2-2-2のため、盤面にキチキギスexがいてもサイドレースには関係ないと判断しました。こちらもエレキジェネレーターやタンデムユニットで圧縮してからのドローになるので、かなりバリューの高い3枚になると考えています。


サーフゴーex

リスト雑過ぎ

適性要素①ゲームロング、②無視されてもよい(キチキギスexを取られても問題ない)、③サイド的に問題ない

先述のズガドーンやれんげきテンタクルのような手札が火力になるアーキタイプです。

サーフゴーex自身がドロソであるためキチキギスを取れてもよく、取られるサイド進行も1-2-2-2であることからゲームロングであるため、さかてにとる回数が増えます。縦引きを重ねることができるためかくしふだも含めると1ターンに8枚ほど引けることになります。

相手がサーフゴーexを1パンできないアーキなら、キチキギスexを出すターンを遅らせてサーフゴーexに触ってもらい、次のターン出すことで相手のサイド進行効率を悪くすることができます。(ターンを稼げる)

適性が微妙なアーキタイプ

古代バレット

一見非ルール軸なのでゲームがロングになり相性が良いように思えますが、現レギュは1ターンの差で勝ち負けが決まりやすく、
古代バレットvs ルギア、リザードンなどのマッチでは最後サイド2-1から逆転勝ちのパターンが多いため、
キチキギスexを取られた際のサイド2枚が致命的になる場合があります。

また、キチキギスexをとる行為は“相手のトラッシュの古代の枚数を増やさずサイドを2枚とれる”という美味すぎる一手になるため、盤面に置くことは負けに繋がるとして適正が微妙と判断しました。

ドラパルトex系統

序盤は非ルールのみでサイドをずらせるのでゲームタイムは伸びます。

しかし、ドラパルトex系統に必要なのはファントムダイブの宣言回数を増やすことであり、キチキギスexを狙われるとその回数が減るという観点からあまり合わないと考えています。またロトムVと違い、先2のファントムダイブにそこまで関与しないのもネガティブな点です。

もとより、真ん中がドロンチということもあり、キチキギスexが居なくともリソース確保ができると考え、適性が微妙と判断しました。

リザードンex


こちらもドラパルトex同様、序盤は非ルール(+ロトムV)が多いため、ゲームロングにはなります。

このアーキはピジョットexやロトムV、後続のヒトカゲ、リザードなどベンチ管理がかなりシビアであること、リザードンexに如何に触らせるか(ターンを伸ばすか)が重要であることから、簡単にサイドが進んでしまうシステムを複数体置くのは相手に勝ち筋を与えてしまいます。

ドロソのどちらを取られても大丈夫な基盤であるピジョビーダル(ピジョはHP280で残りやすい、ビーダル取るとサイドが進まない)と比較すると簡単に2枚取れる+相手の復帰を妨害できるという相手にとって高バリューを置くのは弱いと感じ、適性が微妙と判断しました。

タケルライコex


アーキタイプの構造はミライドンexに類似していますが、ミライドンexはアタッカーのエネルギーが残る一方で、タケルライコexではエネトラッシュによりアタッカーおよび盤面のエネが一時的に無くなるので、無視されてキチキギスを狙われます。

また、タケルライコには勇気のおまもりが多投されいる場合が多く、オーガポンを含め高HPで一度攻撃を耐えるところも強みとされています。
しかし、HP210のオーガポンに加え、キチキギスexも出てしまった場合、どこかに簡単に取れるポケモンが存在してしまうことになり、高HPを無視されながらサイドを進められます。

さらに、取られるサイド進行も2-2-2であることからゲームも比較的短く、先述のアーキタイプよりも活躍の場は少ないと判断しました。

もとよりかがやくゲッコウガやオーガポンなど、置くポケモンが多くベンチ管理がシビアであり、みどりのまいやポケギアにより復帰できることからキチキギスexがなくとも十分戦えると判断し、こちらに挙げました。

3.まとめ

ここまで、同じ特性を持つオドリドリGXから得た知見を基に、

① ゲームをロングにする(引く回数が増える)
② 無視できないポケモンで攻撃し続けることによってキチキギスexを取る暇を与えない
③ サイドプラン的に取られても問題ない

を軸にキチキギスexが活躍できるアーキタイプについて解説しました。
賛否両論あるかと思いますが、
結局のところ、「手札干渉の返しにネストボールが3枚ドローに代わる」ということ自体がかなり強力であると考えていますので、

新弾デッキの作成にぜひ参考にしていただければといます。

まだまだ考察の域ですので、実際のゲームライクではこのアーキタイプでも想像より強力だった、というようなことがあると思いますので、その際はぜひご教示いただけたらと存じます。

4. 終わりに


この度は本記事をご覧いただき誠にありがとうございました。
久しぶりの執筆でしたので拙いところが多々ございますが、ご了承いただければと思います。

今シーズンは世界権利を取ることができませんでしたが、調整メンバーや友人がWCS出場権を手に入れているため、そちらのバックアップに徹したいと思います。

また、誤字・脱字、記事に対する質問等ございましたら、ぐっち(@aPqA0KQWSnp5hyF)までご連絡ください。
それではまたお会いしましょう。



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